こころ [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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レビュー : 153
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (378ページ)

感想・レビュー・書評

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  • これ結末を知らない状態でもう一回読み直してみたいです。何でこんなに死の気配が漂ってるんだろう…あっ、もしかして、って考察が捗ったと思う。それくらい構成が巧み。先生が思わせ振り、焦らし過ぎです。誰かに聞いてほしかったんだね。「私」との出会いは運命みたいです。

    明治の精神に殉死すると妻に冗談を遺していった先生。しかし彼のセンシティブも辛さも、令和の私達にまで影を落としているような気がしてなりません。現代日本人に精神モデルを示した、小説を超えた思想書のようなものだと思います。なんて本を…なんという「遺書」を遺してくれたんだ漱石…いや「先生」。近代人はそれまでの決まりきった人生の営みから離れ、思考や行動の自由を得たけれど(本書は自由恋愛の話でもある)、同時にそれは「孤独」を強く意識させられることでもあったのかなと。影の面も書いています。

    恋とは先生の言うような「罪悪」では決してありません。全ては先生が大切な人たちに開示できなかった「心」の問題なんです。勝手に死んでしまうのはずるい。
    Kが死んだ本当の理由はわかりません。先生が彼を観察して語ったことしか書かれていないからです。けれど先生は手紙で、誠実な心からの偽りのない真実(これは先生から見てですが)を「私」に述べました。先生はついに、Kの死の理由に自分と同じ孤独を見出だしたんですね。おそろいの孤独を。

  • 高校生の 教科書で 一度読んで 利己心ぐらいしか
    感じなかったと思います。

    このたび 再び読んでみました。

    夏目漱石は 文章が うまいですね。

    高校生の時には そんなこと 全然思いませんでしたが。

    長い間 読み継がれる 理由が ちょっと わかりました。

    「私は わざと それをみんなの目につくように、もとのとおり机の上に置きました。」

    この表現 最高の 利己心ですね。

    高校生の時に 今と同じ 感想を持てたら いやな 大人に なっていたでしょうね。

  • 『こころ』を初めて読んだのは十数年前、高校のときの課題としてだった。こんな話だったかと、いま、思い出した。改めて読んで思ったのは高校生くらいの時分に強制的に読ますのは止めさせたほうがいい。この小説は沢山の駄作良作に触れてこそ真価がわかる。なるべく早く名作に触れさせたいというのは大人のエゴだ。せっかくの作品を嫌いになってしまう。

    『こころ』は淡々と続く独白と終盤の激情、そこに至る登場人物の細やかな挙動と機微を味わう作品といえよう。漱石の文章はしっとりとして柔らかな、いうなればショパンのような文感を持ちつつも、感情を揺さぶる強さを兼ね備える。主人公とともに抱えきれぬ秘密を押し付けられる唐突な終わりの演出と筆力は、エンタメが揃った現代においても決して劣るものではない。とはいえ、そこに至るまでは小説としての古臭さと退屈さに我慢せざるを得ないのも事実だ。そこまでの道は「日本語」という言語の持つ質感を楽しめるかどうかが肝なのである。

    この名作は、たくさんの小説に触れて文章の良し悪しがわかるようになった大人に是非読んでいただきたい。

  • 3.8 序盤、なぜか切なくて堪らぬ感覚を覚える文章に大変惹き付けられた。先生の過去が明かされる段になると、彼の苦悩の正体が色恋&自業自得によるものと分かり、その手の話題が苦手な私は少し興醒めした。とはいえ何を得ても生きていかれぬ苦悩の存在が美しい文章で私の心にも流れ込み、過去にない読書体験となった。身内の欺き・Kの死・明治天皇の死を経た先生は、誰にも救えず何を得ても生き続けられぬ人だった。もし存命の先生に会えたら語り手は何と言葉をかけただろう。当時の男女差・天皇の扱いは新鮮。大層生き辛そうなKと先生の心は歯痒い。

  • 現代人のわたしには、「先生」や「K」の考え方に対して同意出来ないところが多いが、夏目漱石の文書がとても綺麗で何度も読み返したくなる作品。

  • 前回はいつ読んだのだろう。心理描写のすごさに引き込まれて読み進むが、人間のもつ暗さを目の前に示され、徐々に暗澹となる。人間の本質をあらわしたすごい小説だと思うが、前を向いて生きる道しるべにはならない。反証にもならない。▼疑心や妄想で一杯になっている先生や友人kや主人公はインテリ特有の性格なのだろうか。自分に正直である者に特有の性格なのだろうか。しかしインテリであっても、思考と判断の根拠は事実から外れ、愚かな結果に終わるように見える。▼一方、さっぱりした気性の下宿の奥さんやお嬢さんの生き方は現実にあり得るのだろうか。主人公の叔父の損得に走る姿は、今の政治家が重なった。また、「こころ」には出てこなかった強い意志で生き抜く人生もあり得るのだろうか。

  • 前半の私の疑問が後半の先生の友情と恋の手紙なのだが、先生の手紙が長いし濃いしで、前半が吹っ飛んだ。しかし私に残されても困るな・・・。
    「こころ」という題がぴったり。Kのこころ、叔父のこころ、お嬢さんのこころ、先生自身のこころ。秘めてる他人のこころの内は分からないもんだ。

  • 「先生」とKの間に起きた事件と先生の自殺に至る経緯が、「先生」から私に宛てられた長い遺書の中に語られる。小説は「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の3部に分かれ、前半の2部で先生の人となり、私の環境が詳細に説明される。
    しかし、本小説の最大の事件である「先生」の自殺については、明らかにされず、前半の2つの章と、遺書の中に述べられるKの精神的特質、西南戦争のときに自決を決意したまま明治天皇の崩御まで35年間待った乃木希典の殉死がヒントとして提出されている。Kの自殺が先生の自殺に多大な影響を与えているのは確かだが、①乃木将軍の殉死を持ってきて、先生が「私に乃木さんの死んだ理由がよく解らないように、あなたにも私の自殺する訳が明らかに呑み込めないかも知れません」とあること②「先生」の過去を善悪ともに他の参考に供するつもり」とあることから、過去の自分のエゴイズムからくる、単なる自己嫌悪による自殺ではありえない。
    非常に暗い小説ではあるが、先生がなぜ人間を恨むようになったのかの経緯、奥さんとの関係が生き生きと描かれる。明治時代の手製のアイスクリームというのはどんなものか見てみたい。
    おそらく数年経って読むと先生の自殺の意味が分かるかもしれない。小説そのものが再読を強く要求する稀有な小説である。

  • こころに残る本。
    何年か経つとまた読みたくなる本。
    こころの奥に静かに響く、好きな本のひとつです。

  • 国語の教科書に、先生の手紙の部分だけ載っていて、夢中になってそれを読んだあとに全編をちゃんと読んだ。
    先生のことをどう感じるかは、その時々で変わっていく。
    先生は苦しかったのかもしれないけど、そんなに自分とその人生のことばかり考え、挙げ句自らの裏切りに耐えられず命を絶つなんてある意味ナルシスト的というか、でも精神病と思えば仕方がなかったのか。
    その時々で先生にイライラしたり、お気楽に感じられる主人公にイライラしたり、逆に儚く共感したりする。

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著者プロフィール

夏目漱石(なつめ そうせき)
1867年2月9日 - 1916年12月9日
江戸・牛込馬場下(新宿区)生まれの小説家、評論家。本名は「夏目金之助」(なつめ きんのすけ)。1890年、帝国大学文科大学英文科に入学。1895~96年には『坊っちゃん』の舞台となった松山中学校で教鞭を執る。1900年、イギリスに留学。1905年、『吾輩は猫である』を俳句雑誌「ホトトギス」に連載し始め、作家活動を本格的に開始。1907年、朝日新聞社に入社。以降、朝日新聞紙上に『三四郎』『それから』『こころ』などの代表作を連載。日本の文学史に多大な影響を与えており、作品は多くの人に親しまれている。学校教科書でも多数作品が採用されている。

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