夢十夜 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 「こんな夢を見た」で始まる連作掌編集。
    久しぶりに読むと気がつくことがある。

    いくつかは、もとは漱石が夏の季節に見た夢だろう。ということ。
    そんなことがわかるのか?普通はわからない。怖い話が多いからと言って夏とは限らない。
    それでも日本人の深いところで「共感」するものがあり、だからこそ、夏目漱石は暑気を避けて涼しい畳の部屋ごろ寝して、ふと見た「白昼夢」を記したのだろう、と思えた。冬ではあり得ない。

    そう思ったのは、この夏、似たような体験をしたからである。直後に書いたメモがある。

    こんな夢を見た。
    父親と兄が、「お母さんもう危ない」と囁き合っていた。見ると、随分のぼろぼろに歳をとっている。「もう90歳だからなあ」あれ、お母さんそんなに長生きしたのかと想う間も無く、車を運転していると、横から入ってきた車が手前で駐車スペースにはいり、そのあとの車がスルスルと横からブレーキかけずに入ってきた。おい!私は手首のハンドルを返したのだろう。当たる直前に目を覚ました。読みかけの本が飛んでいた。

    読みかけ、がスマホでなくて良かった。って、そんなことじゃない。父兄の囁きの前段階で、おそらく波瀾万丈、大河ドラマになりそうな長い長い話があったはずなのだけど、飛んだ本と一緒に記憶もすっかり飛んでしまっていた。父も兄も、もう死んでいるはずなのに、もう当たり前のように出て来ているのはいつもの通り。いつもと違うのは、もうヨボヨボのお婆さんになった母が出てきたこと。思えばいつのまにか、母の享年を私は既に越している。もっと見たかった、話をしたかったはずなのに、彼らを乗せた車は事故に遭いそうになる。

    「夢十夜」にも、「わたしは100年後に会いに来るから、それまで待っていて」と死に際に迫る妻や、負うた息子からアレコレ指図される怖い話がある。全然似ていないけど、底辺では繋がっている。

    白昼夢はそうやって起こる。
    これは冬には起こらない。

  • 古典名作12月!夢十夜でのベスト3;①第十夜、②第一夜、③第二夜かな。第十夜の登場人物は庄太郎、美男子&超暇人。女性を観察するか果物を見るかで1日を過ごす。女性が果物を買うが重い、そこで庄太郎が運ぶことになるが、7日間自宅に帰ってこない。まぁ色々あるんだけど、面白いのは健さん、雲右衛門など超濃い~キャラが出てくる。最後のオチは「女を見るのはよくない」という悟り。大爆笑!第一夜は100年相手を想い続けるキュンキュンする話。第二夜は「無」の境地に達しようと思えば思うほど、「無」が遠ざかるという矛盾が面白い。⑤

  • 第七夜
    甲板から海に飛び込もうとして
    水に足が付くまでの描写がながい。
    死ぬ直前は走馬灯のように情景が
    流れるとよく言うが、
    やっぱり死のうとしなければよかったと
    後悔するとき、こんなにも長く感じる
    ものだろうか。

    夢の話はどこまでもゆらゆらと心もとない。

  • 奇妙な夢の話。一つ一つが短くてあっという間に読めるけど、一つ一つの話を深く理解するには相当な知識と教養がないと難しいだろうね。
    1番好きなのは1話。ロマンチックで素敵。

  • 夏目漱石って、こんなに綺麗な文章を書く人だったのね…(今までただのめんどくさい文章を書く人だと思っていてごめんなさい)「夢十夜の装丁はこんな感じがいいなあ」みたいなことを思いながら読んでいた

  • なんとも不思議な短編集。近代の世にも奇妙な物語。けど一つ一つの話の中には、直接的には触れないものの生死、孤独などのような深いテーマがあるようだった。きっとこの作品は夏目漱石が書いてみたいストーリーを型枠にとらわれずに描いた実験的な作品なのではないかと考えた。(この考えは後に読んだ文学研究家さんのサイトにも書いてあった✨)短い作品の中にも人や世の動きなど描写が細かくて脳の想像力が働き、夏目氏の才能に感心した。

  • 日本文学もちゃんと読むか!と思って読み始めてみたもののなかなか読み進められず。
    好きなジャンルばかりではなくこういうジャンルにも手を出していきたい。

  • 明治期の文学者、夏目漱石の短編小説。初出は「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」[1908(明治41)年]。「第一夜」から「第十夜」までの夢が幻想的で詩的に構成される。十編のうち四編は「こんな夢を見た」と、目覚めた視点から夢の記憶を語り始める。時代という外界に向きあってきた漱石が「夢」というかたちを借りて、自己の深みにある罪悪感や不安に現実感を与えた小説であり、荒正人は第三夜の夢を父親殺しと解釈した。

  • 第一夜が幻想的でとても良かったです。「百合」をモチーフにしたロマンティックな話で、一番印象に残りました。

  • 夏目漱石のイメージがガラリと変わった。
    漱石を沢山読んできたわけではないが、やはりこの作品だけは異色のよう。
    幻想文学好きにとっては、第一夜からごっそり惹かれてしまった。

    美しく陰影のある文章、余韻の残る終わり。
    ふわりと残り香を残していくような。

    安部公房のような雰囲気もあって一気にお気に入り作品の仲間入りを果たしました。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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