校本 智恵子抄 (角川文庫) [Kindle]

制作 : 中村稔 
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感想・レビュー・書評

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  • 『レモン哀歌』など多分教科書で読んだことはあったが、『智恵子抄』としては読んだことはなかった。校本ということで他の詩や日記なども収録されている。

    純愛といえば智恵子抄、どうやったらこういう思いを美しい詩として書けるのだろうと、それだけ思いが詰まっているのだろうと思う。素晴らしかった。

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  • あなたのかけら


     裕福な生家のもと、何不自由なく暮らしてきた長沼智恵子。既成概念にとらわれない「新しい女性」で、しばしば人をあっと言わせたとか。高村光太郎とは互いの個性と文化を尊重し合って一緒になったのです。

     その二人の恋の詩を見つけて、早速はまりました★ 10代の頃、周りの女の子が少女マンガやトレンディドラマ(!)の恋愛に興奮し切っていたその季節、私は『智恵子抄』しか目に入らなかったものでした。

     しかし、自由な愛ということの危うさ。
     彼女はしあわせという言葉にさえとらわれなかった――

     東京には空がないと言い、故郷の空気によって生きてきた彼女の鋭い感受性は、それまで繁栄を誇ってきた生家の危機までも、敏感に吸い込んでしまったよう。

     その上、智恵子の生命力は、最愛の光太郎と暮らすことで蝕まれていきました。恋は盲目と言うけれど、彼らの恋はしっかり目を見開いたものだったから★
     彫刻家としても詩人としても、あまりにまぶしく活躍する天才・光太郎を直視し、日増しに病んでいった智恵子。彼のそばにいるということは、その迸るエネルギーを間近で受け止め続けるという作業だったのです。でも、智恵子以外の何人たりともできなかったでしょう。

     描写が彫刻のようにぴたりと決まっている。のちに著者は「智恵子抄は不完全なもの」と語っていますが、それは生活の嫌な部分を隠し、一番綺麗な智恵子を書いたからのようです。そうだろうなぁ、美しすぎるものなぁ。そこで取捨選択をしてしまう、芸術家の性……。
     でも、この見事な”創作物”を前にしたら、ただ見惚れるばかりでいいでしょう。
     この本は智恵子のすべてではなく、彼女のかけらを集めた夢の小箱。イメージは時間と共に拡散する。風に踊る。原子に還る……。それをまた回収する小箱『智恵子抄』。

     息を引き取る間際、レモンを一口かじって光太郎に向けるかすかな笑顔が、せつない。

  • 何度読んでも感動する一冊。
    初恋がそのまま愛に到達したような純粋。

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著者プロフィール

詩:詩人・彫刻家。高村光雲の長男。東京美術学校卒業後、欧米に留学してロダンに傾倒。帰国後、「スバル」同人。耽美的な詩風から理想主義的・人道主義的な詩風へと転じる。代表作:「道程」「智恵子抄」「典型」「ロダンの言葉」等。


「2013年 『女声合唱とピアノのための 組曲 智恵子抄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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