読書法 [Kindle]

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  • 2012年10月1日発売
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  • 戸坂潤(1900/9/27-1945/8/9)は、物理学者であったが、西田幾太郎に師事。のちに、唯物論哲学者となる。著書が発禁となり、1945 長野刑務所で病死
    本書は、1938に三笠書房より、発刊、国立国会図書館オンラインにて、デジタルアーカイブが公開されている。

    内容は、一種の哲学入門書であり、ブック・レビューが中心とある 感覚認識、秩序づけられた経験、論証的認識、行為、情念、道徳、儀式の7部

    第2次世界大戦前年に発売された図書だけに、ドイツ全体主義や、ソビエトなど記載が各所にみられます。

    マルクス主義者であり、日本共産党の宮本顕治の文芸評論などが冒頭に記されている。

    目次

    読書法
    序に代えて

    Ⅰ 読書法日記
     1 読書の自由
     2 譬喩の際限
     3 耕作農民の小説
     4 「文化的自由主義者」としてのA・ジード
     5 宮本顕浩の唯物論的感覚
     6 コンツェルン論の「結論」
     7 科学が文章となる過程
     8 古典の方が却って近代的であること
     9 歴史哲学の一古典
     10 「日本科学年報」の自家広告
     11 心理と環境
     12 「外国人」への注意書
     13 古本価値
     14 文化が実在し始めた
     15 科学主義工業に対して

    Ⅱ 論議
     1 現代文学の主流
     2 哲学書翻訳所見
     3 世界文学と翻訳
     4 作文の意義
     5 「本邦新聞の企業形態」に就いて
     6 易者流哲学
     7 岩波文庫その他
     8 現代哲学思想と文学
     9 デカルトと引用精神

    Ⅲ ブックレビュー
     1 「近代唯物論」
     2 「小説の本質」
     3 「文学と趣味」
     4 「唯物恋愛論」
     5 「統計学と弁証法」
     6 「ファシズムの諸問題」
     7 「芸術とヒューマニズム」
     8 「日本文学の世界的位置」
     9 「世界哲学史」
     10 「自然弁証法」
     11 「時間意識の真理」
     12 「ソヴェート旅行記」
     13 「昼夜随筆」
     14 「人間の世界」
     15 「ファシズムの世界観」
     16 「日本歴史読本」
     17 「科学的精神と数学教育」
     18 「フランス現代文学の思想対立」
     19 「農村の工業と副業」
     付1 ジードの修正について
     付2 「科学主義工業」の観念

    Ⅳ 書評
     1 マルクス主義と社会学
     2 非常時の経済哲学
     3 「イデオロギーの系譜学」
     4 再び「イデオロギーの系譜学」
     5 「唯物弁証法講話」
     6 「現代宗教批判講話」
     7 「現代哲学辞典」
     8 「人間の世界」を読む
     9 朗らかな毒舌
     10 「日本教育の伝統と建設」
     11 「科学的精神と数学教育」
     12 社会・思想・哲学・の書籍について

    Ⅴ 世論
     1 ブック・レヴュー論
     2 読書家と読書
     3 論文集を読むべきこと
     4 如何に書を選ぶべきか
     5 論文の新しい書き方
     6 校正
     7 翻訳について
     8 篤学者と世間
     付 最近のドイツ哲学の情勢を中心として

    青空文庫

    底本 戸坂潤全集 第5巻 勁草書房
    1967年02月25日第1刷発行
    1968年12月10日第3刷発行
    695頁

  • 最後の箇所が大きく2つ有益だった。

    青空文庫でタダだから、本の読み方の本だと思いDownloadして読んだところ、昔の哲学者の書いた本だったので難解な表現に苦しんだ。
    (哲学は全く知らない世界)
    殆どのページは知らない・興味も湧かないブックレビューなので速読で眺めた程度。

    しかし、終盤の読書人についてのくだりは個人的に痛いことを書いてあった。多くを読むことばかりで知識を蓄えるが考えない思考停止に陥っている読書人を戒めていた。
    これは気をつけたい。

    また、著者はハイデッガー、そしてハイデッガーを日本に導入して名前を売った和辻や西田幾太郎を批判し、更にハイデッガーの思考をイデオロギー形成に採用した軍部を批判した。そのため、特高に逮捕され第二次世界大戦集結直前に獄死した。
    最後の付録には、ハイデッガーや西田哲学のイデオロギーに対する対談が掲載されており、当時の状況では身の危険を顧みず主張を続けた哲学者を思い熟読した。
    この箇所は何も考えずにイデオロギーに従う思考停止を諌めており、こちらも有益だった。
    我々はマスコミ・思想・宗教・教育・会社・etcの主張するイデオロギーに盲信していないだろうか?
    そんなことを考えさせられた。
    良い本だった。
    最後にこの本を青空文庫化したボランティアの方に感謝したい。

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