きりぎりす [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  •  確かに旦那さんのお金や地位、名誉に対する考えの変貌ぶりは汚いようにも感じたが、手紙形式で描かれている作品のため奥さんによる虚言がないともいえない。
     自分個人としては育った環境が影響しているのではないかと思った。いわゆる「隣の芝は青い」と言うものである。人は今まで持っていなかったものを手に入れたくなりそして手放したくなくなる。旦那さんにとってそれは「地位やお金や名誉」であり、奥さんにとっては「汚れのない自分にとって理想の世界」だったのだろうか。

  • 地位が高くなるほど謙虚でなければならない、という言葉を思い出した。

  • 私はあなたをこの世で立身なさる方とは思わなかったのです
    死ぬまで貧乏でわがままかってなえばかりかいて世の中の人みんなに嘲笑せられてけれども平気で誰にも頭を下げずたまには好きなお酒をノンで一生俗世間に汚されずにすごしていくおかたとばかりおもっていました
    私はバカだったのでしょうか
    でも一人くらいはこのよにそんな美しい人がいるはずだと私はあの頃も今もなお信じています
    いいお仕事をなさってそしてだれにもしられずびんぼうで慎ましく暮らしていくことほど楽しいものはありません
    私はお金もなにもほしくありません
    心のなかで遠い大きいプライドをもってこっそりいきていたいとおもいます

  • 短い作品だけど、面白かった!

    話し方が痛快だし、言ってる事がどうかは置いておいて、言わんとしてる事は理解できる。
    太宰って女のこういう部分書くの本当上手。
    ダメな所が可愛いかったり、生きるのがヘタな人が愛しかったり、そんな人の側で支えたいと願う献身的な女がいるって事を太宰は良く知ってる。

    この人もそうだけど、この手の女は男を導いて良い男にするって気が元々ないのか出来ないのか、とにかく育てるスキルはないんだよねぇ。
    私の偏見だけど。

  • 売れない画家を夫に選んだ妻
    絵を描くことが好きで稼ぎは関係ない
    わたしにしか理解できない人
    でも売れた途端にその他の人と同じ
    ただの人になってしまった
    そんな夫を恥ずかしく思い別れを決意し
    夫に宛てて書いた手紙。という作品。

    夫を批判しながらわたしが間違ってるのかもしれないと思っておるとは書いてても、締めくくりが、どうしても何が間違ってるかわからない。という内容だったのが印象的。
    わたしも女だからわかるけど、確かに孤高な男の人に惹かれる。ただ、それも女の俗な部分だし、、男と女をうまく書いている作品だと思う。

  • 20180112読了
    ブコメで誰かが話していたのをきっかけに読んでみた。

    女性の心理を沿っていくように描いていて、情景が思い浮かぶようで読みやすい。
    そう好みの話ではないが、好きな人には好きそうな話。

  • 「死ぬまで貧乏で、わがまま勝手な画ばかり描いて、世の中のみんなに嘲笑せられて、けれども平気で誰にも頭を下げず、たまには好きなお酒を飲んで一生、俗世間に汚されずに過して行くお方だとばかり思って居りました。」

    主人公である妻が、夫に宛てた手紙で構成されている。夫は、売れない画家だった。しかし、2年前の個展で人気が出てしまった。その結果、自分が求めていた高貴な夫ではなくなってしまった。売れないがゆえに好きだった。

  • Kindle無料版にて。
    これはなかなかに面白い。
    僕の思う太宰っぽさが思い切り出ている。
    文も綺麗だし読みやすい。
    いやあ、これはどっちの気持ちもわかるなあ。
    そしてどっちもイヤなヤツだなあ。
    そしてどっちも人間らしいなあ。
    男と女って感じだなあ。
    これは結構気に入った。
    好き。

  • 成功していく夫の変化に嫌気がさしていく奥さんの別れの理由の潔さに乾杯!

    『きりぎりす』の題名が気になって読みました。

    読みながら『ありときりぎりす』がだぶりました。

  • 短い小説。
    売れなかった頃のあなたが好きだったという妻。

    うまく言葉にできない自分がもどかしいが、夫から離れる妻の心情等が痛いほど伝わってきた。

    良かった。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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