- Amazon.co.jp ・電子書籍 (210ページ)
感想・レビュー・書評
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半世紀近く前から、既に星新一の脳内では「情報銀行」という名で現在のビッグデータ、サーバーやクラウドでの情報の集中管理、AIによる生活の補完というイメージが具体的に出来上がっていたことに驚愕しかない。
インターネットという概念すら無かった時代にですよ、このタイトルの「声の網」という世界観を既に構築していたのだ。
情報の流通に電話線を使うというコンセプト。
単なる計算機だったはずのコンピュータが人々の生活になくてはならないものとなる、ということは、おそらく当時は夢物語だっであろう。
更にはコンピューター群、つまりネットワーク化したAIが人類を支配してしまうという恐怖。
いつのまにか知らず知らずのうちに言うがままされるがままになってるのではないだろうかという疑心暗鬼。
そのスリルを描き出す一流のエンターテイナー。
このSFの巨人の存在は
21世紀からやって来た未来人だよな、まさしく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに買った星新一の本。
一行目から度肝を抜かれた。
「一枚のガラスを境にして、夏と冬とがとなりあっていた」
この人こんな美しい文章書いてたんやと。
これまで全然気にせず流し読みしてしまってた。
内容も相変わらずキレキレ。
よくこんなこと思いつくものだと唸ってしまう。
現代の高度情報化社会を言い当てるような内容が、
1970年に書かれていたということに唖然とした。
ほんとうにこの人の発想はとどまるところを知らない。 -
インターネットがまだ存在していなかった時代にその到来と利便性、および弊害を的確に描いている。星新一氏はショートショートの神様と言われるが私はこの作品のような長編の方が好きである。
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何より驚くのは本作がネットはおろかPCも普及していない50年以上前に書かれたものであるということ。今の時代に読んでもそれほど違和感が無い。どんなに利便性が高まっても根っこにある人々の暮らしや欲望はたいして変わらないものなんだなと、各エピソードを読みながら色々考えさせられた。ただ、本作にショートショートのような明確なオチはなかった。
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声の網読了。こええええ!!!えっこれフォローないの?!支配されて終わりなの?!どんなメリーバッドエンドよ!!星さんとはいえ長編だから何かフォローあるかもって期待しちゃったよ!!短編とほぼ同じだよ!!こわいよ!!すごい恐怖体験!!おもしろかったが…つら……
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メロンマンションの住人にかかってくる謎の電話。
あるときは住人を助け、あるときは脅す。電話から聞こえる声の正体は?
オチが予想通りの上にいまいちだった。 -
未来を見た
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星新一のさっぱりとした文章が良い
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ある時代――電話は単なる通話の道具ではなかった。ある番号を回せば、自分の商売に関連した情報が即座に送られてくる。診察器と組み合わせれば、居ながらにして病院の診察もうけられる……。そんなある日――メロン・マンション1階の民芸品店の電話が鳴り、「そちらの店に強盗がはいる」とだけ告げて切れた。そしてそのとおり、店は強盗に襲われた。それを契機に12階までの住人に次々と異様な出来事が。――謎に満ちた12の物語