金魚撩乱 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (38ページ)

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  • 崖の下に住む金魚家の倅、復一。
    復一は崖の上に住む資産家の娘 真佐子になにかと、ちょっかいを出す。
    なぜ男の子は好きな女の子をいじめて泣かせてしまうのだろうか。
    少女の頃は無口でおとなしい真佐子だったが、成長するにつれ令嬢の風格を漂わせるようになり、いつしか復一に対して上から目線。

    「生意気なことを云うようだけど、人間に一ばん自由に美しい生きものが造れるのは金魚じゃなくて」

    真佐子は人生の価値に関係して、批評めく精神的言葉を復一に投げ掛ける。

    この二人は家柄の違いから、結ばれることなどないと承知の上なのだが、金魚という生き物を通じて恋愛成就に結び付けようとの意志があったのではないかと、私は思う。

    真佐子は別の男と結婚し身ごもった時に、自分の子よりも復一の生み出す新種の金魚のほうが楽しみだと期待する。

    復一は一時期、関西の水産試験所の研究員となるが、関東大震災を機に東京へ帰郷し、金魚家の主人に落ち着く。

    自分のものにできない真佐子に似た撩乱の金魚を、わが池でわが腕で一匹でもいいから創り出して凱歌を奏でたいと...。

    一途に女を愛し生涯の事業として耽美に生きる。
    実は幸せなんじゃないかな。

  • 『金魚は、この喰べられもしない観賞魚は、幾分の変遷をたった一つのか弱い美の力で切り抜けながら、どうなりこうなり自己完成の目的に近づいてきた。これを想うに人間が金魚を作って行くのではなく、金魚自身の目的が、人間の美に惹かれる一番弱い本能を誘惑し利用して、着々、目的のコースを進めつつあるようにも考えられる。』

    したたかで逞しい金魚に翻弄されて生きる人間の話。

  • 図書館で借りた。書庫から出してきた。
    こ、こ、これ?と、家に持ち帰るのを躊躇するほど古い本で、衝撃を受けた。読んだけど。

    神経衰弱だけど独特の美しさ、な世界観が似てると思ったら、岡本かの子は川端康成の弟子でした。
    その儚さ、それゆえの?美しさを持つ高級金魚と、小説世界がまさに同じ。
    読んでる間、いつも、金魚の姿がちらつく。それが、なんとも言えず、不思議な体験でした。

  • 金襴緞子的色彩感覚でクラクラ

    心のなかの足りない部分を埋め合わせるものは人によって違うし、同じ人でも状況や時期によって違う

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著者プロフィール

東京都生まれ。跡見女学校卒。1906年与謝野晶子に師事し「明星」に投稿。のち「スバル」同人として活躍。1910年画学生岡本一平と結婚、翌年太郎を出産。1929年から7年間渡欧。帰国後、1936年に芥川龍之介をモデルとした『鶴は病みき』で作家デビュー。以来、短編を中心に多くのすぐれた作品を残した。1939年没。

「2019年 『越年 岡本かの子恋愛小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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