なまけ者と雨 [Kindle]

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  • 2012年10月1日発売
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  • 今回は若山牧水の名随筆。雨がしとしと降るような、家の縁側で雨の音を聞きながら物思いにふける中に、かつて牧水が読んだ歌が散りばめられている。この句がなかなかにおいしい、というか読書をしていておいしいところに行きあたるものを読書会でチョイスされているのがありがたい。
    個人的には以下の句が気に入った。
    「雨けぶる浦をはるけみひとつゆくこれの小舟に寄る浪聞ゆ」
    雨けぶる浦、とは、水場にさらに雨が降り、やや景色がぼんやりと見えるさまが目に浮かぶようだった。さらに雨の音の中に波の音まで聞こえる。白く浮かぶ風景に、聴覚も刺激されるような句だと思った。
    自分も雨の日は物思いにふけることが多いが、筆者は雨を好むという。あらゆる景色に風情を感じられてこその、歌人というやつだろうか。
    ところで最後の方に書いてあった室内のデスクが嫌になって廊下にわざわざ小さな机を持ち出すというのがちょっと面白い。それ、学校で教室から追い出された時にうける罰では…(笑)と、ちょっと思った。

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著者プロフィール

1885(明治18)年、宮崎県生まれ。延岡中学時代から作歌を始める。早稲田大学英文科卒。早大の同級生に北原白秋、土岐善麿らがいた。1910年刊の『別離』は実質的第一歌集で、その新鮮で浪漫的な作風が評価された。11年、創作社を興し、詩歌雑誌「創作」を主宰する。同年、歌人・太田水穂を頼って塩尻より上京していた太田喜志子と水穂宅にて知り合う。12年、友人であった石川啄木の臨終に立ち合う。同年、水穂が仲人となり喜志子と結婚。愛唱性に富んだリズミカルな作風に特徴があり、「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ」など、人口に膾炙される歌が多い。また旅と自然を愛し『みなかみ紀行』などの随筆をのこした。27年、妻と共に朝鮮揮毫旅行に出発し、約2カ月間にわたって珍島や金剛山などを巡るが、体調を崩し帰国する。28年、日光浴による足の裏の火傷に加え、下痢・発熱を起こして全身衰弱。急性胃腸炎と肝硬変を併発し、自宅で死去。享年43歳。

「2021年 『歩く人 牧水紀行文撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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