闇金ウシジマくん(16) (ビッグコミックス) [Kindle]

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  • 小学館
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  • 闇金ウシジマくん16 2009

    『闇金ウシジマくん』(やみきんウシジマくん)は日本の漫画家である真鍋昌平による漫画。2004年から2019年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で不定期連載された。
    2010年10月より、山田孝之主演で毎日放送(MBS)の制作によりテレビドラマ化され、その映画版が2012年8月25日より公開された。また2014年1月にはドラマの新シリーズが放送された他、5月16日には新作映画が公開された。詳細はテレビドラマの記事ならびに映画の記事参照。

    概要
    10日5割(トゴ)の超暴利闇金融『カウカウファイナンス』の経営者である丑嶋馨とその従業員の日常と、カウカウファイナンスに訪れる客、およびその関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いたストーリー。物語は各エピソードの中心となる人物の視点で進み、丑嶋はそれらの人物に接触する狂言回し的存在である。そのため丑嶋が全く登場しない回も多い。なお「○○くん」というタイトルは、当時流行した「むじんくん」(アコム)、「お自動さん」(アイフル)などのサラ金の自動契約機のネーミングから着想を得ている。
    2022年3月時点で累計発行部数は2100万部を記録している。
    第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。
    連載を終了した理由として、作者は「闇金業者という犯罪者の視点で描く話に限界を感じていた。『突き詰めて描けば描くほど読者が離れる』」と述べている。その後、弁護士を主人公とした『九条の大罪』を連載開始した

    「楽園くん」編

    中田広道(なかた ひろみち)
    本エピソードの債務者。原宿でファッション誌「デザート」の読者モデルを目指す青年。19歳。自らの姓をもじって「センターT」と名乗る。他人からの評価に流されやすく、打たれ弱い一面も持つ。服飾系の専門学校を中退し、ラブホテルでバイトしている。自身の空虚感から、ファッションで名を上げ街の「主人公」となり、読者モデルのカリスマ的存在「オサレ皇帝(エンペラー)」になることを夢見ている。
    ひょんなことから「オサレ皇帝」のG10に目を付けられ、ファッションに磨きをかけるためにG10や飯匙倩にそそのかされ、徐々に悪事に手を染めるようになる。
    危ない橋を渡りつつも、資金が充実したことで服を買い漁りオサレ皇帝の座を掴む。しかし自身の20歳の誕生パーティーを開催するころには、麻薬売買や読者モデルの女子を売り渡していることなどがネット上で噂されており、誕生パーティーには誰一人、集まらなかった。
    その後はG10のアドバイスによってセレクトショップの経営を決意するものの、G10に開設費を持ち逃げされ、与主である飯匙倩に殺されかけるが、キミノリ(と丑嶋)に救われる。
    最後はキミノリと将来の展望を語り合う場面で終わる。一見するとハッピーエンドに見えるが、実際にはパピコのタレコミによって覚醒剤売買で逮捕状が発行され、それが表に出ないよう飯匙倩に再度その身柄を押さえられたことが丑嶋と戌亥の会話にて判明しており、口封じとして飯匙倩に殺害された可能性が示唆されている。

    森田キミノリ(もりた キミノリ)
    中田とルームシェアで同居している青年。服のショップ店員。ファッションにのめり込む中田を冷ややかな目で見ているが、本心では友達として気にかけている。G10を「嘘くさい」との理由で嫌う。自分で料理をし、弁当を職場に持って行くなどの節約をしている。タレント養成の私立高校に通っていた際、目的(夢)のために多くの友人を裏切ってきた過去を後悔しており、ルームシェアしている中田を親友として大切にしている。中田の窮地を救うため、勤めるショップの裏帳簿を担保に丑嶋から金を借りる。
    最終的に中田と共に将来を語り合うシーンで出番を終えるが、実際には裏帳簿の持ち出しに憤慨したショップオーナーが差し向けたヤクザにさらわれたことが戌亥の口から明らかになっている。そのため、中田同様に直接的な明言は避けられているものの死亡している可能性がある。

    田川ジュンヤ(たがわ ジュンヤ)
    千葉から自転車で原宿に通う高校生。中田からは「田舎者」と呼ばれている。いじめに遭っており、クラスの連中を見返すために読者モデルを目指す。中学生に恐喝されたり、中田に10万円する自転車を盗まれたりと散々な目に遭うが、死んだ父親の保険金を元に整形手術をして美少年となり、次期「オサレ皇帝」となる。整形してからは自信の表れか、中田の前でも余裕ある態度を取る。整形前と比べて服選びのセンスも向上したようで、一時期は中田をも凌ぐ勢いを見せるものの、総合順位では3位となり、また自分の自転車を盗んだのが中田であることを知り、自分をいじめていた不良たちを金で引き連れ復讐をしようとするも、逆に中田のバックにつく飯匙倩に叩きのめされる。
    その後、不良たちに顔を傷つけられ、読者モデルとしてやっていくことに空しさを感じ、進路変更で進学塾に通おうとするも、資金は整形や服で散財したことで底をついており、母と争った挙句、金属バットで何度も殴打して半殺しにして消息を絶つ。
    パピコとも関係を持っており、中田にパピコを妊娠させたと嘘をついている。

    パピコ
    読者モデル。本名は不明。本業はカフェの店員。その美しい容姿とファッションセンスに読者モデルを目指していた中田が憧れていた女性。「DRAGON BALL」のキャラのモノマネが上手い。幼い頃から家庭内で母に誉められた記憶が無いせいか自尊心が低く、いい男に誘われると、なし崩し的に性交渉まで持ってしまう癖がある。中田とは仲良くなるが、その一方で田川とも関係を持ってしまい、それを知った中田により小野に売られ薬物中毒に陥る。後に警察に駆け込んで中田の名前を出し、彼の破滅の原因となる。

    G10(ゴト)
    ファッション誌「デザート」の読者モデルのカリスマ「オサレ皇帝」の一人。本名は「後藤」(フルネームは不明)。ハットにサングラス、長髪に頭の中央部分を刈り上げた「逆モヒカン」が特徴。他人を「U」と呼んだり、口癖に「ポーッ」と言ったりするなど独特の喋り方をする。「他人に嘘はつくが自分に嘘はつかない」がポリシー。オサレ皇帝を目指す中田に対してアドバイスを与えるも、その一方で様々な悪事へ加担させてゆく。
    「オサレ皇帝」と称され、強いオーラを発するため若者たちには崇敬の対象となる存在だが、その正体は悪質な犯罪者であり、中田を始め数人の若者にショップ経営の話を持ちかけ、借金させて得た金を騙し取るという詐欺を行っていた。中田たちから騙した金で愛人とカナダへ国外逃亡を計るも、飯匙倩の舎弟である青田にいち早く逃亡先を特定されたため、逃げきれず空港で飯匙倩に取り押さえられる。最期は飯匙倩に拷問の末に殺害され、死体を山中に埋められた。

    イッセイ
    「オサレ皇帝」の一人。本業は美容師。28歳。中田と初めて会った際は「ウザい」と嫌悪感を露にするが、彼がオサレ皇帝となってから再会した際には、若くしてオサレ皇帝になった彼に興味を持ったためか、「それは『ウザキャラ』として居場所を作ってやろうとしていた」などと語る。ファッションに関しては信念を持っている。大学生の「オサレ皇帝」である高橋とジュンには「おっさん」「説教くさい」などと陰口を叩かれている。

    キクチ
    「オサレ皇帝」の一人で、六本木にある高級クラブ「パラダイスギャラクシアン」の店長を務める。自らの店を「需要と供給のバランスをスムーズに取る潤滑油」と称する。中田曰く「キミノリに似ている」。

    高橋(たかはし)・ジュン
    共に「オサレ皇帝」で、大学生。「一生ニートでいたい」などと言い合うなど、軽薄な言動が目立つ。どちらもパピコと性的関係を持っており「妊娠したら腹パンチすればいい」と発言している。

    小野(おの)
    大手通販サイト「グータラ」の社長。キクチの店の常連。G10や中田を介して覚醒剤を手に入れたり、アイドルや読者モデルをはべらせていたが、キクチからは「学生時代虐められ、金を手にしてから遊びを覚えた人間」の典型例として扱いやすい人種と認識されている。
    「フリーエージェントくん」でも、天生翔に儲け話を持ち込む存在として名前だけ登場する。

    ノブ
    中田と同じラブホテルの従業員。就職氷河期世代で、これまでの人生でかなり苦労しており、強い安定志向を持つ。自らを警部、中田を巡査と呼び、ホテル業務を警察の捜査に例えるなどふざけている一面もあるが、仕事にはそれなりのポリシーを持って真面目にこなしており、当初は中田から敬意を持たれていたものの、ファミレスでガムシロップを盗むなど徐々に現れる貪欲さから軽蔑されていく。
    物語中盤でホテルを解雇され、路頭に迷い漫画喫茶で生活していたところ、中田に裏稼業の片棒を担がされるが、逆につけこんで金をせしめていた。しかし、彼が飯匙倩に拘束されたために再び路頭に迷い、最後はおにぎりを買う金にも困窮。手持ちの最後の金で包丁を購入し、老婆から金を脅し取ろうとしたところを現行犯逮捕された。


    以上のようにWikipediaで紹介される作品。
    真鍋昌平氏による著作。
    週刊ビッグコミックスピリッツ2009年第22・23合併号〜第29号、第31号〜第35号掲載作品。
    2009年10月5日初版第1刷発行
    電子書籍制作会社 株式会社昭和ブライト

    楽園くん編1~12

    楽園くん編・・中田という登場人物、なんだろう。アパレルブランドに振り回されている感しかない。13万円の靴とか明らかに必要ない。欲しがる人間はそれを着飾ればレベルアップしたと勘違いするらしい。(もちろんあまりに小汚い服装がNGなのは当然だろうが)
    他の登場人物を含めて率直に言ってキミノリしか共感できない。
    楽園くん編の結末としては恐らく中田もキミノリも死亡している可能性が高く悲しい。
    日本人の所得は1990年代からほぼ横ばいのままだ。
    一方で物価は様々な物、サービスが値上がりしている。
    恐らく高級ブランドアパレルはもっと縮小していくだろう。
    バブル崩壊後、躍進した企業はUNIQLO、ニトリ、ドン・キホーテ・・・
    服に限らず高級ブランドというものが成立しなくなっているのだと思う。
    百貨店で高めのものを買い物をするって何それって状況だ。
    この楽園くん編は2009年〜2010年にかけて連載されたようだ。
    2023年の今、読んでみると高級ブランド服で着飾るとかますます無理だわな。

    人生は着飾ったり何かになったりしたらいきなり変わるのではない。
    日々の積み上げを薄く積み上げていく感じだ。
    振り返ると遠くまで来たという感じでないと。


    印象の残った点

    13万の靴を手に入れれば俺はレベルアップできるんだ。

    やめとけ!カッコだけマネても意味ねーから!
    それにそのシャツ フリマで100円で売ってたシャツだぞ!

    どーせ内面なんて誰にも見えやしねーんだ。
    見た目が良けりゃ十分っしょ。

    今日着てく服がねーんだよ!

    服の旬は短すぎる。

    同級生が大学卒業する22歳までに、俺は何者かになりてーんだ。

    オシャレオタクどもめ。
    知識と持ち物の自慢ばっかりだ。

    しょせん欲しい物も欲しい女も力のある奴が手に入れるんだ。
    ここにいる殆どの連中は服で自己表現した気になって何も生み出しちゃいねえ。
    誰かが作った服を組み合わせて誰かが作った曲を垂れ流す中エクスタシーで踊り狂ってるだけだ。
    しょせんぽっかり空いたモノを埋める為に地方から集まった連中が、
    何者かになった気になって何かやった気になってありもしないスタイルに追い回されて満たされるコトが無いまま・・
    流行と一緒に消えていく
    しがみつくのが精一杯。
    金の無い奴が手に入るファストファッションの奴隷になって
    取り残されないようにサイクルの早い安い服を買わされ続ける。
    うんざりだ。
    うんざりしながらまた買い物にいく。


    つまらないんだ。人生が。
    これからずっとこの生活が続くと思うとさ、
    冗談でも言ってないと頭がおかしくなりそうだよ。
    でもな、我々のラブホテルの業務は清掃を売っているんだ。
    数時間、下手したら数十分前にいた人間の気配を感じさせないくらいに清掃をするもてなしの業務だ。
    それを下らない仕事と笑うか、今、自分がやっていることに少しでも前向きに価値を見出すかでさ・・・
    この先積み重ねていく人生の、重みが違うと思うんだ。

    日曜の午後にさ、だらしなくビール飲みながらテレビ見ててさ、
    けだるいタバコの煙、ヤニでベタつくレースのカーテン。
    空気が重く濁ってて息苦しい居間。
    こーゆー休日を過ごす大人には絶対なりたくねーってずっと思ってたよ。

    空気読めよ。
    聞き流すのにも限度があるし。
    そーゆー個人的などーでもイイ話、ミクシイでやってくれる?

    U、全てを分かってもらおうとするな!

    あーゆー成り上がりの社長はさ、お金持った瞬間遊びまくるけど遊び慣れてないんだよね。
    元イジメられっ子で、基本自信無い癖にプライドばっかり高いんだよ。
    しょせん女を金で買ってるくせにさー、いっちょまえに恋愛したがるんだよねー。
    まあ扱いやすい人種だよ。

    親を頼れない本業の日雇いフリーターはさ、ホームレス一歩手前で金も貯まらない。
    毎日が不安で不安で・・・

    今、36歳なんだけどさ、この年になると、友達とも疎遠になるんだ。
    みんな家庭持ったり仕事忙しかったりでね。
    たまに・・・たまにだけどさ、日曜の夜に「ガキ使」が終わる時間に一人で部屋にいるとさ、さびしくて、さびしくて、たまらなくなるんだ。

    俺は弱い・・
    弱過ぎる・・
    些細な言葉ひとつで撃沈する・・
    なんで俺こんなにも折れやすいんだろう・・
    人の評価ばっかり気にし過ぎるからか?
    でも誰かに褒められてないと自分を保てない・・
    完全に愛されていたい・・
    不安でいっぱいだ・・

    俺には何もない。もっともっとカッコよくならなきゃ・・・
    誰にも相手にされない・・・・

    2023/10/09(月・祝)記述

著者プロフィール

漫画家。神奈川県出身。1998年、『憂鬱滑り台』で「アフタヌーン」(講談社)四季賞夏のコンテスト四季大賞を受賞、同誌同年9月号に掲載され商業誌デビュー。2011年、『闇金ウシジマくん』(小学館)で第56回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。その他著書に『スマグラー』『THE END』(講談社)などがある。

「2017年 『THE END クライマックス編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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