ル・アーヴルの靴みがき 【DVD】

監督 : アキ・カウリスマキ 
出演 : アンドレ・ウィルム(声:大塚芳忠)  カティ・オウティネン(声:田中敦子)  ジャン=ピエール・ダルッサン  ジャン=ピエール・レオー  ブロンダン・ミゲル(声:朴 璐美) 
  • キングレコード
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988003815578

感想・レビュー・書評

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  • 何より楽しかった。いわゆる「老人力」が物語を動かしていく作品。でも、「力」ではない・・・・・・むしろ脱力感が力を持つ、この矛盾。
    老いたジャン=ピエール・レオーが出演しているのも嬉しかった。「前時代」の思考が、移民のアフリカ少年を救う話。
    主人公の名はマルセル・マルクス。カール・マルクスのいかめしさとマルクス兄弟のコミカルさが重なってまずクスッと笑わせられた。他にも、フローベール病院とか、警官のゴーチエとか、名付け方のなんとも安易なこと。にも笑った。
    それから、アキ・カウリスマキおなじみの、前後左右の不自然な運動。跳ねる感じなど皆無で、ベルクソンならば「こわばり」と呼ぶだろう古典的動作にもまんまと笑わされた。その中で唯一奔放に動く犬の「ライカ」の愛らしいこと。

  • 5年振りのアキ・カウリスマキの新作。
    鑑賞後の幸福感でいえば、今まで自分の中では「浮き雲」が№1だったけれど、本作はそれを越えたかもしれません。
    そのくらい心温まるハッピーエンドで、カウリスマキはこの難民問題を扱った物語を締めくくりました。
    遠い異国の映画であんなに優しく咲く桜を観るとは、思ってもいませんでした。

    音楽の使い方も相変わらず巧いですね。
    他の監督さんがあんな風に突然なんの関係もないようなライブ映像を放り込んだりしたら、狙ってる感ありありで興醒めしてしまうんでしょうけど。
    この監督のセンスの良さがあってこそ成せる業ですね。

    カウリスマキ作品には無くてはならない女優カティ・オウティネンですが、すっかり歳をとりましたね~。
    そろそろヒロイン役は卒業かな?と思うとちょっぴり淋しい気もしてしまいました。

    本作は港町を舞台にした「港町3部作」の第一弾なので、これからの2作目、3作目がとっても楽しみで待ち遠しいです。

    (2011年 フィンラン/ドフランス/ドイツ)

  • カウリスマキを見るのは、「マッチ工場の少女」以来で2度目です。フィンランドの人は無口だなぁと思っていたら、監督の作風なんですね。前作も同じく貧しい人々の話で希望のないような人生が描かれていたと思いますが、今回は心優しくおとぎ話のようです。でも、あの夫婦には末長く添い遂げて欲しいと思える、理想的な二人でした。

  • ちょっと映画に詳しい人や、'80年代末から'90年代初頭の、所謂ミニシアターブームを知ってる方にはアキ・カウリスマキは超有名だと思うんですが、最近まで全然知りませんでした。
    一番デカいTSUTAYAに行っても『過去のない男』しかなく・・・。

    一本観ただけだとカウリスマキのおもしろさは解り辛いのかもしれない。
    『過去のない男』の特典映像に、'92年の日本触媒のCMがついてたんだけど・・・それを観るとおもしろくてしょうがない。

    そしてこの『ル・アーブルの靴みがき』。劇場公開を観逃してしまって泣いてしまったんだけど、速攻でレンタル化されてYEAH!
    もう、冒頭から笑ってしまった。
    なんちゅうの?あれ?何か名前ないの?わからないので勝手にカウリスマキショットって脳内では呼んでるんだけど・・・。

    この人のレイアウトというか画面の切り取り方って、絵画にものすごく近いと思うんですよね。額縁の中に人物や静物があってって感じで。
    基本的に、そこのところがふんわりとしたユーモアを感じさせるので気持ちがいい。暗い中に蝋燭の灯火が点る、そんなやさしさを感じる。

    ストーリーは社会問題に触れつつも、実はトンデモな展開。静かにぶっ飛んでいる。日本で言うと『奇跡』になんとなく近い気もするが・・・ぶっ飛び方の方向性が全然違う。静かに破壊する感じがあります。

    バンド演奏シーン(毎回あるのか?)も超クール。
    なんでこんな、カウリスマキ監督のような人、作品が生まれたのか?なんで?なんで?と興味は尽きない。
    単純に、我々がふつうの映画、'80年代以降ハリウッド大作映画に慣れすぎてるだけなのかな。

    そしてケン・ローチやらと交流があるってことにびっくりしました。
    カウリスマキ作品、全部観たいなぁ。

  • 冒頭の主人公たちふたりが直立不動で佇むショットから、ああとため息をつく暇もなく、手錠をしたリーゼントの男が現れて、靴磨きを中断しカメラからアウトした後、銃撃音と叫び声だけで事の次第を告げる。本編の緩やかな物語と全く接続しない異様なまでのサスペンス。ああ、これぞカウリスマキ、と身悶えしてしまう。
    影がさす屋内のショットの素晴らしさはもちろん間違い無いのだが、自然光の屋外でのショットがこれまた素晴らしい。巨大なタンカーが停泊する港を歩く主人公やアーチを犬と一緒に走る移民の少年などなど。

    派手な画面なんてものとは一切無縁な、具体性だけが刻印された過激で過剰な映画の豊かさ。

    そう、カウリスマキは決して日和ったりはしない。

  • 初めてのアキカウリスマキ作品です。
    個人的にとても好みです。
    フランスの市井の人々の暮らしを淡々と描いていて心が温まる作品です。
    この監督の他の作品も見てみたいです。

  • カウリスマキは「過去のない男」と「街のあかり」を見ていて、どちらもとても好き。
    今回も、独特の色使いと全てがミニチュアに見えるような撮り方がとてもキュートだった。
    シビアな話だけれど、控えめなユーモアが散りばめられていて、肌触りは柔らかい。
    それぞれの人物をとても丁寧に撮っていて、下手に台詞で説明をしなくても地に足が着いている。
    淡々と、けれどとても温かく見守る監督の眼差しを感じられるので、奇跡もすんなり受け入れられるのがいいなぁと思う。
    私は前に見た2作の方が好きではあるけれど、そこは好みの問題で、この作品も問われれば間違いなくおすすめする。

  • カリウスマキの作品はいつだって最高だ。このフィンランド出身の監督作品に出てくのはいずれも日々の生活で精いっぱいな人たちばかりだが、気の利いたユーモア、無償の隣人愛を忘れずにいる。そう、明日は明日の風が吹く。今作では舞台をフランスに移し、移民問題をその中心にはしているものの決して糾弾の声を荒げることなく、貧しくても日常から幸福を見つけようとする人々へのいつも以上に温かいまなざしに溢れている。明日の暮らしなど不確かでも、見ず知らずの少年を助けようとする共生がある。そうさ、いつだって明日は明日の風が吹く。

  • 誇りを持って生きてる人は貧しかろうが輝いて見える

  • 移民を匿う靴磨き。

    靴磨きの人、素敵だ。
    仕事に誇りを持ってる。
    近所の人、周りの仲間が協力してくれる人望。
    自分の決めた事を最後までやりきる勇気。
    貧乏でもお金を稼ぐ手段を考える。
    奥さんにいつも花を届ける。

    そんな、自分を信じて突き進む、
    周りの人を巻き込む主人公が素敵だと思う。

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