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感想・レビュー・書評
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グリム童話を楠山正雄の訳で。
貧しく両親のいない女の子。住む部屋も失い、着の身着のまま一人ぼっちで歩いている。
手には人から恵んでもらったパンがひとかけ。
しかし、信心深い女の子は、慈悲深い神様がどこかにいらっしゃることを疑わない。
歩いていくうち、女の子は、ひもじい人、泣いている子、震えている子に会う。
乞われるままに、女の子は1つ1つ、持っているものをすべて与えてしまう。
きれいさっぱりすべてを手放した女の子に、奇跡が起こる。
4ページほどの短い話を、楠山はやさしく美しい日本語で綴る。
原題はDIE STERNTALER。Sternは星、Talerは銀貨を指す。Sterntalerはグリムによる造語で、「星の銀貨」といった意味となる。
きりりとしまった中に、夢のような余韻を残し、どこか忘れがたい物語である。
楠山正雄は演劇研究家・児童文学作家で、「赤い鳥」にも参与している。
日本の昔話だけでなく、世界各地の童話を紹介した。グリム、アンデルセン、ペロー、アミーチス、イプセン等、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデンの幅広い地域の作家の作品を訳している。楠山がすべての言語に堪能であったのか、英語等からの重訳なのかはよくわからないが、いずれにせよ、子供たちに世界のお話への窓を開こうとした熱意には並々ならぬものがあったのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
残酷な話じゃなくて良かった・・・。
素直で信心深い少女が、どんどん身ぐるみを剥がされていきますが、とうとう素っ裸になったところで肌着があらわれ銀貨まで降ってくる。 -
よかったねって話
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能登麻美子 おはなしNOTE 2月4日配信 第97回
世界から捨てられ、静かにやけっぱちになった女の子が、自分を捨てた結果、人生を得た。
富を得た女の子は、その後、どのように生きたのだろう。
フランクルの「夜と霧」を読んだ後だったので、「強制収容所なら、この子は死んでいたわ」と思ってしまった。自由っていいものだな。
能登さん、お誕生日おめでとうございます!