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感想・レビュー・書評
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西遊記でおなじみの沙悟浄が、玄奘たちと出会う前のお話。
世界の究極の意味を知りたくて、偉い人たちに会いまくって話を聞きに行くけど、ちっとも納得のいく答えは見つからない。
どれか自分に刺さる金言はあるかな?と思いながら読みました。あまりなかったけど、隣人愛を解く聖僧が飢えて無意識に子どもを食べたので悟浄はドン引きしつつ、人間の持つ本能的、没我的な瞬間だと無理やり解釈したエピソードが印象的でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
沙悟浄、ただの河童君としか認識していなかったがこの本を読んで見方が変わる。あれこれ考えるより、まず体を動かし行動しようと思う。「概観による時は無意味のごとくなれども、その細部に直接働きかけるときはじめて無限の意味をもつ」
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病院での点滴中に平岩弓枝『西遊記』2を読み了えてしまったので、本作をダウンロードして読む。
多磨霊園、中島敦の墓を掃苔したことがある。文名を馳せる前に亡くなったので慎ましい墓だ。
『ファウスト』や『ツァラトゥストラ』を意識して書かれたというが、後者の色が濃い。
私見だが、石川英輔『SF西遊記』の沙悟浄は、本作の影響下にあるように思う。 -
西遊記、沙悟浄が主人公。彼が世に出ようとしていろいろな先人に知恵を授かろうと行動するが。
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・世界とはな、自己が時間と空間との間に投射した幻じゃ。自己が死ねば世界は消滅しますわい
・まずはふさわしい場所に身を置き、ふさわしい働きに身を打ち込め。身の程知らぬ『何故』は、向後一切捨てることじゃ -
自己について色々な解釈の仕方があるんだなぁと思った。
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何度読んでも面白い。文体が良い。チョコチョコ、意味不明ヶ所があるけど、分かるまで読み返したい。
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題名を見て万城目学『悟浄出立』を思い出し、手に取る。なぜ、という疑問を持ち続ける悟浄は、心中のもやもやを晴らすために、様々な賢人たちを訪れるが中々答えは見つからない。彼は、三蔵法師たちとの旅で、何かを見出していくことになるのだろう。答えを探し続ける彼が出した一つの答えは、他人の考えを聞くばかりではなく、自分から学び取るということではないかと思う。思索にふけるだけでなく、三蔵法師らとの旅のなかで、実際に考えて行動して生きる人たちから何かを得ることが悟浄の旅の目的だったのかなと色々想像を巡らすと面白い。
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【思い出】
たしか始めに知ったのは「悟浄歎異」のほう。高校の国語の時間に、先生の作ったプリントで。
西遊記のパロディものということで、古典パロディ面白いなと思ったのと、沙悟浄のキャラになんかシンパシーを感じてしまったのと。
で、そのあと高校生のうちか、大学に入ってからか忘れたけど、この「悟浄出世」も読んだのではなかったかな?そしてますます、沙悟浄は私だ!まさに!これは私の一生のバイブルだ!みたいな興奮を覚えたのでした。
【30になった今読んでみたら】
万城目学「悟浄出立」を店頭で見て、その本は特に読む予定はないのだけど、あ、中島敦もっかい読みたいな、と思ってこのたび読み直した。
あの若き日の興奮をもう一度味わいたかったのだけど、なんとびっくり、そう鮮やかには蘇りませんでしたね…。人は変わるものだ…。
なんとなく、これこれこういう点があのときの私にマッチしたんだろうな、という理解はできるのですが。寂しい…。
【改めて感想】
・始め漢文調で、でもだんだん日本語っぽくなっていくのが、(山月記もそうだった気がするが)、うまいなと思う。
・妖怪世界の描きかたも面白い。「妖怪とは、自己の属性の一つだけを極度に、醜いまでに、非人間的に発達させた不具者」であるとか。悩める沙悟浄がいろいろな哲学者(妖怪の)に会いに行くが、悩める沙悟浄と反対に、彼らは完全に自己完結していて、そこがまた、微妙に人間らしくなくて良かった。