かもめ ——喜劇 四幕—— [Kindle]

  • 2012年10月7日発売
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  • 岩波文庫のかもめ・ワーニャ伯父さんを読んだ。

    社交界への皮肉が強い。
    「生活をしたことがない」のセリフがワーニャ伯父さんと共通する。
    文士は作者の代弁者のようだ。
    退屈と不貞の印象が作品を覆う。なんだろうこの気だるさは。

  • トレープレフが主人公とするか、トリゴーリンが主人公とするかで、見えかたが違ってくる。少なくとも、どちらかが主人公であると思う。更に、かもめという象徴的な存在がある。

    作家が主人公になることによって、誰が書いているのかわからなくなるところも出てくる。そもそも戯曲は登場人物に語らせることによって、成立しているのだから、当たり前だが、それを前面に出しているところに、メタ戯曲のよいところが出ている。

  • 「幻の世界へ連れていってくれるような、若々しい、うっとりさせる、詩的な愛ーこの世でただそれだけが、幸福を与えてくれるのだ!」

    これは悲劇か喜劇か。終わりだけ見れば悲劇だろう。しかし、主人公は成功している。だからこそ、主人公が拳銃自殺したとわかる最後の一文で衝撃を受ける。確かに衝撃を受けるのだが、なぜか悲しい気持ちにはならない。ただ驚くだけだ。今回の場合、主人公は絶望して自殺したのに、そこに悲しみは感じられなかった。あるのはやりきれない思い。驚きと悲しみは一体のものとして私を揺さぶらなかった。そもそも一体ではないのか。

    主人公が好意を寄せている幼馴染は、ある作家の気まぐれによる恋愛感情に翻弄されてしまう。主人公はその作家の凄さに嫉妬している。しかし、その作家が幼馴染から早々に興味を失った出来事に対しては深い悲しみがあるだけだ。それにもかかわらず、その幼馴染は今まで以上にその作家に想いを寄せている。そこで主人公はやりきれない思いを抱えて自殺する。

    誰も没落していない。その幼馴染も女優になっており、まずまずの生活を送っている。没落貴族もでてこない。これは喜劇か悲劇か。それともそれらは単純に分けられないものなのか。

    序盤はあまり面白くないが。第4幕に至る道として外せない。それはいつも通りのロシア文学だ。

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著者プロフィール

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ(1860~1904)
1860年、南ロシアの町タガンローグで雑貨商の三男として生まれる。
1879年にモスクワ大学医学部に入学し、勉学のかたわら一家を養うためにユーモア小説を書く。
1888年に中篇小説『曠野』を書いたころから本格的な文学作品を書きはじめる。
1890年にサハリン島の流刑地の実情を調査し、その見聞を『サハリン島』にまとめる。『犬を連れた奥さん』『六号室』など短篇・中篇の名手であるが、1890年代末以降、スタニスラフスキー率いるモスクワ芸術座と繋がりをもち、『かもめ』『桜の園』など演劇界に革新をもたらした四大劇を発表する。持病の結核のため1904年、44歳の若さで亡くなるが、人間の無気力、矛盾、俗物性などを描き出す彼の作品はいまも世界じゅうで読まれ上演されている。

「2020年 『[新訳] 桜の園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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