半七捕物帳 01 お文の魂 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (29ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 現実世界の怖さと冥界に片足を踏み入れたような怖さが絶妙なバランスのシリーズ。さすが岡本綺堂。半七の明晰さと、明治の頃の落ち着かない江戸~東京の雰囲気が味わえるのが良いです。

  • 岡本綺堂(1872-1939)による時代小説連作の1作目。元祖・捕物帳である。
    語り手の子供の頃の思い出話から始まる。「わたし」の叔父さんは江戸末期の生まれであり、幽霊話の類もよく耳にすることはあったが、苦々しく聞き捨てるのを常としていた。そんな叔父さんがたった1つ、「解らぬ一件」と漏らしたのが「お文の件」であった。子供の「わたし」はこれを忘れることができず、やはりこの件を知っているようである知り合いのKのおじさんのところに聞きに行く。最初は取り合わなかったKのおじさんだが、ある雨の降る陰気な夜、とうとう「わたし」にその話をしてくれることになる。

    出だしはまるきり幽霊譚である。
    元治元年(蛤御門の変があったころ)、ある旗本屋敷で、よそに嫁いだ妹が幼い娘を連れて舞い戻ってくる。嫁ぎ先にはもういられないから離縁してもらってくれというのだ。武士の家柄で、訳も分からずそんなことが許せるはずもない。主人である兄が、なだめすかし、また脅かしもして、ようよう聞き出したところによれば、その家に「お文」という女の幽霊が出るのだと言う。ぐっしょり濡れ、青い顔をした腰元風の女が枕元に座る。幼い娘もその女を目にしている。毎夜毎夜現れるその幽霊にすっかり参ってしまい、もう婚家には戻らないと妹は泣き崩れる。
    初めはそんなことがあるものかと叱りつけていた兄だが、あまりに妹が恐れおののいているので、婚家に話に行かざるを得なくなる。妹の夫も不承不承、「お文」の幽霊が本当に出るのであれば、その素性は何か、調べることを承知する。
    奉公人や口入先にあれこれ尋ねるが、かなり昔まで遡っても、「お文」という名の女が奉公していた形跡はなかった。
    この件は、ごくわずかな者しか知らず、奉公人たちには口外せぬよう口止めしていたが、こうした話は広まりやすいもの、自然とあの家には幽霊が出るらしいと噂が立つようになった。
    この噂を聞きつけたのが、近所に住むKのおじさんだった。旗本の次男坊で暇を持て余していたKのおじさんは、その家の主人に「お文」の正体を突き止めるように頼まれる。
    Kのおじさんもあれこれ調べてみたが埒があかない。途方に暮れるKのおじさんの前に現れたのが、旧知の岡っ引、半七だった。

    半七が出てくるまでがなかなか長く、中ほどまで来てようやく真打登場である。
    そこからは畳みかけるように推理が進み、何箇所かを回るうちに、事件の紐がほどけていく。
    本件は、単純な幽霊譚ではないのだった。黒幕にたどり着き、見事に悪いヤツに灸を据えた半七。その鮮やかな推理はさながらシャーロック・ホームズである。
    ことは女房の名誉に関わりかねないことだった。真相はごくごくわずかな者だけが知り、「わたし」の叔父さんをはじめとする知人の間では、理屈では説明できない不思議な出来事として声を潜めて語られることになった。

    本作は、Kのおじさんからのまた聞きだが、「わたし」はこの後、半七本人の知己を得、直接その捕物譚を聞くことになる。

    推理ものとしては、偶然の要素もあり、非の打ちどころがないとまでは言えないが、するすると謎が解けていく展開は心地よい。
    文章は、時代がかり過ぎたり大仰であったりというところがなく、端正で気品が感じられる。
    明治の代から江戸を臨む、その時代を生きた人々の気配が感じられる時代小説である。

  • 噂のやつ。
    とりあえず半七親分は、スゲーこいつは!って感じではないんだけど、けっこう読めてしまう。いや、ほんと親分は今回は絵本の内容覚えてただけだし、初回がこれっていうのがなんともだけど、次回に期待だわよ。
    てか破戒僧マジどうしようもないな。

  • 『きょうは朝からちっとも風のない日で、暮春の空は碧い玉を磨いたように晴れかがやいていた。』

  • 間違いなく初読。
    どうやら連作の初っ端みたいなので、導入としては上々の滑り出しなのかな。内容は可もなく不可もなくというのが本音。
    しかしいつの時代も生臭坊主には困ったもんです。

  • 短いからこそ回りくどいかつ余計な描写がなく一気呵成の作品!シンプルな話ですが誠実な語り方によって興味深い。主人公はやはり主人公らしい。ほかの方のコメントを読んだら、なんだか日本人でも時代小説が苦手な方がいらっしゃるのかと。私はいわゆる江戸情緒に惹かれてたまらない。

  •  しゃばけシリーズを読んでいて、誰かのあとがきを流し読みしていたところ、半七捕物帳の名前を目にしました。青空文庫で見たことがあったので、早速満員電車で本が読めない間に読んでみました。
     面白い!!推理小説でした!!江戸時代の推理モノです。てっきり妖怪が出てきたりする不思議モノかと思いきや、妖しいものが描かれているけど、蓋を開けたらこんなこと、と半七が謎を解き明かす。しかも明かすだけではなく、捕まえる、丸く収める。そんな物語です。
     京極さんより前にこういうものを書いている人がいたんだと、知り合えてうれしかったです。
     描写もゾッとするもので、普通に怖いです。でも、お化けや幽霊が出てこない京極堂シリーズと同じものだとわかったので、今後はビビらずに読めそうです。
     だって、お文さん怖かったよ・・・。

  • ■書名

    書名:半七捕物帳 01 お文の魂 [Kindle版]
    著者:岡本 綺堂

    ■概要

    明治から昭和初期の劇作家・小説家である岡本綺堂の代表的作品。
    初出は「文藝倶樂部」[1917(大正6)年]。シリーズ第1話「お文
    の魂」。番町に住む旗本松村彦太郎の家に、妹のお道が三歳の娘お
    春を連れて帰ってきた。夜毎その枕もとに散らし髪、びしょぬれの
    女が現れお春が「ふみが来た!」と叫ぶ。半信半疑の松村、小幡の
    眼前で、またもお春は「ふみが来た!」と悲鳴を上げた。この一件
    に首を突っ込んだKのおじさんが、神田の岡っ引半七に相談を持ち
    かけると、半七は二・三の質問でたちどころに真相を看破するので
    あった。
    (From amazon)

    ■感想

    kindleの購入がきっかけで読みました。
    一話が短く、サクサク読めます。

    内容は、安楽椅子探偵系ですかね。
    シャーロックホームズに影響を受けて物語を書いているようですが、
    どちらかといえば、ジェシカおばさんとかそっち系な気がします。
    今後は、半七自身が自分の足で歩いて色々と解決するのかもしれま
    せん。

    事件の真相も、なかなかよく考えられています。
    子供の心理と大人の心理をうまく融合させた真相だと思いました。
    これ、読みながらあてられる方、かなりのIQの持ち主だと感じます。

    その他のお話も無料で楽しめるみたいなので、色々と読んでみたい
    と思います。

  • 捕物帳という割に、なかなか怖めな内容。そっち系なのかと思いきや、TRICK(某ドラマ)のような仕上がりで面白かった。
    短編小説なので、さらっと読める。早い人なら10分もあれば読めてしまうのではないでしょうか?
    たった1話でハマってしまい、全編版を購入してしまいました。

  • 「わたしの叔父は江戸の末期に生まれたので、その時代に最も多く行なわれた化け物屋敷の不入の間や、嫉み深い女の生霊や、執念深い男の死霊や、そうしたたぐいの陰惨な幽怪な伝説をたくさんに知っていた。…」
    冒頭の一文を読むやいなや、著者の筆力の高さをつくづくと思い知らされます。隙も無駄もない文章でテンポよく進むストーリー。これが無料で読めるだなんて嬉しい~。

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著者プロフィール

本名敬二。1872年、旧御家人を父として東京に生まれる。東京日日新聞に入社。記者の傍ら戯曲を書き、『修禅寺物語』『番町皿屋敷』等の名作を発表。捕物帳の嚆矢〈半七捕物帳〉で人気を博した。1939年死去。

「2022年 『世界怪談名作集 北極星号の船長ほか九篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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