少女地獄 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 夢野久作・ドグラ・マグラを読めるか?テスト。「殺人リレー」は壮絶だった。主人公・智恵子への手紙で進む書簡体小説。バス運転手の新高が何人も女性のバス車掌と男女の関係になり、女性を殺しているという噂が立つ。新高はナポレオンのような冷たい眼をした美男子。智恵子の友人がやはり殺される。事前に殺されるかもしれないとの手紙を智恵子に送っていた。次に新高はトミ子にアプローチする。トミ子もやはり新高を好きになり破滅へ進むが、トミ子が生き残り新高が死ぬ。新高が思う破滅に向かわなかったことへのトミ子の自虐的思考がたまらん。⑤

  • 文才の塊だった。ただの虚言女のお話かと思って読んでいると忽ち惹き込まれてしまうから怖い怖い。
    手紙の文体が流麗でかついじらしさ愛らしさが滲んでいてニクいですね。そしてよくできた少女(?)らの虚構ですが、(何と言う恐ろしい科学の力…ってところ等)つついたらボロが出るバランスも上手い。

  • 『何んでも無い』『殺人リレー』『火星の女』の短編3作。

    少女としては、年齢が行き過ぎているような気がするのだが、それぞれに19歳の女が主人公。
    男を翻弄し、そして自分は不幸になる。
    みんな最期には死を遂げている。
    尋常でない言動だが恐怖心は軽い。

  • 『何んでも無い』、『殺人リレー』、『火星の女』の三作品が収録されている。『何んでも無い』の姫草ユリ子は、虚言癖さえなければ優秀な看護師なのに勿体無いと思ったが、逆に言えば嘘を付かなければ生きていけない世の中に、悲しみを感じた。『殺人リレー』は新高が恐ろしくて堪らなかった。終わり方も悲劇的。『火星の女』は女性の復讐の話。個人的に最後の一節、「私の肉体は永久に貴方のものですから……ペッペッ……。」が皮肉が効いていて好き。

  • 特に「何でも無い」が面白かったです。
    --------------------------------------
    ■何でも無い
     虚言癖の女の話
    ■殺人リレー
     悪い男を好きになってしまった女の顛末
    ■火星の女
     裏の顔を持つ校長への復讐

  • 【読了メモ】はじめての夢野久作作品でした。天才的な看護婦(についての医師の手紙)、バスの女車掌の手紙、火星の女の物語。魍魎の匣を思い出したわ…。

  • ドグラ・マグラの熱さめやらず、流れで一気に読了。あーあ、はまってしまった。夢野久作。少女が生きる世界は地獄だ、という風に私はとらえた。無垢な少女時代には、本当に捉えようとしてくる魔手が多いと思う。親でも先生でも素敵な殿方でもみんな地獄の鬼でしかない。男と女のこの違いはなんだろうね?いや違いなんてないのか?女にしか生まれたことないので性差はわかりませんが、とりあえず少女が地獄を抜け出るには痛い目見て大人になるしかない。女がしたたかで恐ろしいのは、それを乗り越えた女しか生き残れないからだと思う。あー、ため息。

  • 久しぶりに夢野久作。タイトルのインパクトに惹かれて読んでみた。
    「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」いずれも19歳の少女が主人公で、共通の終わり方をする短編3作。
    期待した分、狂気が足りないような感じがしましたが「虚言」や「復讐」など、多感な少女にはいつの時代も同じキーワードがあるのだと恐怖しました。

  • 「ドグラ・マグラ」で有名な夢野久作著の短編集。
     清浄無垢な姿でありながら、戦慄すべき強迫観念により、虚構地獄の深淵へと自らを堕としていく天才看護婦・姫草ユリ子を主人公とした『何んでも無い』、バスの女車掌を狙う恐ろしい殺人リレーの犯人に、復讐のため接近したものの、女の因果か自らもその無間地獄へ堕ちる友成トミ子を主人公とした『殺人リレー』、そして、女でありながら我が身の性と容貌を呪い、復讐へと向かっていく甘川歌枝を主人公とした『火星の女』の3編から成る。

    3編に共通するのはいずれも書簡体を使ったスタイルであることと、少女特有の残酷さや異常心理、虚飾が散りばめられ、恐怖を形成している点である。どの話においても、偏執的な少女心理の謎が、些細ともとれる出来事を、無間地獄へと変えてゆく。

    それぞれを独立した話としても読めるが、火星の女の死が、姫草ユリ子が登場する時間設定と一致しており、『少女地獄』は一つの自殺が終わった時、次の新たな自殺が芽吹くという時間構造を取っている。
    著者である久作が3人の少女が自殺に追い込まれる心理状態を「無間地獄」と表しているが、それは同時に『少女地獄』全体の時間構造が永遠に続く、終わりのない「無限地獄」であること、また、少女の性質ともいえる「夢幻地獄」を表しているのではないかと考えられる。
    つまり、掲載順は『何んでも無い』、『殺人リレー』、『火星の女』であるが、時間構造から捉えると、『火星の女』甘川歌枝の自殺、『何んでも無い』姫草ユリ子の自殺、『殺人リレー』とも成トミ子の順であり、終わることのない少女たちの自殺の連鎖がそこにはあり、それを以ってして、久作はこのさまを『少女地獄』と評したのではないだろうか。

  • 初の夢野久作作品。本当に様々な表現が独特で、読んでいくうちに惹き込まれていきました。ドグラ・マグラも読みたいと思います。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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