I can speak [Kindle]

著者 :
  • 2012年9月27日発売
3.10
  • (1)
  • (5)
  • (19)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 94
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (6ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短いのですぐに読めた。

    本当に何気ない物書きの一節を書き留めたような文章だった。思案しているうちに最初は調子が良くとも思い悩み、人の声に癒され、そしてタイトルにもあるI can speak という言葉に初心を思い出すような衝撃を感じた、という。言葉があるからそこに心が宿る。

    ただあまり自分には刺さらなかった。

  • 英語の定型文が昔と今も変わらないとこ面白いと思いました。
    太宰治が感じる日常は1つの詩のように綺麗に収まることの凄さを感じました。
    わかさ、かくて、日に虫食われゆきという言葉のように花のように儚くて散りゆく1日に魅せられました。

  • くるしさは、忍従の夜。あきらめの朝。この世とは、あきらめの努めか。わびしさの堪えか。わかさ、かくて、日に虫食われゆき、仕合せも、陋巷の内に、見つけし、となむ。

  • 茶屋で仕事をし、終わるまで帰らないとした太宰。
    甲府まで降りてきたときに聞こえる良い女工たちの歌声。
    ある日の夜、酔った男は姉の女工に言う。「I can speak English.」ーはじめに言葉ありき。

    言われるまでそうした感情はなかった。ー忘れた歌を思い出すーとはよく言ったものだ。

    出征するとかしないとか、今勉学に励んでいるとかどうか、全てを超えて、そこにはただ変わらない命と言葉がある。はっと胸を打たれた。

    母はきっと勉学のことよりもなによりも、ただ1人の息子が心配なのだ。
    全てを包み込むかの如く、朧げながらも微笑むように見える姉、違うだろうけども、その人こそが美しい歌声の持主だったならな…私も心からそう思う。

  • 読了日 2021/09/05

    青空文庫10分以内でよめるシリーズ。
    物書きは家を出て甲州へむかい、これが完成するまで東京には帰らないと決めた。が、終わらない。自分への約束を破るわけに行かず、甲府に降りた。宿の外から、毎日婦人の合唱が聞こえてくる。男はそれに救われる。

  • 外から聞こえる女工の歌声に癒される話と
    酔った弟と話す女工の話

    その女工が同一人物ならば、それはまあよくできたドラマティックな話なのだが「そうではないだろうね」とシニカルにしめるところが、いい。

  • 歌、声を失う。話す人がいない
    9月、小説を書いているがなかなか進まない。
    甲府で書き始め、完成したら東京に帰ろうと思っていた
    しかしなかなか書き終わらない
    下宿を変えると女声合唱が聞こえてきた
    それに励まされ作品を書き進めた
    2月、工場の裏で酔漢と女のやりとりが聞こえた
    酔漢は英語を習っているようだ
    英語ができると言っているのを女は笑っている
    I can speak english.
    初めは言葉ありき。よろずのもの、これに拠りて成る
    私は衝撃だった。
    まぁ、この女は女声合唱で一番上手いと感じた女ではないのだろうがね

    太宰の実際の出来事らしい

  • 違うだろうね。

  • 製糸工場から聞こえてくる女工さんの歌声に恋する話。
    最後の「ちがうだろうね」がなんだか好きだ。

  • 生きることは悲しい。
    その悲しさの中にある美しさを、最大限に引き出している。

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太宰治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×