ロボットとベッドの重量 [Kindle]

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  • 2012年10月4日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 直木賞の直木三十五の作品は、あまりメジャーではないような気がする。
    代表作の『合戦』や『南国太平記』は、機会があったら読むことにして…非常に読みやすい本書を選びました。

    この『ロボットとベッドの重量』は、余命いくばくもないロボット技師の夏見俊太郎が妻のために肉体的に満足させるイケメンロボットを造る。
    この妻、世の男がほっとかないほどの女で、病中の夫がいるにもかかわらず愛人と密会してしまう男好き。

    冒頭、「お前、本当にーー心から俺を愛しているかい。」の夫のセリフは、なんて重い男なんだろうかと、この妻と同様にウンザリしてしまったが、自分が死んでしまったあとの妻を思うと嫉妬心で堪らなくなってしまうのだろう…わからなくもない。
    ロボット以外に、お前を渡したくないと霊魂の神秘さを秘めた、人間に近い精工なロボットを妻は気に入るが…。
    執拗な愛ほど怖いものはない。

    • だいさん
      >執拗な愛ほど怖いものはない。

      そう、
      思う。
      >執拗な愛ほど怖いものはない。

      そう、
      思う。
      2015/10/10
  • 『ロボットとベッドの重量』は、直木三十五が1931年に発表した短編小説である。主人公は、重い病に冒されたロボット技師の夏目俊太郎である。彼は、自分の死後も妻を愛し続けるために、特殊な仕掛けを施したロボットを作る。しかし、妻は俊太郎の死を待たずに他の男と関係を持ってしまう。そして、ロボットはその浮気を見抜き、二人を抱きしめて殺してしまうという衝撃的な結末になっている。

    この作品は、昭和初期の社会不安やエロ・グロ・ナンセンスという文化風潮を反映したものであると言えるだろう。エロティックとグロテスクの要素は現代の感覚では薄いかもしれないが、ナンセンスな展開や登場人物の心理描写は読者を引きつける力がある。特に、俊太郎が自分の死後に妻を束縛するために作ったロボットという発想は、彼の愛情や執着心の強さを象徴していると思う。一方で、妻は俊太郎に対して冷淡で不貞であり、彼女の愛情や感情はほとんど描かれていない。このように、男女の愛情や感情の温度差が作品に緊張感や不安感を与えていると感じた。

    私はこの作品を読んで、夫婦とは何か、愛とは何かという問いについて考えさせられた。俊太郎は自分が死んだ後も妻を愛し続けることができると信じていたが、それは本当に愛なのだろうか?妻は俊太郎に対して愛情を持っていたのだろうか?それとも彼女は自由に生きたかったのだろうか?このような問いに対して、作品は明確な答えを示さない。読者は自分自身の価値観や感性で答えを探さなければならない。私はこの作品が持つ多面性や深みに魅了された。

  • 直木賞は知ってても、直木三十五の小説を読むのは初めてです。
    なるほど。。。結構そぞーーっとする話で短編だけど引き込まれるね~。
    人間が機械に勝り、死んだ夫の執念が感情を持たない機械にあるのは、よく考えると気味悪い。
    機械に殺されたけど、その機械を作ったのは人間であり、やっぱり人間って怖すぎる。。。

  • 直木三十五ってこういうの(なんとSFじゃん)書く人だったんだ、意外。もう何作か読んでみよう。

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著者プロフィール

1891年生まれ。1934年没。小説家、また脚本家、映画監督。早稲田大学英文科中退。 1923年『文藝春秋』の創刊に参加して文壇ゴシップ欄を担当。毒舌で話題を呼び,『由比根元大殺記』 (1929) ,『南国太平記』 (30~31) の成功で流行作家となった。32年には「ファシズム宣言」をし,国策的傾向の強い『日本の戦慄』で文壇に波紋を投じた。現在、エンターテインメント系の作品に与えられる直木三十五賞(通称「直木賞」)は、彼に由来する。

「2017年 『南国太平記 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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