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感想・レビュー・書評
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実際にあった、九州大学医学部生体解剖事件をモチーフにした小説。
何も知らないアメリカ兵の捕虜を、実験台にしてしまうなんて、グロすぎて読むのに耐えられなかった。
太平洋戦争時、空襲で死ぬか結核で死ぬか。死んでしまうのなら、いずれにせよ、別にどうでもいいのではないかと、日本人が死と隣り合わせな時代。
医療に携わっていたものなら、この実験に参加してしまった罪を責められるであろうか。
私は、きっと勝呂と同じなのかなぁ・・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
遠藤周作を読むのは中学校での課題図書以来2作目。
飛行場の本屋さんでジャケ買い。
タイトルとあらすじに惹かれた。
暗い暗い内容で、グロテスクでもあり、今このコロナ一色の中読むのにはピッタリと言える。
もっと深く読むべき本であろうが、実話ベースの小説として軽く読んだ。
ドイツ語があちこちにふりがなとして現れるのも不気味さを強調していた気がする。
戦時中の話だがあまり時代を感じさせなかった。 -
高校の国語の時間で課題図書に指定され、「タイトルの『海』と『毒薬』とは何を象徴しているのか述べよ」と問われた記憶があり、大人になって再読。
当時は戦時中に起こった「外国人捕虜の生体解剖実験」「前代未聞の事件」(※裏表紙あらすじ)を初めて知った衝撃が強かったが、今回はそれに関わった人たちの苦悩や罪の意識のほうに意識を集中して読んだ。
自分が年齢を重ねたからこそ理解できる登場人物たちの心情もあり、自分だったらどうする?と考えてしまった。
再読してよかった。やはり名作。 -
「九州大学生体解剖事件」を題材にした話。
諸外国においては、大多数の人間が宗教といったある種の統一的かつ絶対的な行動規範を持っているもの。
一方で、それを持たない日本人。
戦時下という極めて非日常の状況において、絶対的な判断基準を持つ欧米人、絶対的な判断基準を持たず揺れ動く日本人という二項対立を描いています。
高校の現代文にもってこいの構成。
ただ、内容はつらい。 -
暗かった。
そこはかとない暗さがあった。
でも、何か惹きつけられる作品だった。
ラストまで読んで・・・・
それで、どうなったんだろうって凄く気になる終わり方だった。
ある程度は分かっているんだけど、もっと詳細な行方が知りたかった。
人の中にある、闇の部分がとてもリアルに描けていると感じました。 -
最初の語り手が遭遇する引越し先の腕は良いがどこか謎めいた医師勝呂。偶然彼の過去を知ってしまい見る目が変わる。続いてその勝呂中心の話が始まる。謎めいた隣人のプロローグに夏目漱石の『こころ』みたいな展開かなと思ったら、更に複数のキャラクターの声が書き分けられて挿入される。罪悪感を覚えない医師とか歪んだ女心とかよくもまあそんな人達の気持ちがわかるもんだな。やっぱり昔の作家先生は偉かった。
(続きはブログで)
https://syousanokioku.at.webry.info/201904/article_4.html -
ここまで読む手が震えた小説は久しぶり
生きた捕虜の解剖によって良心の呵責というものに惑わされる戸田と勝呂の苦悩を描いている
とても面白く考えさせられる内容だった。 -
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