死神の矢 「金田一耕助」シリーズ (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
3.60
  • (1)
  • (5)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 40
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (234ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 購入できるものは買い尽くしたので、図書館で借りた金田一耕助シリーズの1冊目。このために図書館カードも作っちゃった。

    この物語での被害者は、殺されても何も可哀想ではない、むしろ殺されてもしょうがないとすら思う人物だった。
    そして、殺すしかなかった犯人、あるいは手を貸した者、計画を立てた者たちの悲しみの方により気持ちが引かれてゆく。殺すことに至るまでの道のりや、己が犠牲にして守りたかったもの、欲しかった幸せ、皆んながそれぞれ大切な人のために犠牲になっていて、そのために悲しむ…そんなドラマが一人一人にあって胸が痛い。

    金田一も、犯人の動機をよくわかっているから、最後の殺人まで止めなかったのではないか、と思った。
    連続殺人だと、早く止めなければ…と焦燥感を出すのに、こちらでは妖しいと思う人がそうでなく、とか、状況が不可解だとか、そういう辻褄の合わないことに神経質を注いでいたことからもわかる。

  • 中編「死神の矢」と短編「蝙蝠と蛞蝓」を収録。

    「死神の矢」
    自分の娘の婿を弓勢比べで選ぶことにした考古学者。3人の候補者の内の1人が見事に的を射抜くが、その直後に起こる殺人事件。さらに第2、第3の殺人事件が起こる。
    作者らしい、表に現れない人間関係の秘密が動機となっており、いくつかのアイデアが盛り込まれていて、破綻もなく、それなりにまとまりのある真相。
    真相はインパクトには欠けるが、まずまずの作品。

    「蝙蝠と蛞蝓」
    アパートの住人が書いた原稿どおりに、アパートの裏側に住む女が殺され、警察から犯人と疑われる軽妙な話。主人公が、隣に引っ越してきた金田一耕助を蝙蝠に似ていると評しているところが面白い。

    (「死神の矢」のネタバレ)
    殺人計画者と実行犯が違い、実行犯は計画者に殺人をさせないために、計画者に先んじて自ら手を下したというところがユニーク。また、第一の事件で、実行犯を助けるために、別の人間が現場を偽装したという点もユニーク。

  • 『死神の矢』
    金田一耕助シリーズ
    婿選びに呼ばれた若者。弓比べでの婿選び。殺害された婿候補。

    『蝙蝠と蛞蝓』
    金田一耕助シリーズ

    下宿に越してきた金田一耕助を蝙蝠男と呼び嫌う湯浅。金田一をモデルに向かいに住む蛞蝓女の殺害を題材にして小説を書く湯浅。実際に殺害された蛞蝓女。加代に言われて取り換えた電球に隠された秘密と金魚鉢の指紋の謎。


     2009年3月11日購入

     2009年3月23日初読

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×