舞姫 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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  • ドイツへ留学したエリート官僚の太田豊太郎と貧しい踊り子エリスの悲しい恋物語。
    文体は「雅文体」(~ぬ。~けり。等)で書かれている。
    この雅文体づかいの効果なのだろうか、異国にて心細い豊太郎の心情が表現され、境遇の違う二人の、ぎこちなく初々しい恋心が目に浮かぶ。
    そして、その恋の先には、どうしようもない別離が待ち受けているのだと感づかずにはいられなくなるのだ。

    母親やまわりの期待にそえるよう生きていかねばならない豊太郎の決断は、やはり致し方ないのだろう。
    豊太郎の子を身籠ったエリスの痛々しい姿に遣り切れない気持ちになる。
    切ないけれども優雅なエキゾチズムに浸れる作品だ。

  • 高校生のとき現代文で読んで、主人公は最低だなと思ったものだけれど、30年近く経って読み返してみたら、最低というよりどうしようもない男だった。帰国しても周囲の圧力に反応するだけの豊太郎の人生が思い浮かばれてぐんにゃり。それにしても鴎外はこちらが最低だと思う行動を正確に主人公に取らせていて、確信犯なのだが意図が見えない。エリスが無垢すぎなのと、発狂という口封じを使うのは枚数に限りがあったから? 秀才ボンクラが現場から逃げ出す結末に、これでかたがついたと思うなよ、という気持ちになったのだった。

  • 貧きが中にも樂しきは今の生活、棄て難きはエリスが愛。

    この一文はすごく素敵なのに、なぜ太田豊太郎はエリスより故郷を取ったのか。
    母が死んだこと等が重なり、散々思い悩んではいるようだけど、あまりにもひどい。
    エリスにばかり肩入れしてしまいます。

    古い文体で行きつ戻りつしましたが、意を決して読み始めると、
    エリートのエリート然とした悩み。ドイツの冬の街並み。そしてエリスの美しさ。
    不思議と言葉の流れがよく、これらの描写や大意はすんなり頭に入ってきます。
    うーんだけどやっぱり、故郷を取ったのはひどい。

  • 久々に読み返しても、最後の一文がすごいです。相沢さんのせいじゃなかろうw
    しかし主人公のエリートっぷりが半端ないです。

  • 「「目指せ欧米!」の気分に呼応した鴎外の武勇伝」

    その昔、郷ひろみ主演『舞姫』という映画を見た。郷ひろみが豊太郎に合っていたかどうかはおいておいて、この実写版のクライマックス、豊太郎の仕打ちに髪を振り乱して「トヨタロ~!!」と叫ぶなまエリスをみたときの気持ちはなにやら「こっぱずかしい…」というものだった。

    日本人としてはちょっと自虐っぽい話になるけれど、少なくとも明治時代くらいまでは、白人夫に日本人現地妻という組みあわせが圧倒的に多かっただろう。そのせいか、蝶々夫人や唐人お吉にヨヨヨ…となることはあっても、維新からたかだか30年そこそこでこの逆パターンてどうよ…今思えば、それが恥ずかしさの中身だったと思う。あるいは男女関係においても急速な、当時の基準によるところの「欧米化」が進んだとみるべきだったのか。

    これを読んだ当時の明治の人たちはどう感じたのだろうか。欧米に追いつけ追い越せの気分の中で、彼らの中に白人コンプレックスが全く無かったとは思えない。例えば自分が明治時代の小市民なら「青い目のお妾さんだってよ。へぇ~世の中変わったもんだねぇ~」ほどの感想を持ち、さらに男ならやっかみ半分「してやったり!」くらいのことは言ったかもしれないと想像してみる。

    いくら世の中が変わったとはいえエリート官僚として外国に渡り、あまつさえ現地の、しかも白人女性との恋愛体験など決して普通のことではなかったでしょうからね。だから鴎外は、非情で不実、ダメダメな自分を書きたかったというよりは、当時の日本にとっての「世にも稀なる貴重な体験」を書きたかったのかもしれない。膨大な「意味調べ」の宿題を課し高校生の私を苦しめたこの文語体での流暢な描写も、さてはそのあたりの本音を見せないためのカムフラージュだったのではっ…

    豊太郎、あるいは鴎外のエリスへの愛がどれほど純なものであったか、今となっては知る由もないが、期せずして『舞姫』は欧米化を急ぐ日本にとって鴎外の武勇伝と化していたのかもしれない。

  • 綺麗な文語体。

    無駄にプライドの高い学歴主義者が豊太郎を批判しているのかと思うようになった。

  • エリートが外国で身を持ち崩してくさっていたところへ、旧友が救いの手を差し伸べてくれる話。とも言えるのかも。
    主人公と相沢の関係がけっこう興味深いな。

  • 石炭をばはや積み果てつ。

  • 文語体はやはり慣れていないせいか読みにくい・・・
    エリートの主人公は、留学先のベルリンで踊り子のエレスと出会い恋と出世のどちらをとるか葛藤する。
    うん、まさに純文学といった感じ苦笑

  • 舞姫の貧しいが真っすぐな心意気と、舞姫を心から愛しながら生来の優柔不断さから生まれる豊太郎の葛藤がなんとも言い難く重苦しい。誰でも豊太郎の立場になれば、生活や名誉や栄達のために、愛をうらぎろうとするだろう。そこで割り切るものもいれば、豊太郎のように消えない傷を負うものもいる。人間的過ぎて痛みが残る。豊太郎はどこまでが鴎外なのか?鴎外の無駄のない文章はすばらしい。

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