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感想・レビュー・書評
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大戦中、人々は愛玩動物を飼うゆとりも無く、街は捨てられた犬猫で溢れかえっている。卑屈に人間の顔色を窺う元ペットの群の中で、一匹異彩を放つ巨大な黒猫。生命のギリギリの淵にあって、尚も孤高に威厳を失わないその姿に主人公は尊敬に似た気持ちを覚える。しかし食糧難の時代、闖入者の存在を容認できるほどの余裕は人間の側には無い。
残酷ではあるが、これも動物と人間とのひとつの関係の有り様と思う。
集団でもみくちゃになりながら生殖活動をするオットセイや、人間に媚びて生きようとする愛玩動物への主人公の嫌悪は、戦時下の日本人に対する著者の嫌悪感を投影したもののようにも思える。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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