萱草に寄す [Kindle]

立原道造

• 2012年9月27日発売

感想・レビュー・書評

[ミロミさんの感想 · 2017年4月17日]

吉行理恵『湯ぶねに落ちた猫』内の随筆に触発されて、読んだ。とても良い。文字を追っていると、世界を今よりも強くそのまま受けとめていた頃の風景や音や匂いなどに、やさしく包み込まれるような感覚があった。

どうも詩は電子書籍だと読みにくいので、紙の本を買おうと思う。手元に置いて、何度も繰り返し読んでみたい。

著者プロフィール

1914年、東京生まれ。先祖には水戸藩で『大日本史』を編纂した儒家の立原翠軒がいる。旧制一高から東京帝国大学建築科に進んだ。13歳ころから短歌や詩を書きはじめ、高校では手製の詩集「さふらん」を作成。大学では同人雑誌を創刊し、小説や短歌を発表した。学業でも在学中に辰野金吾賞を3回受賞するなど将来を嘱望された。37年に卒業し、建築士として建築事務所で働きながら詩作に打ち込む。堀辰雄、室生犀星に師事し、音楽的に構成された繊細な十四行詩型（ソネット）を作り出した。37年に第一詩集『萱草に寄す』、『暁と夕の詩』を刊行するが、同年秋から体調をこわし、39年3月に結核性肋膜炎のため24歳で死去。入院中に第1回の中原中也賞を受賞している。34年に訪れた信濃追分の風景を愛し、多くの詩の背景としている。作品は前期のほか、没後に堀辰雄が編纂した『優しき歌』が47年に刊行、全集は戦後、数回出されており、筑摩書房が全5巻の全集を刊行。

「2024年 『混声合唱のための組曲　優しき歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」