- Amazon.co.jp ・電子書籍 (126ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
初読じゃないはずだけどまったく覚えておりませぬ。。。★3.5だがおまけで。
ともあれ、現在だったらもっと直接的な、性的な描写をするんだろうなぁと思いつつ、それが進歩か、時代の流れと言われると必ずしも肯定的なものではないということがこの作品が証明している。
分かってますよ、途中から結末は。でもどこまで抑制的描写が色んな想像を読者にもたらすことを現在の作家たちはもうちょい考えてほしい、というのが愚民の戯言的感想であります。 -
トルストイと同じくらい人間愛に溢れているなあと感じた。初恋の甘くも酸っぱい、盲目的で情熱的な心の動きと、思春期のバカげた妄想のバランスが絶妙であった。読みながら恥ずかしくも懐かしくもあった。父親に対して抱く畏怖は、その不貞を知ってすらなお揺るがない。そこら辺が、日本人としては理解しがたい感覚であった。ジナイーダの自我の揺らめき、自己実現と自己中心的な自己愛のせめぎ合いも、こちらを作品に引き込んでいく格好の題材だった。ツルゲーネフの底なき人間への好奇心が垣間見える。
-
読書家の先輩からおすすめしていただいて手に取ったのがはじめまして。昨年三分の一ほど読んで積読していたところ、青空文庫で偶然見つけたので続きを読む。
はじめは主人公に感情移入もできず、我儘な女の子に報われない恋をして言い成りになってしまう少年をばかっぽいな…と思っていた。やきもきして全然楽しめなかった。ロシア人の名前覚えられないし、ロシア文学っぽい倦怠感が存分に漂っていて重いし。
でも中盤を過ぎ、ジナイーダ(片思いの相手)が何者かに恋をしていることに主人公が気付いたあたりからようやく一歩引いたところから読めるようになってきて、そこからラストまではすぐだった。
自分にとって良いと思えるものが周りに沢山あるのにそれでも触れたいと思う手があることとか、もう会わないと決意した矢先に偶然再会してしまう不条理さとか。
主人公が心のなかで叫ぶように、確かに『これが恋なのだ!』
端から見ていたらばかっぽく思えてしまうものでさえ全て。
作者の実体験を元にしていると聞いてから、最後の22章の盛り上がり部分はツルゲーネフの独白のように聞こえた。以下引用です。
・ああ、青春よ! 青春よ! お前はどんなことにも、かかずらわない。お前はまるで、この宇宙のあらゆる財宝を、ひとり占めにしているかのようだ。憂愁でさえ、お前にとっては慰めだ。悲哀でさえ、お前には似つかわしい。お前は思い上がって傲慢で、「われは、ひとり生きる──まあ見ているがいい!」などと言うけれど、その言葉のはしから、お前の日々はかけり去って、跡かたもなく帳じりもなく、消えていってしまうのだ。さながら、日なたの蝋のように、雪のように。……ひょっとすると、お前の魅力の秘密はつまるところ、一切を成しうることにあるのではなくて、一切を成しうると考えることができるところに、あるのかもしれない。ありあまる力を、ほかにどうにも使いようがないので、ただ風のまにまに吹き散らしてしまうところに、あるのかもしれない。
ここがすごく好きだった。読めて良かった! -
kindlefireHDにて読了。
やっぱり大きい画面やと読みやすいですね。すぐ語句を調べられるのもよい点でした。
さてさて今回は必要に迫られて読みました。
なかなかキツイ話ですね。
ウラジミールが恋をしているときの心情なんかは胸に刺さる部分が多くあります。
海外文学は『車輪の下』と『狭き門』くらいしか読んだことがないのですが、その二つよりもさらに読みやすかったきがします。
一読しても損はないかと。