蟲師(1) (アフタヌーンコミックス) [Kindle]

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  • 植物でも動物でもない、生命の原生体たるモノ──“蟲”。それがヒトに奇妙な影響をもたらす時、蟲師・ギンコが現れる。

    動物でも植物でもない生命、“蟲”。時にヒトに影響を及ぼし、奇妙な現象を招く妖しき存在。そんなモノとヒトとをつなぐ“蟲師”ギンコの果て無き旅路。

    精緻な絵とゆったりと進むもしっかりとしたストーリーが魅力的なマンガ。

  • 大好きな漫画。
    遠野物語や日本の伝承・昔話が好きな人は、きっと好きだと思う。
    草の匂いが漂ってきそうな表紙。美しい。内容も素晴らしい(アニメも素晴らしかった)。各タイトルも好き……。惚れ惚れしてしまう。

    そういえば、四話目だけ珍しくギンコさんに髭が生えているけど、これが受賞作だったのか。

    今でも、地域の民俗風習の本で「○○な時に□□すると▲▲が起こる」なんて文章を読むと、これが蟲師だったらどんな話になっただろうなーと妄想して楽しむことがある。

  • 民話風の怪異譚です。こういうの好きです。飽きません。蟲師のギンコさんは男なのに変わった名前ですね。随分続いているようですが、種本はあるのでしょうか?

  • 生物なのだが、死線の周囲を彷徨う存在。これに取り憑かれた<患者>を治療する<蟲師>のエピソードを登場人物の人生に絡めて展開する物語。20年前に注目されたのだそうだが、寡聞にして見逃していた。かつてこの手の内容は嫌いじゃなかったが、なぜか地味に感じる。地味で当たり前なのだが、地味が前面に出て来る。何が足りないのかわからないが、
    第1巻
    (第2巻まで感想を書いておいたのに保存しなかったのか、消えていた。悲しい…。ということでもう一度第1巻を棚から出して書き直している。)
    解説に終始するという感じが否めず、本作(5短編)のいずれもそれほど惹かれるものはなかった。敢えて取り上げるのなら「枕小路」だろうか。蟲師の仕事は万能ではないというところからの展開は悪くない。
    第2巻
    この巻では「綿胞子」が抜きんでて良い。胞子の生長の最終形がたまたま人間の形を取ると言うだけだったはずなのに、<退治>された胞子は人格を持つというエピローグがこの物語を深いものにしている。
    第3巻
    「海境(うなさか)より」は本巻までの短編における唯一のSF系。その霧が訪れると時間の歩みが早くなる。加えて元の世界へ戻るなり生命は断たれる。時間の、どうにもならない現象が<掟>のように人々を支配する。ペーソスを感じさせる佳作だ。
    ちなみにこの間の最終短編「眇の魚(すがめのうお)」で主人公ギンコの名称が銀蠱という蟲に由来することと、片目を失った理由がわかる。
    第4巻
    「春と嘯(うそぶ)く」はある蟲が自分の生きる道筋として真冬にでも春を創り出すことができた。偶然にその場に出くわした少年は美しさと、そこから採れる収穫物に夢中となる。しかしその代償として眠りに襲われる。この眠りを解くのは春に孵化する特別の蝶。与えられるものが人を幸せにしても、それを創り出す蟲とは異なる次元の副産物でしかないということを教える。
    第5巻
    「暁の蛇」は蟲によって少しずつ記憶を喰われてしまう女性の話。しかし、永く戻って来ない夫と小さな自分の息子のことだけは忘れない。あるとき夫を探しに旅に出るが、ようやく行き着いた先で、夫は知らぬ女性と家庭を持っていた。そして、どん底の思いもまた蟲に喰われてしまう。すべてを知る息子は静かに母に寄り添う。認知症を彷彿とさせる面もあるが、記憶は失うことの方が良いこともあるという静かなメッセージに良い印象を持った。
    第6巻
    各巻は5つの物語で構成されているが、今回は光酒に関するものが3つを占めた。どれも悪くはないが、蟲に従属する運命という点では物語とは言えず、症例に過ぎなくなってしまうように思える。その点、冒頭の「天辺の糸」は蟲に弄ばれる女に対し、反発と同化が絶妙なバランスで展開される。相手をしっかり捕らえていないとこの世の者ではなくなってしまうという設定が良い。しっぽりとした余韻を残してくれるという点で秀作だ。
    第7巻
    「雷の袂(いかづちのたもと)」はこれまでの語りと少し異なる点がある。子を愛せない母親は、どれほど子供が危険に晒され、愛に飢え、母のために自らを犠牲にしようが心は渇いたままだ。蟲の話は添え物で、結局、彼女の息子は遠縁に引き取られるところで物語は終わる。ここでは蟲ではなく心そのものの侵食を語るという点でユニークだった。
    第8巻
    「隠り江(こもりえ)」は自立心を育てることのできない少女がかつての女中に強い依存心を持つ。蟲はその心の弱さにつけ込むように少女の心を侵食しはじめる。その行き着く先はこの世からの消滅なのだが、少女はそれを遠退けることができる薬さえ拒む。治癒とは何なのか? 人生とは何を基準に肯定と否定を掲げるのかを問う。
    第9巻
    「残り紅(のこりべに)」は影に取り残された人間意識が他の宿り主を求めて放浪し、出会うとすり替わるという話を下地にしている。もちろん体を与えられた意識は普通の人間と変わらず、ただ知らずうちに他人の体を得たという後悔を抱えているに過ぎない。そのような影に幼馴染みを盗られた男がいたが、彼は知らず、かつて影でありその娘を盗った女と夫婦になる。女は老いてその事実を知り懺悔をするが、男は女をかけがえのない存在として受け入れる。数年が経ち妻が死んだ。男は山へ入り影を見つける。それは幼馴染みの影に違いない。男は影に向かって「自分に入れ」と訴えるが、影は躊躇したのちその場から去ろうとした。影の身でありながら気持ちが残されているこのシーンが物語りのハイライトとも言える。男は追って行ってその影を踏む。間もなく遠い昔に失踪した娘が山を降りてくるところでこの話は終わる。
    第10巻
    全10巻のうち、最終の1話は2部構成(2倍のボリューム)になっている。『鈴の雫(すずのしずく)』と題されたこの作品は<主(ぬし)>を巡るひとりの少女とその兄の物語だ。<主>とはその土地のすべてを見守る森羅万象の根幹にあるもので、虫や魚や草木など、自然の摂理たる<蟲の集合体>が対象を決め、それを<主>とする。人間がその対象だったことは過去に一度あるかないかという事柄が、今回、ある村の少女に起きた。主人公のギンコはつねに問題の打開策を考え行動に移してきたが、これまでとは打って変わり、兄に諦めろと告げる。しかし兄は諦めない。そこでギンコは<主>と、<主>を創った<蟲の集合体>に少女を人間に戻すように訴えるが…。自然の奥深くに流れる節理を語った、最終の物語に相応しい作品かもしれない。

  • アニメから入ってめちゃハマった

  • 『蟲』という妖怪とも幽霊とも違う不思議な生物(?)が原因の病気を治したり現象を収めたりするのを生業としている蟲師。
    読んでてほっこりするエピソードもあればぞわっとするエピソードも。独特の世界観が魅力で引き込まれます。

  • 絵と話の独特な雰囲気がすごく好きだ…。

  • 独特な世界観…いやー好きです

  •  タダ読み(3巻まで)( ´ ▽ ` )ノ

     怪異よろず相談・旅する鬼太郎チックなキャラ&お話なんだけど、とんでもない想像力&説得力に圧倒された( ´ ▽ ` )ノ
     完全な作り話だと作者自身言ってるのに、「蟲」だの「光酒」だの、うっかり信じ込んでしまいそうになっちゃう( ´ ▽ ` )ノ
     絵もまたうまい( ´ ▽ ` )ノ
     写実とはむしろ正反対な描線なのに、なんでまたこんなにリアルなんだろう( ´ ▽ ` )ノ
     山とか海とか、こういう描き方もあるんだ!、と第三の目を開かされた思い( ´ ▽ ` )ノ
    (以下続刊)
    2020/07/19
    #1041

  • 映画は観た事あったけれど
    原作マンガを読むのは初めてだった
    どちらが不気味かと問われれば
    どっちも不気味で、気持ち悪いと答える
    昔から日本人にはなじみ深い
    虫…  いや、蟲の話
    感のむしは もしやこの蟲なのだろうという想像が浮かぶ
    お化けや妖怪の類なのか
    神経質で感覚が鋭い私でさえも
    見た事も聞いたこともない蟲たち
    あまり気にしないように…

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著者プロフィール

アフタヌーン四季賞1998年冬のコンテストにて四季大賞を受賞した短編を連作化した『蟲師』でデビュー。同作は第30回講談社漫画賞一般部門を受賞した。他に『フィラメント ~漆原友紀作品集~』『水域』がある。「アフタヌーン」2018年6月号より『猫が西向きゃ』連載開始。


「2021年 『猫が西向きゃ(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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