夜明け前 03 第二部上 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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  •  幕末の攘夷で知られた薩摩藩士による生麦事件。その後も同様な事件が相次ぎ、堺では土佐藩士によるフランス人殺傷の旭茶屋事件が起きた。
     「夜明け前」が描くところによれば、フランス人の犠牲者の数を慮り、土佐藩士21名に「抽選」で切腹申し渡して幕引きしようとしたが、11名が腹を切ったところで、フランス人の立ち合い者が「切腹、罷りならぬ」と叫んだとある。
     討幕から明治維新にかけて、激動の歴史にうずもれて今日に伝わっていない人々の悲惨な葛藤が何と多いことか。その反面、いまの時代にご都合主義の英雄譚がもてはやされ、氾濫しているのには辟易する。
     あらゆるモノ、心、制度等々、破壊しつくしていった明治のご一新にあって、木曽の青山半蔵に、変化が芽生えてくる予感がする。

     

  • とうとう徳川幕府は徳川慶喜で終末を迎えた。木曽の山の中の往還もそのような幕府の最後に続くものと新たな世の中を待ち望むものの行き来があったが、山家の百姓達の本心は青山半蔵の心とはまた少し違ったもののようであった。明治の世の中が始まり、馬籠の宿も大きく変わろうとしている。新たに戸長となった半蔵の思いとは別に世の中は進んでいくようであった。

  • 攘夷の中の外国公使の思惑。慶喜が逆賊になる急展開。半蔵の足の裏を子供が踏む場面。

    百姓桑作「だれもお前さまに本当のことを言うものがあらすか。」

    吉左衛門の死。

  • 封建社会が崩れ、近代化が進む日本を馬籠宿の視点で「淡々と」描く。歴史書を読むのとはまた違った面白さがある。

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著者プロフィール

1872年3月25日、筑摩県馬籠村(現岐阜県中津川市馬籠)に生まれる。本名島崎春樹(しまざきはるき)。生家は江戸時代、本陣、庄屋、問屋をかねた旧家。明治学院普通科卒業。卒業後「女学雑誌」に翻訳・エッセイを寄稿しはじめ、明治25年、北村透谷の評論「厭世詩家と女性」に感動し、翌年1月、雑誌「文学界」の創刊に参加。明治女学校、東北学院で教鞭をとるかたわら「文学界」で北村透谷らとともに浪漫派詩人として活躍。明治30年には第一詩集『若菜集』を刊行し、近代日本浪漫主義の代表詩人としてその文学的第一歩を踏み出した。『一葉舟』『夏草』と続刊。第四詩集『落梅集』を刊行。『千曲川旅情のうた』『椰子の実』『惜別のうた』などは一世紀を越えた今も歌い継がれている。詩人として出発した藤村は、徐々に散文に移行。明治38年に上京、翌年『破戒』を自費出版、筆一本の小説家に転身した。日本の自然主義文学を代表する作家となる。

「2023年 『女声合唱とピアノのための 銀の笛 みどりの月影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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