山の上のお宮に灯る赤い蝋燭。
その蝋燭は、人里で慈しまれ育てられた人魚の娘が、里を離れるとき、その際まで塗っていたもの。
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人魚の赤ちゃんは、人間の手で育てられるように願った母親により、宮の参道におかれます。
赤ちゃんを家に連れて帰り、大切に育てたおじいさんおばあさんに、美しく成長した人魚の娘は何か恩返しをしたいと考えます。
蝋燭を商っているおじいさんおばあさんのため、蝋燭に絵を書くことを思いつく娘。
しかし蝋燭に書かれた美しい絵が評判を呼び、同じように娘の評判もあがって、世間の人々はこの娘に大変な興味をもつのです。
やがて人買いが、おじいさんおばあさんの元を訪れて……
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人魚の想いが灯す赤い蝋燭。
人も絶え、うらびれた村の山上に灯り続ける蝋燭が哀しくもあり、恐ろしくもあります。