闇金ウシジマくん(14) (ビッグコミックス) [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • 闇金ウシジマくん14 2009

    『闇金ウシジマくん』(やみきんウシジマくん)は日本の漫画家である真鍋昌平による漫画。2004年から2019年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で不定期連載された。
    2010年10月より、山田孝之主演で毎日放送(MBS)の制作によりテレビドラマ化され、その映画版が2012年8月25日より公開された。また2014年1月にはドラマの新シリーズが放送された他、5月16日には新作映画が公開された。詳細はテレビドラマの記事ならびに映画の記事参照。

    概要
    10日5割(トゴ)の超暴利闇金融『カウカウファイナンス』の経営者である丑嶋馨とその従業員の日常と、カウカウファイナンスに訪れる客、およびその関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いたストーリー。物語は各エピソードの中心となる人物の視点で進み、丑嶋はそれらの人物に接触する狂言回し的存在である。そのため丑嶋が全く登場しない回も多い。なお「○○くん」というタイトルは、当時流行した「むじんくん」(アコム)、「お自動さん」(アイフル)などのサラ金の自動契約機のネーミングから着想を得ている。
    2022年3月時点で累計発行部数は2100万部を記録している。
    第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。
    連載を終了した理由として、作者は「闇金業者という犯罪者の視点で描く話に限界を感じていた。『突き詰めて描けば描くほど読者が離れる』」と述べている。その後、弁護士を主人公とした『九条の大罪』を連載開始した

    「スーパータクシーくん」編
    諸星信也(もろぼし しんや)
    本エピソードの債務者。KYタクシー乗務員。41歳のバツイチ。元ホスト。日焼けした肌と尻顎が特徴。極度のナルシストかつ女好きで、借金してまで度々、買春を行っている。
    以前に暴力団に莫大な借金をしたことが原因でホストを辞めざるを得なくなり、借り入れ先の暴力団員である根杜実に妻と娘を取り上げられる。現在も元妻の美沙からは1億円の慰謝料を請求されており、娘の沙耶とはほとんど会うことが出来ずにいる。
    今井から「闇金融からの借金を踏み倒せば世の中の悪人退治」になるとそそのかされ、相保証として『カウカウファイナンス』から借金をするが、最終的には相保証となっていた今井と新庄が逃げたため、合計30万円を返済する羽目になる。そして根杜から、報酬金と引き換えに浦安にあるネズミーランドで娘を渡すよう命令される。さらに今井に児童買春という弱みを握られたため、借金を踏み倒すことも警察に逃げることも出来ず、娘を助けたい一心で丑嶋に借金を願い出るも、自身の売春行為を棚上げしていることを指摘されて突っぱねられた。娘を乗せたタクシーの中で苦悩し、決断を下すところでシリーズ終了となる。「楽園くん」編にも一コマだけ登場している。

    今井(いまい)
    KYタクシー乗務員。老けて見えるが信也と同じ41才。自堕落な性格で営業成績が悪く、常に所長に説教されている。競馬や水商売の女性へのプレゼントに散財し、『カウカウファイナンス』に多額の借金をしている。借金返済のために偽装結婚まで行い、戸籍上はマレーシア人の妻がいるが、ほとんど接触は無い。衝突事故を起こし、入院先で丑嶋に信也の弱みを握るよう脅される。

    木村(きむら)
    KYタクシー乗務員。通称:キムさん。妻子持ちで、子供の成長を生き甲斐としている。若者向けのファッションを着こなす。リーダーシップに富んだ人物で、同僚から慕われている。過去には会社を経営していたが、不景気のため倒産。その時に従業員を守れなかったことが心残りとなっている。そのためか非常に義理堅い性格で、行き詰った新庄を積極的にアドバイスするなど面倒見も良い。新庄の借金をチャラにしてくれるよう丑嶋に直接頼んだが、聞き入れてもらえなかった。

    新庄(しんじょう)
    KYタクシー乗務員。他業種から転職してきたばかりの新人。妻子持ち。信也たちを見下していたが、後に飲み仲間になる。当初は仕事は順調だったが、徐々に行き詰っていき、信也に騙され『カウカウファイナンス』で借金をする。木村にアドバイスされるも、横柄な客とトラブルを起こし、スパナで殴り会社をクビになる。

    佐々木美沙(ささき みさ)
    信也の元妻。高校卒業後すぐに蒲田でキャバクラ勤めを始め、そこで知り合った信也と18歳でできちゃった結婚をするも離婚。沙耶の親権は彼女が握っており、現在では根杜と同棲している。信也との娘・沙耶を盾に、信也から慰謝料や養育費などの名目で金をせびっている。一方、自身も根杜からのDVに恐れているような節を伺わせ、信也のホスト時代の借金が根杜との接点の切っ掛けであることからも、弱みを握られ支配されていると見られる。

    佐々木沙耶(ささき さや)
    信也と美沙の娘。現在は美沙とその愛人・根杜と暮らしているが折り合いが悪く、家を出てタクシーを拾っては、初乗り料金の710円で行ける距離の適当な場所で降りることを繰り返していた。そのためタクシー乗務員の間では「710円童子(しちてんどうじ)」と呼ばれていた。大人に対し常に不信感を持つ態度をとり、信也とも和解するが、裏切りを予期しているかのような表情がラストシーンになる。

    根杜実(ねづ みのる)
    美沙と同棲しているヤクザ。信也がホスト時代に借金をしていた暴力団に所属している。美沙をそそのかし、沙耶に「モデルデビュー」と称して売春を強要する(性的虐待も行っていた節がある)。顔に大きな傷痕がある。
    新入り時代、自身の所属する組で借金をしていた信也の見張りを4年に渡り命じられていたが、彼に脱走される失態を犯し制裁を受けた過去がある。そのため、信也に強い恨みを抱いている。

    薄本(はくもと)
    KYタクシー乗務員。ギョロ目が特徴。金に困った同僚に1月6分の利息で金を貸している。「貸した金を返してもらっていない」との理由で今井の見舞金を出さず、生活に困窮した諸星からの借金の申し出を断るなど、性格はシビア。


    以上のようにWikipediaで紹介される作品。
    真鍋昌平氏による著作。
    週刊ビッグコミックスピリッツ2008年第45号〜第50号、2008年第52号〜2009年第6・7合併号掲載作品。
    2009年4月4日初版第1刷発行
    電子書籍制作会社 株式会社昭和ブライト

    スーパータクシーくん1~12

    今、改めて読み直してみても胸糞悪くなる結末だ。
    闇金ウシジマくんという漫画作品の恐ろしさを感じる話だ。
    佐々木沙耶「710円童子(しちてんどうじ)」があまりに理不尽過ぎる。
    周りの大人のあらゆる暴力にさらされているとしか言いようがない。
    実の父親の諸星信也、そして母親の佐々木美沙、根杜実(同棲するヤクザ)
    なぜもっとまともな愛情を注いでやれないのか。なぜもっとおかしいと思わない?なぜだ。
    最後の最後にウシジマに追い込まれどうしようもなくなった信也にも普段のだらしなさの積み重ね故にこうなったんだろうが!と言いたいところではある。しかしそれと佐々木沙耶が迫害されるリスクは別問題だろう。
    そして母親でありながら根杜実(同棲するヤクザ)の暴力から娘を守らない佐々木美沙・・・冷静に考えるとこちらの方がもっと酷い。
    この話に出てきた自分さえ良ければという自己中心的人間の一人ひとりに対して怒りを覚える。ただ歴史上どうしようもない人間、親が存在してしまうのも構造的な問題なので、社会として何とか沙耶のような子供を守る必要がある。
    また結果として金さえ回収できれば良い(沙耶が性風俗で強制的に働かされる可能性を知っていた)とする丑嶋はやはり最終話で死んで終わって当然であるとしか思えない。
    死んで欲しいのは丑嶋だけではなく、この話に出てくるクズ共一人ひとりもそうだ。

    しかしつくづく思うのは借金をせず、収入の範囲内で生活をし続けることだ。
    きちんとお金の管理をする、家計簿をつける、金のかかる趣味はしない、シンプルなことを愚直に続けることだ。
    薄本の性格のシビアさをWikipediaで解説しているが・・・いくら低金利とは言え同僚と金の貸し借りをするべきではない。金が返ってくる返ってこない等でイライラする時間が無駄なのだ。まともな人間はそもそも金の貸し借りをしない。


    印象に残った部分

    会社にとって客は乗客じゃなく俺達乗務員なんだ。
    台数が増えたって車の維持費は嵩むが、売上の半分は(会社が)持ってくから損はしねえ。
    それに引きかえ俺達は少ない客を増えたドライバーで奪い合うからみんなジリ貧だ。

    最初から(タクシー)ドライバーになりたくてなった奴はいねえよ
    どいつにも過去があって・・・流れ流れて流れついたのがタクシードライバーなんだ

    1時間待って1メーターかよ
    どうせホステスは店の近くに住んでるんだから歩いて帰ってくれよ

    腰痛はタクシー運転手の職業病だよ。お前さんも今に分かるよ。
    そうそう他にも不眠症や自律神経失調症になる奴も多いよ!あと痔も

    お前に教えたことあんだろ。美人局対策に1回目の誘いは絶対断れってよ

    俺は結婚生活を金に換えちまった(偽装結婚で)

    もう普通の幸せなんて望めない。
    元々幸せな生活なんて望んでなかった・・
    どうにもならない人生。それでも日常は毎日続く。
    どうにもならん空虚な気持ちを抱えたまま日常が続く。
    シラフじゃあ・・目の前の現実を見られない。

    いいか新ちゃん 
    東京のタクシーはやり方によってはまだ稼げるんだ
    まずはちゃんと道を覚えろ
    それと客がどこでどーゆー時にタクシーを必要としてるか考えろよ
    例えばよ東京ドームのイベントは何時に終わるか調べたら、客を取れるだろ

    イヤな客も10分我慢したらもう2度と会うことはねえ
    毎日イヤな取引先に向かう連中のストレスに比べたら屁でもねえよ

    ホストは辞めてからの人生の方が長いんですよ

    ガキの頃、俺の親、離婚したんです。ずっと俺、フツーの家庭に憧れてました。
    みんながフツーに持ってるものを持てないのがすごく嫌なんです。
    だから子供には俺と同じ思いさせたくないんです。

    俺達はアウトローの金貸しだ。法律の外にいるんだよ。

    人と人との約束はどうなる?
    俺は無理やり貸した覚えはねえ。
    新庄との約束はどうなる?

    つらい時代はより弱い者へしわよせが行く。
    時代は繰り返す。

    2023/09/10(日)記述

  • 「スーパータクシーくん」編。
    妙に明るいタクシー乗務員の諸星信也を中心に展開していくタクシー業界物語。710円(シチテン)童子の存在が不気味に存在感を持っている。
    諸星は表面上はとても信頼できそうなのだが、根が実は曲がっているという、これまでに珍しいタイプ。その人生がどちらの方向に振れるのか、ラストは曖昧に描かれているのだが……。

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著者プロフィール

漫画家。神奈川県出身。1998年、『憂鬱滑り台』で「アフタヌーン」(講談社)四季賞夏のコンテスト四季大賞を受賞、同誌同年9月号に掲載され商業誌デビュー。2011年、『闇金ウシジマくん』(小学館)で第56回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。その他著書に『スマグラー』『THE END』(講談社)などがある。

「2017年 『THE END クライマックス編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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