蒲団 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (77ページ)

感想・レビュー・書評

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  • ほぼ10年ぶりに再読。

    言文一致の口語体で読みやすく、情景描写が豊富で映画でも見ているような気分になる。

    身近に若い女性が突然現れた中年男性の気持ちのゆらぎを容赦なく綴った、出版当時衝撃的だった小説。

    今でも十分インパクトがある。ネタの割に記述は淡々として、読んでいてけっこう笑いそうになる。

    もちろん明治という時代性を考えた上で読まなければならない。もちろんだから表現を変えよというのはばかげている。この時代なりに、伝統の呪縛から解き放たれようとしている進歩的な女性を描こうとしている。

    芳子が父親の元に引き取られることになったのはその時代のいい悪いではなく、田中との色恋沙汰に嫉妬しブチ切れた時雄の判断の結果。そういった人間臭い言動を飾らず綴っていくところが田山花袋のよさだと思う。

    例の蒲団は掻巻といって、袖のある着物に綿を詰めて布団にしたようなもの。肩がつつまれるので暖かい。襟元にびろうどが貼ってあるのも標準的な作り。今の人はなかなかイメージしずらいかと思い補足。

  • 今の自分と重なるところがあり、時雄に感情移入して純粋な恋愛小説として読んだ。お互いに惹かれあっているのに、環境や常識がそれを許さないことの辛さや不条理を美しく表現していると思った。読み手の状態によって様々な受け取り方が出来るだろうなと思う。次に読むとき、自分はどんな受け取り方をするんだろう。

  • 田山花袋の布団、無料だったので読んでみた。

  • 男がぐじゅぐじゅ言ってるだけの話に見えちゃう短絡者には「蒲団」というタイトルが物凄く秀逸に感じた。


  • 世界の名作を10ページで読む、とかいう趣旨の本を読んで気になった話。
    青空文庫で読めるらしいので早速読んでみました。

    主人公、気持ち悪い!でもそこがいい!
    読みながら思わず「きもっ」と声に出してしまう場面もないわけではありませんでしたが、それがたまらない。

    ある意味とても人間らしい男で、芳子さんもただ美しい女じゃなくて、人間らしさがありました。

    当たり前だけどこの話、読む年代・性別によって捉え方が全然違うんだろうなあ。

    他の人と感想を語り合いたい、そう思わせてくれるお話でした。

  • あらすじ:小説家である時雄は、妻と子がある身でありながら、結婚後の日常生活には倦怠を感じていた。無味な日常に耐えかねる中、自らの女弟子である芳子に恋をしてしまう。ただ芳子には、田中という恋人がいた。田中は、顔の青白い、まだ同志社大学の学生の身であり、芳子の将来を背負うにはやや責任感に不安があった。芳子が貞操を侵さぬように、二人の仲を監督するべく、時雄は芳子を自宅の二階に下宿させることにしたが、ある時二人が京都嵯峨に旅行に行っている最中に密会してることに勘付き、動揺する。田中が京都から東京に移り住むことにも只ならぬ思いを抱える時雄は、芳子の父親も交えて二人を問いただし、二人とも東京に残すわけにはいかぬ、という結論にたどり着いく。どちらを帰すか田中と芳子と話し合っていた矢先、嵯峨行の際の手紙のアリバイについて芳子に問い詰めたところ、芳子は二人の肉体関係を認める。芳子は新しい明治の才女を目指していた自分にあるまじきことをした、という趣旨の詫びの手紙を書き、国へ帰ることに決める。残された時雄は、下宿をさせていた牛込の家の二階に残されていた芳子のリボンや蒲団から油の匂いを嗅ぎ芳子を偲ぶのだった。

    田山花袋の名作なのであるが、渾身の一作すぎて「田山花袋は処女厨」のレッテルが貼られかねないトンデモ作である。現代人の私がこう思うのだから、当時の文学青年たちがこれを読んだ衝撃はおそらく私に引き比べるまでもないだろう。「妻がありながら女弟子に恋をしてしまった作家。だが女弟子には大学に通う恋人の男がいた」というが題材なのである。女弟子に恋をして蒲団の香りを嗅ぐ、という一行あらすじの奥に単純でありながら一触即発寸前のような人間関係があるのだから何とも言えない気持ちになる。(※ただし女弟子に恋をして我を見失う以外は、絶対に一線を越えないあたりが田山花袋然であるので誠に読んでて安心ができる/変な話ではあるが)そして、時雄に感情移入するにせよ、田中に感情移入するにせよ、”自分の恋人が(田中/時雄)のような人に思われていたら嫌だな”と思わせてくるのがさらに悩ましいところであるのだ。『蒲団』は誰の視点に立っても誰も幸せになれない。ただ残念な暴露であり、それゆえ文学が最も適しているといえる作品でもある。
    個人的には、最初はやや嫌な顔をしていた細君も、時雄と芳子が結ばれることはあり得ないと勘づいてから、最後には奥さんまで芳子に同情するのだから不思議なものだ。時雄と田中は分かり合えないまま終わるが、細君と芳子はむしろ通じ合って終わる。時雄同様の薄暗い感情が細君になかったと言い切れるわけはないのだが、そこは巧妙に時雄の心境に隠されてしまう。そういった意味だと、実話をもとにしたフィクションです!という立ち位置を考えると芳子本人もそうだが細君もかわいそうなポジションだ。寧ろ芳子本人は、時雄の劣情が自分に向いていたことなど知る由もなさそうなところがまた何とも言えない。モデルの女性(岡田美知代)がこれを読んでどう思ったのかが気になるところである。田山花袋は、後に『蒲団』のモデルとして彼女を使ったことに詫びの手紙を入れてはいるのだが、こんなに作品の中で「おっさん、若き美女を眼差す」みたいな書き方してしまって気まず過ぎやしないかといらん勘繰りをしてしまう。(この辺は、あとできちんと調べておきたい)
    『蒲団』は、主人公・時雄の心境を描いているだけのことはあって、非常に中年男性に寄り添った書き方をしているので、「若い女の読むものではない」とかつて私の大学の講師が言っていた理由はよくわかった。まして永遠の愛を信じている可憐な少女が読んだら卒倒すること確実なのだが、逆に既婚・おっさんの年代の人々には大いに共感を生む作品であるかもしれず、それが今なお読み継がれているゆえんなのかなとも思ったりする。当時は結構騒がれたらしいが、一ミリもいやらしい描写とかはない。超現代風に言えば「師匠と弟子とその恋人の、朝チュンを巡るひと騒動」というのが最も適切かと思う。中年男性にお勧めしたい文学だ。

  • 中年のおじさんが女学生の芳子に恋して勘違いして芳子の若い恋を邪魔して最悪やった(笑)
    若くて可愛い女の子に作家として尊敬されて弟子入りしたい!って熱心に来られたら…勘違いしちゃうものなんかなあ。笑
    芳子からしたら時雄はただの「先生」であり「師匠」であり尊敬できるし信頼はしてるけど決して恋愛対象ではなかったはず。
    その証拠に自分に似合いの年齢の同志社大学の学生・田中と普通に恋に落ちてるし。
    なのに…そうまでなってなお、「もし自分に妻がなかったら芳子を嫁にもらえたはず。芳子も喜んで従っただろう」とか夢みてるんやろ?そんなわけないやろジジイ!と言いたい。笑
    一番気持ち悪かったのが、芳子がもう清い身体ではないと知った時(今と昔では違うかもしれんけど…)、めっちゃくちゃ激怒して、それやったら我慢する必要なんかなかった、さっさとヤっちゃえば良かった的なこと考えてるシーン。
    なんで???????(笑)
    処女やったら遠慮されるべきで、処女を失ってたらあとはもう誰がどうしてもいいなんて決まりでもあるん?
    ものすごい利己的な考えで女性を軽視してて気持ち悪かった…。
    年齢考えて????

    実際モデルになった岡田美知代は「蒲団」が発表されたせいで世の中から冷たい目で見られたみたいで大迷惑やったそうやし、、、
    後に「ある女の手紙」と「花袋の「蒲団」と私」っていう小説を自ら発表して反論してるみたいやけど何人が読んだかな?
    勝手におじさんに好かれて勝手に勘違いされて勝手にそれを世間に公表されて…可哀想な女性や

  • 記録

  • 有名な本だし、なんかおっさんが変態だって話だけを聞いていたのでさてどんなもんよ、とある意味ハードル上げて読んだんだけども、まぁそこまで酷い変態っぷりでもないよね。
    単に妄想をたくましくするおっさんってだけで、おっさんなら誰しも心の中ではこんな気持ち悪いもんだよ!

    と言いたいところだけど、おっさんも表立っては何もしないわけで、その気持ち悪い妄想を小説で書いたって誰も読まねーよ、ってわけなんで、これが名作として認知されているのは実に意義がある事ではないか。

    でもおっさん以上に気持ち悪いイメージで脳内再生される田中なわけで、ちょっと太り気味という表現からオタクの白豚って感じなんだけど、そいつがブヒブヒ言いながら神戸から東京までストーキングするって展開の方がよほどやばくないか。

  • 最後のシーンは読む前から知っていたけど、思ったよりも気持ち悪くはなかった。ただ、この話は実話を基に書いている事を知って、そっちの方が嫌な気持ちになった。これを読む家族や弟子の気持ちとか考えなかったのかなぁ。
    小説内でも小説外でも独善的な主人公が好きになれなかった。

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