星の銀貨 [Kindle]

  • 2012年10月4日発売
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感想・レビュー・書評

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  • グリム童話を楠山正雄の訳で。

    貧しく両親のいない女の子。住む部屋も失い、着の身着のまま一人ぼっちで歩いている。
    手には人から恵んでもらったパンがひとかけ。
    しかし、信心深い女の子は、慈悲深い神様がどこかにいらっしゃることを疑わない。

    歩いていくうち、女の子は、ひもじい人、泣いている子、震えている子に会う。
    乞われるままに、女の子は1つ1つ、持っているものをすべて与えてしまう。
    きれいさっぱりすべてを手放した女の子に、奇跡が起こる。

    4ページほどの短い話を、楠山はやさしく美しい日本語で綴る。
    原題はDIE STERNTALER。Sternは星、Talerは銀貨を指す。Sterntalerはグリムによる造語で、「星の銀貨」といった意味となる。
    きりりとしまった中に、夢のような余韻を残し、どこか忘れがたい物語である。

    楠山正雄は演劇研究家・児童文学作家で、「赤い鳥」にも参与している。
    日本の昔話だけでなく、世界各地の童話を紹介した。グリム、アンデルセン、ペロー、アミーチス、イプセン等、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデンの幅広い地域の作家の作品を訳している。楠山がすべての言語に堪能であったのか、英語等からの重訳なのかはよくわからないが、いずれにせよ、子供たちに世界のお話への窓を開こうとした熱意には並々ならぬものがあったのだろう。

  • 残酷な話じゃなくて良かった・・・。
    素直で信心深い少女が、どんどん身ぐるみを剥がされていきますが、とうとう素っ裸になったところで肌着があらわれ銀貨まで降ってくる。

  • よかったねって話

  • 最初の方の人たちはともかく、後半の子供二人はすでに身ぐるみはがされかけてる女の子からさらに服を奪おうという完全なる極悪人ですよね。

    でも、結局moneyが全てを解決してくれてよかったです。

  • 能登麻美子 おはなしNOTE 2月4日配信 第97回

    世界から捨てられ、静かにやけっぱちになった女の子が、自分を捨てた結果、人生を得た。

    富を得た女の子は、その後、どのように生きたのだろう。

    フランクルの「夜と霧」を読んだ後だったので、「強制収容所なら、この子は死んでいたわ」と思ってしまった。自由っていいものだな。

    能登さん、お誕生日おめでとうございます!

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著者プロフィール

兄:ヤーコプ・グリム Jakob Grimm(1785-1863)/弟:ヴィルヘルム・グリム Wilhelm Grimm(1786-1859)/ドイツの文献学者・言語学者・民衆文学研究者。両者ともドイツ中西部ヘッセン地方の町ハーナウに地方官吏・法曹家の息子として生まれ、マールブルク大学法学部でサヴィニーの薫陶を受けつつ、ハイデルベルク・ロマン派の詩人たちと交友関係を結ぶ。兄弟の共同作業によって多くの業績を残し、共編著として『子どもと家庭のためのメルヘン集』、『ドイツ語辞典』などがある。兄の著作としては『ドイツ語文法』、『ドイツ法古事誌』、『ドイツ神話学』、『ドイツ語の歴史』、『判告録』、弟の仕事として『ドイツ英雄伝説』のほか、第七版に至るまでのメルヘン集テクストの改稿がある。

「2021年 『グリム ドイツ伝説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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