宮廷女官 若曦 DVD BOXI

出演 : リウ・シーシー  ニッキー・ウー  ケビン・チェン  ユアン・ホン  ケニー・リン 
  • アミューズソフトエンタテインメント (2012年12月28日発売)
4.33
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4527427654594

感想・レビュー・書評

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  • 悔しいことに設定こそよくある少女漫画とかネット小説とか恋愛ゲームとかなんですけど、まあ人物造形が魅力的だこと……主要な王子だけでも5人いるのに、全員キャラがしっかりと区別がついている。全員にそれなりの考え方や感じ方があって、そのうえで、全員がその考え方や感じ方のままに振舞っているのではない、宮廷人として生きる人の悲しみがある。そして王子たちの周辺にいる人物たちも魅力的で、緑撫さんのように、ただ儚く散っていく人もいれば、若蘭姉さんのように哀れさの中にも最後の喜びを見出して亡くなっていく人もいる。明慧さんも中盤以降、あれはあれでできた妻なんですよね……

    ついでに言うと、5人の王子たち全員と恋愛をするわけではないのだけれども、5人とそれぞれの関係をきちんと築けるストーリー展開もすごい。ただ恋愛しているだけではなく、政治的な問題に巻き込まれながら恋愛をして、大筋の物語も魅力的だが個別の物語も魅力的というこの構成、なんというか本当にすごい。原作者の方は北京大卒業後、銀行マンをしながらアメリカに留学されたとか何とかで、まあ我々には及びもつかないエリート女性ではあるのですけれど、これは頭良くないと書けない小説だと思います……ちゃんとその、女の領分と男の領分を区別して描いている部分も好感が持てます。

    通常、女性にスポットライトを当てた歴史ものだと、政治はいつやっているのだ……というくらい、男女の恋愛のあれやこれやが原因で政治的問題がサラッと展開していったり、政治も女がやっているかのような演出で、男たちが何のためにいるのか、恋愛のためか……と言わんばかりの作品だったり、いろいろと突っ込みどころが出てくるものなのですが、本作では男たちが男たちの世界の中で政治をしながら、そこに女たちは巻き込まれつつ、それでも定められた運命の中で自らの思いを遂げようと、許される限り主体的に生きようともがいている、という描写がなされるのですが、リアリティがあるんですよね。女たちの限界も描きつつ、男たちも権力闘争の中で限界のある人生を送っている、みな限界の中を生きているんだけれど、特に女たちの人生は制限が大きく、自由度の高い男たちでさえ自分の思いを遂げるために、手を汚し、傲慢になり、悪人としての側面を備えなければ渡ってゆけない。どんなに好人物として描かれていても、不正に手を染めずには生きていけない。

    原作者の方が超エリートですし、だからこそヒロインのじゃくぎさんも「私の時代、人生は自分で勝ち取ってゆくもの」「主体的に生きられない人生なんて」と何度も何度も悩むわけですが、程度の差こそあれ、現代でも同じような息苦しさはありますし、過去の時代に比べると、それが文字通りの命取りにはなりにくいわけですが、やはり共感するんですよね、ああ人生ままならない! と。

    あと本作はテレビドラマ版なのですが、音楽も良いですね。ゲーム音楽っぽさもあるのですが、切なく上品、雪がよく似合う。コメディシーンで使われる曲ですら、明るいながらも上品で、どこか儚さがあります。楽器も中華! という感じがして、雰囲気抜群ですね。

    あと本作で言及しておくべきなのはあれかな、人が悪いんじゃない、システムが悪いんだ、という価値観が通底しているところかな。本作ってアジアドラマにありがちな陰湿なイジメシーンがないわけじゃないのですが、かなり少ない。嫌味な奴らも、すぐに改心してしまう。つらいイジメに耐えて……というのではなく、そういう奴らにも、そういう奴らにならざるを得なかった理由というか、背景のようなものを感じさせる部分がある。「どんなときでも頑張る主人公は執拗ないじめにもめげない!」なんていうのがアジアドラマの定番であるとするなら、本作は「逆境にもまれて宮廷生活に適応していく主人公、誰が悪いわけでもない荒波の中で全員が自分なりの論理を持って生きたらアラ悲惨! でもめげない!」みたいな……感じですかね……日本だとゲーム原作者の虚淵玄さんなんかが似たような感じがしますかね。なんかこう、浣衣の部署に行ったときのイジメでさえ、イジメというよりも育ちの悪さを的確に描いていて、育ちが悪いがゆえに「あたしだって贅沢したいのよ!」という理由で、出自の立派なじゃくぎさんの所持品を盗んでしまうという。ああ貧しいんだ、貧乏なんだ、それで嫉妬の気持ちを制御できないで、じゃくぎさんに八つ当たりしている、じゃくぎさんに不公平に分配されている(と思える)富を奪うことで公平さを実現しようとしているんだ、でも彼女らは育ちが悪いから、不公平だと怒鳴るより先に手癖が悪くて盗んじゃう、という……ある種の性善説に基づいた人物造形だと思うんですけど、原作者の方が育ち良いんだろうなという感じがしますね。全体に育ちのよさそうな作風というか、この悪人の誰一人いないストーリーでありながら、全員が誰かを恨んでいるという状況、これは人間性に対する性善説的な期待がなければ書けないなあと思うんですよね……

    全員が善人なのに、独裁政治を行うという皇帝を頂点とした中央集権政治体制だからこそ、そして皇帝というのは四皇子が言うように孤独で、常に寝首をかかれないよう警戒する必要がある、すなわち常に被害妄想的であるほうが皇帝としての寿命を長く保てるという状況に常に置かれている存在だからこそ、恐ろしい存在として君臨しなければならない部分がある、そして恐れによって支配された人々はさらに疑心暗鬼になり、謀略にハマり、根っからの悪人などいないのに権力闘争の中で全員が悪人のごとき振る舞いをしなければならなくなるという逃げ場のない感じ、この、人が悪いんじゃない、システムが悪いと言わんばかりの描き方って、なかなか女性向け作品にはないんですよね。ないわけではないんですが、たとえば本作の八皇子は善良で思慮深く、知識も豊富で穏やか、能天気なところさえあるから若蘭さんを不幸な結婚に巻き込んでしまいつつ、でもそれに気づいてからは実に紳士的な態度で若蘭さんに寄り添おうとしていたと思うんですよね。そして最初から最後まで変わらず思慮深さと優しさを発揮しているのに、四皇子をハメるときには本当にクソ狸をやっている。クソ狸なんてやるくらいだから彼の野心はすさまじいのだろうかと思えば、まあ不遇な男子ならありがちな範囲の野心だと思うんですよね、皇位継承権があるなら、あれくらい普通だよね。そして若蘭さんを愛しているがために、若蘭さんと離縁までする。政争に巻き込まれなければ八皇子は本当に最高の皇子だと思うんですよね。四皇子もそうです。彼は親からの愛情に飢えているので、素で皮肉屋ですが、心優しく情に厚く、民草とともに農業男子をやりながら十年くらい時間を潰せる忍耐強さと素朴さを愛する心がある。寡黙なのでミステリアス、という部分が目立ちはしますが、素の彼は地味ながらも勤勉で知識も豊富、多少皮肉屋で狡猾なのも許容範囲の好感の持てる男だったはずが、一目置いていた四皇子一味に裏切られてからというもの、孤独にさいなまれ、情の厚さを裏返しにした激しい粛清の嵐で周囲をビビらせるわけですが、結局彼を変えてしまったのは、直接的には四皇子、間接的にはじゃくぎさんで、彼もまた周囲の環境とシステムに翻弄されて悪の皇帝の面を備えてしまっただけなのですよね。翻弄された人、という側面がめちゃくちゃ強く描かれている人なのですよね。翻弄といえば物語序盤での十皇子の突然の結婚も非常に秀逸でしたね。本当に翻弄としか言いようがないし、あのクソシステムの中で生きる皇子たちの無力さがよくわかるエピソードだったのが、序盤の十皇子関連のストーリー。十皇子が絵にかいたようなアホの善人(※誉め言葉)だったので、余計に皇子たちの無力さが印象に残りました。十皇子はかわいいよね……ぶっちぎりかわいい、次点が十三皇子かな……十三皇子もいいよね、勇猛果敢で「命知らず」だったのが、不遇な目に遭って、自ら進んで引き受けた苦境だとはいえ、その経験で心身ともに衰弱し、「命知らず」という個性を失ってしまう。それでも生きる希望を何とか持っていたのは、緑撫さんと、彼女との間の子どもだったわけですが、緑撫さんは忍耐強い人でありながらも、我が子のためを思って投身自殺してしまう。あれも悲しくて自殺したんじゃないんですよね、我が子を守るための自殺したのであって、いじめが辛くて悲しくて自殺したのじゃない。そんなの彼女は平気ですが、我がこと十三皇子の経歴に傷をつけることはできない。そして自身の境遇と緑撫さんを失ったことで育児放棄し酒浸りになる十三皇子をゆるゆるとリハビリさせつつ、十三皇子の代わりに育児をも請け負いつつ、圧倒的独裁者として暴虐な姿を見せる四皇子って、身内に甘くて公平さのかけらもない感じがするけれど、確かに圧倒的善人なんだよなあ……史実での四皇子(雍正帝)はたぶんあそこまで情の厚い人じゃないと思いますけども。

    というように、本作はイケメンというより好青年たちが運命に翻弄されて悪漢になりつつも、心の底では皆、純粋な好青年のままなんだという部分がつらくも見事なんですよねえ……

    じゃくぎさんは計算高い部分がありますよね。未来を変えても全員にハッピーな結末を! という方向に振り切れるかと思いきや振り切れず、かといって自分が不遇な運命をたどるのも嫌なので、不遇な結末の分かっている相手との関係はそこそこで切り上げる。そういうじゃくぎさんだからこそ、ストーリーを最後まで引っ張ることができるわけですが、ただまあその振舞い方に好感が持てるかと言われれば、そうでもないというか……四皇子のために十四皇子との結婚を拒んだのだって、のちの四皇子のことが頭にちゃんとあったからだろ、という疑念が拭いきれないのですよね……だって四皇子と比べて十四皇子が劣った人物かと言えば、そんなことはなったくないし、十四皇子も聡明で武芸にも優れ、気遣いもできて楽しい男で、めちゃくちゃ優しくて気長でもあって、最高の男じゃないですかっていう……十皇子が明玉との結婚に馴染んだように、じゃくぎさんだって十四皇子との結婚に馴染めただろうし、何より十皇子を説得したのはじゃくぎさんなんだから、自分だけ四皇子と添い遂げようとは都合がよいのではないか……などと思ってしまうのですね、ついね……あと個人的には十四皇子が作中でいちばん良い男じゃないかなと思ってます、十三皇子から「命知らず」要素を取ったら十四皇子に近い気もしますが、十四皇子は好意がいつもさりげないんだよなあ。そして自分だって皇位継承権があって、しかもその筆頭だった時期さえあるのに、八皇子のサポート役をこなしつつ、四皇子も気遣いつつ、そして作中で唯一、武人として優秀な側面を描かれる。重要な政争の時期に優秀さを見込まれて遠征中だったのでひとり蚊帳の外だったというのに、その後の情勢に対する適応力はトップクラスで、そういうとこも謙虚なんだなあと思いますし、謙虚だけど弱気というわけじゃなくて、ちゃんとリーダーやろうと思えば人並み以上にやれてしまうという……能力と情緒面で作中、もっともバランスの取れた男なんですよねえ、完璧というか……

    何かもう語りだしたらキリがないのですが、本作は異様な面白さで、このストーリーの運びとか、キャラクターの造形、ストーリーを描くための根本的な価値観や視点というのは本当に優れているので、これはねえ、ネット小説発の少女漫画的歴史大河なんて思わずに、本当に普通に恋愛小説の大作をドラマ化したものだと思って見るべき。ほんとにこれはすぐれた作品ですね。原作小説、日本語版ないのかな。あったらぜひ読みたいなあ。名作。

  • 済みません。前半ではなく、後半も含めて全体での感想になります。

    最後まで「泣かせてくれる」路線で突っ走って終わり、良かったと思うし、感動もしました。でも、私的には、どうも納得がいかない終わり方でした。
    ジャクギが何故、第十四皇子に嫁ぐ必要があったのか、、、
    どうも彼が利用されただけのようにしか思えず、彼に対しては、あまりに残酷すぎるような気がします。
    紫禁城から出たいだけなら、どこか別の場所に移り住んでも良かったのではと思ったり。しかし、皇帝の許可を得なければ出られないから、敢えて「婚姻」の形を取らざるを得なかったというのも理由としては判りますが、、、
    こんな感想を持ってしまったのは、もかして私だけかも。
    しかし、どうしても、この部分が引っかかってしまいました。
    全体を通してロマンスあり、歴史ものの醍醐味ありで、優れた作品であったと思います。全巻見終えた今、ジャクギと一緒に、自分自身も長い歴史の旅を終えたように思われてなりません。

  • 冒頭、ヒロインは清朝にタイムスリップします。康熙帝の治世。宮廷に詰める14人の皇子達たちは派閥を作って熾烈な後継者争いを画策するのですが、それもハラハラ要素で恋愛度を高めるために他なりません。若儀(ジャクギ)の体に転移したヒロインは、皇帝や皇子たちに愛され、皇帝の側で仕える地位を得、有力な皇子から言い寄られます。まさに、恋愛シミュレーションゲームの感覚になります。BOX1はコメディ要素が多めで楽しく気軽な華流ドラマですね。

  • 中国ドラマ初でした!
    面白かった
    CSで見てたけどう〜んどうしても待てない!
    DVD買いました

  • ●鑑賞後、つい宮崎市定の『雍正帝』を再読してしまったの巻。
    本作ではむっつりス…い、いえイケメン皇子なヒロインの相手役として、活動しています。
    地味っつかコツコツっつかしつっっこいアプローチの仕方が下積みの長かった後の雍正帝的なんですかね。
    それよりなによりツッコまざるを得ないのはCGだよ!
    いちおうヒロインの心を落とす鍵のシーンなのに、なんだよそのていたらくは!! 頼むからもっとがんばってください(泣)

    ●甘ったるい清朝宮廷恋愛ものと見せて、雍正帝の権力掌握後には残酷シーンも出てくるので、若干ご注意を。
    その昔、辮髪はこの世でいちばんかっこいい髪形と言い切った先輩はお元気でしょうか・・・(遠い目)←黄飛鴻シリーズを観ても連想するんですけどね。当時はなにいってんだこの人と思ったものだが。うぬう。

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