こんにゃく売り [Kindle]

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  • 2012年10月5日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 徳永直自身の経験が読者に語りかけるように書かれた作品。当時の労働者の身分がいかほどかよく描かれている。良い旧友との思い出を懐古する著者の姿に暖かい気持ちになれる。

  • 恥ずかしながらプロレタリア文学に関する知識皆無の状態でこの話を読み始めたのだけれども、なるほど徳永直は聞いていた通りの苦労人のようですね。言葉が簡潔で大変読みやすかったです。おそらくこの作品当時の貧しい人々は本当に小学生も働きに出さないといけないような状況だったのでしょうね…頭が下がる思いでした。
    林茂君のご両親が、お金持ちに見えたけれども実は元いたハワイで苦労をしていて、一生懸命働いて成功したから今の姿があるんだ、というところに、明確な明るさを感じました。結びの「その後、私はねっしんに勉強して小説家になった。林茂君もたっしゃでいれば、どっかできっとえらい人間になってくれているだろう。」という一言で終わっているのも、前向きな終わり方で、ああ、読んでよかったなぁ…と思わせてくれました。実体験から来る苦労の多い労働話がプロレタリアの神髄と思っていたのですが、ジャンルでひとくくりにするのがもったいないくらい心に響きました。労働は夢がある限り苦ではないのだ。この話に書かれていることは、それを伝えようとしている気がします。私は今の時代に生きていて、こういう、何か目標に向かって頑張ろうとする夢を持つこと自体が難しいと思っているので、明確に夢の見えるこのような人は、少し羨ましいし励まされますね…。普段読んでいるような深く考えて人の心を暴く文学とは違った魅力があると思います。
    引用に引いたフレーズが印象に残っております。特に林君がこんにゃく売りについてきてくれることを喜ばしく思う主人公の心強さが伝わってくる、「私はヘイチャラである。」というのが微笑ましくもあって好きです。

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