闇金ウシジマくん(20) (ビッグコミックス) [Kindle]

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  • 闇金ウシジマくん20 2010

    『闇金ウシジマくん』(やみきんウシジマくん)は日本の漫画家である真鍋昌平による漫画。2004年から2019年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で不定期連載された。
    2010年10月より、山田孝之主演で毎日放送(MBS)の制作によりテレビドラマ化され、その映画版が2012年8月25日より公開された。また2014年1月にはドラマの新シリーズが放送された他、5月16日には新作映画が公開された。詳細はテレビドラマの記事ならびに映画の記事参照。

    概要
    10日5割(トゴ)の超暴利闇金融『カウカウファイナンス』の経営者である丑嶋馨とその従業員の日常と、カウカウファイナンスに訪れる客、およびその関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いたストーリー。物語は各エピソードの中心となる人物の視点で進み、丑嶋はそれらの人物に接触する狂言回し的存在である。そのため丑嶋が全く登場しない回も多い。なお「○○くん」というタイトルは、当時流行した「むじんくん」(アコム)、「お自動さん」(アイフル)などのサラ金の自動契約機のネーミングから着想を得ている。
    2022年3月時点で累計発行部数は2100万部を記録している。
    第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。
    連載を終了した理由として、作者は「闇金業者という犯罪者の視点で描く話に限界を感じていた。『突き詰めて描けば描くほど読者が離れる』」と述べている。その後、弁護士を主人公とした『九条の大罪』を連載開始した

    「ヤミ金くん」編
    竹本優希(たけもと ゆうき)
    本エピソードの債務者。丑嶋の中学時代のクラスメイトで、親友。丑嶋のことを「カオルちゃん」と呼ぶ。中学時代、柄崎がクラスメイト全員を引き連れて行った転校生・丑嶋への集団リンチに唯一参加せず、罰として鉄拳制裁を受けるも、全く気にする様子を見せなかった。また、丑嶋の母が大切にしていたウサギを、とある事情で丑嶋から預かって世話をしており、これらの振る舞いは当時、孤立していた丑嶋にとって救いとなっていた。中学在学当時は学年首席の優等生であり、大学生の時に起業し成功を収めるも、今は日雇い派遣の仕事で生計を立てている。この作品では珍しく善人であるが、良い意味で人間らしさや我欲といったものに欠けており、誰に対しても分け隔てなく慈愛に満ちた優しさと飄々とした態度で接する「聖人君子のような人物」。
    ホームレス生活をしていたところを二郎に連れられ、悪徳貧困ビジネス『誠愛の家』に入居することになるが、そこでも善行をとり続け周囲に呆れられている。
    ヤサ男な風貌とは裏腹に非常に肝が据わっており、どのような状況であっても狼狽することはない。鰐戸三兄弟に対しても彼だけが積極的に意見をし、三蔵の恫喝にも一切動じず、甲本が鰐戸兄弟に竹本の指を折るよう命令された時も、自ら指を差し出すなど信念には一片の迷いも無い。本編において最後まで自分の信念を貫き、誠愛の家の関係者全員の負債(ケジメ)を一人で抱え、丑嶋自身の手によって劣悪な労働施設に飛ばされた。
    本編にはそれ以降は登場していないが、最終章「ウシジマくん」の回想において没落する以前の彼が登場する。社長令息であり、大学一年生の時に父親から、「時給を貰うバイトから得るものは無い」と言われ、1000万円を資金提供され、それを元手に地元の先輩・吉澤と組んでファッションブランド「サンバービィ」を立ち上げる(竹本が社長で、吉澤は専務。)。かなりの成功を収めていたが、吉澤の愚行が原因で会社に猪背組と繋がりが出来てしまい、それを問題視した父親にサンバービィ取締役の座を入れ替わられると同時に社長の座を辞任させられ、吉澤共々、解雇されていたことが明らかになった。

    甲本直人(こうもと なおと)
    誠愛の家3号室の新入り。ホームレス生活をしていたところを鰐戸兄弟に囲われる。容貌は醜く、無精ヒゲを生やしている。ホームレスになる以前は工場勤めであった。
    中学2年の時に同級生の初恋相手の女子にストーカー呼ばわりされて嫌われたことが人生の転落点で、高校は九九ができれば合格できる底辺レベルの工業高校しか行けず、友人もできなかったと自ら回想。ネットの中でも空気が読めず、掲示板でも書き込むタイミングがつかめないなどデジタルな環境ですら居場所を作れなかった。榊原に暴行を受けている黒田に対して「お前がいれば、いじめの矛先は俺には向かわない」と思うなど、性格も歪み切っている。過去には「樹里菜」というキャバ嬢に色恋営業を掛けられ200万を貢いだこともあった。
    丑嶋と鰐戸三兄弟のいざこざに紛れた竹本の作戦により、誠愛の家からの脱走に成功する。幾度となく自分を助けてくれる竹本の思いに次第に心を開き始め、最終的にはその思いに報いようとするものの、結局、竹本は一人で関係者全員の負債を負い、その犠牲と引き換えに手に入れたはずの大金(丑嶋の一部財産である5千万円)も悶主陀亞連合に奪い取られ、一文無しに戻ってしまった。このことで元の荒んだ人間に戻りかけ、強盗と強姦を働いて自殺することを考えるものの、竹本の意思を最後に思い出して踏みとどまり、「強盗よりバイトの方が気が楽、強姦よりピンサロの方がお手軽」と考え、もう一度借金できる場所を探して、人生を立て直すことを決意する。

    榊原耕司(さかきばら こうじ)
    3号室の室長。目下の入居者に対する思いやりは皆無であり、物品を異常な高値で売りつけたり、暴力を振るうなどして食い物同然に扱う卑劣漢。3号室の中だけとはいえ絶対的な権限を与えられており、同室の人間から巻き上げた小金で金回りも良いため、他の入居者ほどの悲壮感は感じられない。
    逃走を渋る甲本をリンゴ園の老人を殺害した事を持ち出して強請り計画に加担させ、竹本・甲本らと共に家を脱走する。騒動が終わった後は、90分1万円ポッキリのホテヘルを「生きる糧」と称するようなその日暮らしに再び戻ってしまい、丑嶋に性懲りも無く借金を申し込んでいた。

    黒田宏志(くろだ ひろし)
    3号室の入居者。既婚者。以前は真面目な銀行員だったが、遊び半分で買春した女子小学生を殺してしまったと思い込み、誠愛の家に逃げ込む。しかし虐待と搾取に耐え兼ね、脱走を試みるが失敗し、鰐戸三蔵に片足を切断される。切断口の痛みから逃れるためにシンナーを榊原から購入しており、重い中毒に陥っている。
    竹本が脱走させた畑山の代わりに人質に偽装させられ、鰐戸三兄弟と共に行動するが、最後の最後で正体が判明し、三兄弟と悶主陀亞連合の抗争に巻き込まれる。結局、無事ではあったようだが、犯した罪を全て暴かれ新聞の三面記事を飾ってしまった(なお女子小学生は死んでいなかった)。

    畑山明紀(はたけやま あきのり)
    暴走族「悶主陀亞連合」現総長。鰐戸三兄弟によって拉致され、片目を潰される、胸にブラジャー状、目の周りにメガネ状の根性焼きをされるといった悲惨な拷問を受けるが、竹本の機転によって解放され、三兄弟に反旗を翻して逆に凄惨な報復を加えた。
    暴走族らしい鬼畜な性格の持ち主で、竹本に対しては「この恩は返す」と言うも、解放され鰐戸三兄弟に報復を加えた後には、黒田の分け前分の金を奪い取り、甲本を子分に追跡させて大金を強奪した。また、甲本より強奪した丑嶋の大金5千万円を、滑皮には「1千万円」と偽って献上し、残りは自身の整形費などに割り当てようとしていた。

    鰐戸一(がくと はじめ)
    本エピソードのキーパーソンの1人。『誠愛の家』の経営者で、社会的弱者をターゲットとした奴隷事業を営む。
    柄崎の地元で「決して逆らってはいけない」と恐れられていた鰐戸三兄弟の長男。三兄弟の中で最も冷静で計算高く、末弟・三蔵のストッパー役でもある。かつては当時中学生の柄崎や加納を筆頭に、地元の後輩たちをパシリに使い、いびっていた。しかし、三兄弟の権勢は末弟の三蔵が恐れられていたことで保たれていたに過ぎず、柄崎が連れてきた丑嶋に三蔵を半殺しにされたことで、あっさりと影響力を失う。これによって今まで虐めていた者たちから凄惨な報復の末に、弟の二郎と69をさせられている動画を流出させられ、以後は田舎でのシノギ生活を余儀なくされることとなった。こうした経緯から、丑嶋に強い復讐心を抱いている。
    『誠愛の家』に軟禁した労働者達を「人間以下のクズ」呼ばわりして徹底的に搾取し、医療廃棄物を素手で処理させたり、リンゴ農園でリンゴの窃盗を強要するなどしている。
    復讐を実行すべく『カウカウファイナンス』を襲撃し、柄崎と加納を拉致し、丑嶋から金を身代金をせしめるも、悶主陀亞連合が乱入してきたことで展開がもつれ、最終的には悶主陀亞連合に拉致され二郎、三蔵と同様に凄惨な報復を受けた。

    鰐戸二郎(がくと じろう)
    本エピソードのキーパーソンの1人。鰐戸三兄弟の次男。『誠愛の家』では人入れ担当。
    非常に弁が立ち、巧みな話術で竹本や甲本を『誠愛の家』に引き込んだ。彼もまた、最終的には悶主陀亞連合により凄絶な制裁を加えられる。

    鰐戸三蔵(がくと さんぞう)
    本エピソードのキーパーソンの1人。鰐戸三兄弟の末子。兄弟の中でも随一の凶暴性や残虐性を持ち、丑嶋たちの地元では「絶対に逆らってはいけない3人」の中の一人に入っていた。鈍器や凶器を持ち歩くことが多く、特にレンチを愛用している。兄たちと共に柄崎や加納に無茶な要求をし、大金を奪ったり車上荒らしをさせたりしていた。
    唇が剥がされて歯がむき出しになっており、真っ二つに縫い目の通ったスキンヘッドと、異様な容姿をしている。唇はかつて滑皮に切断されており、現在は常に口元をバンダナで覆い隠している。頭の縫い目は、過去に中学時代の丑嶋に頭をバットで殴られた時の傷跡。このことで、丑嶋や滑皮を「殺すリスト」に入れており、非常に強く復讐心を燃やしている。
    セックス中に少女の首を締め上げたり、猫を高層ビルから落として興奮したり、実家の自室に動物の死体や骨、さらに刃物が刺さった丑嶋の似顔絵などを飾るなど、根っからのサディスト趣味の持ち主でもある。
    『誠愛の家』所長を務め、監禁に近い形でホームレスを囲った上で違法行為の「仕事」をさせ、脱室者には足を切り落とすなどの拷問を加える。他人に指図されることを嫌い、たとえ兄であっても容赦なく怒鳴るが、単純なため、簡単に諭される。
    物語終盤、丑嶋の金を奪い取ることに成功するが、都陰を利用した滑皮と戌亥の策に嵌り、悶主陀亞連合の総攻撃を受ける。多勢を前にしても闘争心を剥き出しにするなど凶暴性の高さを見せつけたが、結局惨敗。自作の拷問グッズで拷問を受けるという処刑動画が後に流通する。

    山口美香(やまぐち みか)
    カウカウファイナンスの債務者。働かない父親の代わりに風俗で働いているが、自身もホストの光に貢いでいる。
    家の前を通りかかった甲本にストーカーされており、彼を不気味がる。その後、無一文になり絶望した甲本に道連れで命を狙われるが、彼が思いとどまったため助かる。
    最終的に借金は高田に取り立てられており、その際に彼に惚れた様子だった。

    山口徹(やまぐち とおる)
    美香の父親。6人の子持ちだが一家の長としての責任感は皆無。職場では上司と揉めて、すぐに仕事を辞める、大型運転免許を持っていることを根拠に「月50万稼げる」と言いながら、家でゴロ寝する、空腹の子供にポテトチップスを与えて食事代わりにさせるなど怠惰な日々を送り、娘の美香が風俗で働いて稼ぐ金に家計を依存している。

    綺羅理光(きらりひかる)
    美香が貢いでいるホスト。借金の取り立てに来た丑嶋を見くびっており「ポケモン」と自称しているケツモチのヤクザ・鳩田に連絡するも、丑嶋を恐れる鳩田に見捨てられ丑嶋に暴行を加えられた。

    阿部(あべ)
    回想シーンにのみ登場。丑嶋が転校したクラスのクラスメイトの一人で、肥満体型。
    柄崎や加納らと共に丑嶋のリンチに参加したが、退院直後の丑嶋に見つかり、報復で痛めつけられた末にクレーン車に吊し上げられた。



    「トレンディーくん」編

    鈴木斗馬(すずき とうま)
    本エピソードの債務者。アラサーのエリートサラリーマンで妻子持ち。32歳。実家は東京郊外の酒屋。
    孤独を抱えており、結婚しても孤独感は癒されることはなく、毎晩のように、一人の相手に多くを求める女性に対して、より多くの異性との繋がりを求めて浮気を重ねる。出張と偽って浮気をしているため、記録を残したくはない浮気費用は「カウカウファイナンス」からの借金で賄うことが多い。
    「人付き合いは悪いけれど、クライアントからの評判はいい」と会社で評されるような優秀な外面(そとづら)とは裏腹に、子供のころから無理をして私立の小学校に通わせられたことや、そのために親が負担を掛けていることを口にされ続けたこと(本人曰く「抑圧された日々の中、『宝島』と『SMスナイパー』が俺の支えだった」や、「まーまーいい大学」に入学したが、金持ちのボンボンが幅を利かせる大学で肩身が狭かったことなどの精神的抑制によって卑屈で孤独な性格が形成された。
    「まーまーいい会社」に入社した後は、寂しさを埋めようと人に慣れる努力や女性との付き合い方を研究し、精神面を鍛えて今に至る。
    今井万里子との浮気写真を、妻の依頼した調査員に撮られ、口止め料を請求され借金を重ねていく。娘の入院で大切なものが何かをようやく自覚するが、時既に遅く、取り返しのつかないところまで行き着き、大きく後悔する。
    債務者の中では「上客」として丑嶋に評価されている人物ではあったが、結局、自分を変えるまでには至らず、そんな自分を自嘲しつつ異性との繋がりを求めて彷徨う。

    鈴木君江(すずき きみえ)
    斗馬の妻。夫の斗馬とは冷め切った夫婦仲であり、育児のストレスも重なり不満を抱いている。
    斗馬が不倫していることを薄々感じ、探偵会社に依頼して調査してもらうが、ある晩のセックスで自分のスポットではないところを攻めたため「クロ」と断定。調査員が隠し撮りした浮気写真を見て精神的に崩壊する。
    それ以来、娘に対しても苛烈な態度を取るようになり、娘が入院する遠因となる。

    鈴木虹奈(すずき にいな)
    斗馬の娘。ごく普通の子供であったが、父と母の不仲や母の精神的な崩壊を感じ取り、描く絵が奇妙な物になるなどの奇行が目立つようになる。精神の変調が原因となり入院することとなった。

    今井万里子(いまい まりこ)
    50才を過ぎた女性。通称:アラフィフ女。年齢を感じさせないスタイルと美貌を持ち、斗馬は当初「人造人間だな」と述べていた。しかし、次第に惹かれ合うように斗真は彼女と浮気をするようになる。その美しいスタイルと美貌は、斗馬の当初の推測通り、薬と化粧で作り上げた美貌であり、効果が薄れると歳相応の老けた姿になってしまう。最後は自身の経営する美容サロンを詐欺で訴えられてしまう。

    藤原理絵(ふじわら りえ)
    美容師。斗馬の遊び相手の一人。斗馬曰く「M女」「ヤリマン」。彼女も幼少期の両親の離婚により心に孤独を抱えており、斗馬に対して従順に振舞うことで心のバランスを保っている。
    斗馬の子供を妊娠するが堕胎することとなる。

    テルミ
    3児の子持ちのシングルマザー。21才。母親としての責任感は皆無に等しく、生活能力も壊滅的である。歯が汚く、左手にはリストカットの跡がある。
    丑嶋に借金があるが、当初は踏み倒すつもりでおり、「雅くん」と呼んでいるチンピラの彼氏を連れて追い返そうとするも、逆に丑嶋のハッタリで彼氏共々、怖気つく。その際に一応は返済の意思を見せたため、丑嶋に「女好きの客」という名目で同じ債務者の斗馬と引き合わされる。
    借金返済のために自宅で売春を行い、その際には「ルミナ」という源氏名を使っている。


    以上のようにWikipediaで紹介される作品。
    真鍋昌平氏による著作。
    週刊ビッグコミックスピリッツ2010年第32号〜第38号、第42号〜第47号掲載作品。
    2010年12月5日初版第1刷発行
    電子書籍制作会社 株式会社昭和ブライト

    ヤミ金くん編24~29
    トレンディーくん編1~6

    ヤミ金くん編は加納、柄崎が鰐戸三兄弟に捕まり拘束を受ける。
    丑嶋に対し2億円を持ってくるように連絡する。
    竹本優希の対応で畑山が逃されたことで事態は変わっていく。
    よくよく考えるとなぜ顔まで完全に隠していたのか。
    漫画の展開上の都合もあるのだろうが・・・
    竹本は畑山に警察を呼ぶことを期待していたようだ。
    しかし実際にやってきたのは悶主陀亞連合。
    丑嶋の後をつけ、鰐戸三兄弟との死闘・・といっても多勢に無勢で鰐戸三兄弟は凄惨な報復、拷問を受けることになる。
    ここだけはさすがに同情せざるを得ない。
    まあ、一発逆転思考の行き着く先というか。
    半グレやヤクザの私刑(リンチ)を止める必要がある。
    別にかつての新左翼運動のような国家転覆的なものではないのだから。
    暴力の連鎖を止めないといけないと言っていた竹本の台詞が身にしみる。
    ただそれはほぼ実現できなかったわけだが。
    竹本は全ての債務者の債務を背負い、危険な清掃の仕事へ売り飛ばされるのだった。
    それを後悔はしていねえと言いながら車の中で泣いている丑嶋が印象的だ。

    竹本の送り込まれた仕事は恐らく原子力発電所関連の清掃の仕事のはずだ。
    ただ3.11以降あの業界の闇が散々大きく報道されて大きく状況は変わっているはずだ。
    できれば竹本にはそんな場所から出てきてもらいたいものだが。
    彼のような人間は宗教とかNPOとか資本主義社会とは違う論理で動く所で活躍した方が社会にとっても意味があると思う。
    なんと世の中は理不尽なのか。
    甲本がほんの少しだけ変わったことを示してこのヤミ金くん編は終わる。
    それは竹本の願っていたことが実現したことでもある。


    トレンディくん編
    浮気調査、友人のいない孤独な男の物語。
    遊び人の友人だけはいるが・・・・
    浮気調査で、調査員が夫の浮気の証拠写真を夫に示して妻への口止め料40万円をせしめてさらに妻に追加で調査しませんか?と営業する場面は恐ろしい。
    ある意味こうやって浮気調査は儲けるビジネスモデルになっているというか。
    信頼できるまともな調査員を使わないといけないのだろうが・・・
    口コミサイトもあまり機能しなさそうな世界なので難しいのだろうか。
    (口コミサイトは比較が簡単なもの、本、映画などでは活発に機能するが、不動産とかはまるで機能していない。浮気調査なんて千差万別且つ何度もお願いするもんじゃないし口コミサイトは機能しなさそうだ・・・・)

    旦那のケータイはスマホだ。
    この20巻が出たのは2010年12月。
    世の中でもスマホやiPhoneが急速に普及しはじめた頃だ。
    ヤミ金ウシジマくんは連載開始から連載終了まででその辺の時代の変化も描かれている。


    印象に残った点

    暴力は暴力しか生まない。
    僕らの力で負の連鎖を食い止めるんだ。

    一歩勇気と持って踏み出せば絶対に何かが変わる。

    二郎、こんな金(1億5千万円)じゃ一生は暮らせねえ。
    もっと稼がねーとよ。

    (ここは鰐戸一に同意する。妙に浮ついてFIREだ何だとX(旧Twitter)上でオラついているリベ大生よりはまともな感覚を鰐戸一は持っている。ただ他の金も獲ろうとして潜伏先を弁護士に漏らしたことが命取りになった。潜伏先はどんなことがあってももらしてはいけないのだ。)

    罪は許される。
    罰を受けていつか救われる。

    感情に流されて生きるのは安易だから僕は人を責めない。
    どうしようもない人でも許すことを学ばないと人を愛せない。

    簡単に手にした金は簡単に使う。
    ダメな奴は簡単には変わらねえよ。

    でもいつか変わる。

    若い女なら体1つで金になるが、
    何もない男が5千万円を作るとしたら、それなりの厳しい事をしなきゃならねえ。

    いいか竹本。自分のケツは自分で拭かねーと人は何も変わらねーんだ。

    自分のしてきた事の責任を何処かできちんと取れば人は変わる。

    人が人を見捨てたら何も残らない。

    カオルちゃんはクズは変わらないって言ったけどさ、
    さっき甲本っちが僕を見捨てずに庇ってくれただろ?
    それで十分だよ、カオルちゃん。

    竹本の悲惨な末路は仕方がねえ。
    ガキのままじゃいられねえよ。
    みんな少しずつ変わってくもんだぜ。

    竹本・・お前は極端過ぎる。
    行き着く所に行くしかねえ。
    俺も極端だ。
    お互い生き方は変えられねえんだ。

    男の墓場だぜ、結婚は。

    あ?でも子供育てること考えたら体力的に34がギリじゃね?

    でもよ、女は欲深いから男に対する欲求の多さがハンパなくね?

    女がイク時ってアソコがギュギュッて吸い上げる動きするじゃん。
    気を付けねーとアソコから全て吸い取られちまうぞ。
    女は恐ろしく貪欲だからよ。

    確かに女は一人の男に求め過ぎる。
    男はいっぱいのおっぱいとファックを望んでる。
    その違いを理解し合えれば世の中は今より上手くいく。

    メシの食い方が汚え女はブタ以下だ。
    ブタを口説くと人間に戻れなくなるぞ瀬野チン!

    予想できる味。
    驚きもなく期待を裏切る事もない味。

    一緒にいる人と会話しないで、ネットの誰かと会話してる人多いな。

    ママ、欲望に負け続けた体しちゃって・・・
    何か食べたい時、何か言い訳をするんだから・・・

    女は現金だから強い方になびく。

    東京の外れで酒屋をやっていた親父が、配達先の玄関を見れば家庭環境が分かるって・・・

    男がしっかりしねえーと女は苦労すんだなあ

    (浮気調査は)一日の調査料がだいたい7万円位です。
    4日調査したとして、だいたい28万円ってとこですかね・・・

    浮気は女を深く傷付けるわよ。

    ねえ街を歩いていると悲しくなるわ。
    物を買わせるための言葉で埋め尽くされてる。
    美しい言葉は意味を失いかけてると思わない?

    体型を変えないのが一番の節約法かもねー

    服も毎年は買い替えないわ。

    女を知り尽くすなら、一人の女ととことん向き合いなさい。

    口止め料で40万円。
    奥さんに嘘の報告書提出しますわ。

    たまに夫婦生活して不安を払拭するのが円満の秘訣だな。


    2023/10/22(日)記述

  • 18~20巻はヤミ金くん。中学時代のエピソードを交えながら、鰐戸三兄弟とやり合う。人は信じ助ければ変えられるのかという話の横で、どんどん裏切り落ちていく人がいて気分が重い。

  • 「ヤミ金くん」編完結。誠愛の家を巡るトラブルは、ついに丑嶋たちのもとにまで波及。「信じる」ということはどういうことなのか。そして「いい人」竹本の行く末は。
    「トレンディーくん」では、浮気に走る鈴木斗真の奔放さがどういう転落を迎えるのか。

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著者プロフィール

漫画家。神奈川県出身。1998年、『憂鬱滑り台』で「アフタヌーン」(講談社)四季賞夏のコンテスト四季大賞を受賞、同誌同年9月号に掲載され商業誌デビュー。2011年、『闇金ウシジマくん』(小学館)で第56回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。その他著書に『スマグラー』『THE END』(講談社)などがある。

「2017年 『THE END クライマックス編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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