鋼の錬金術師 27巻 (デジタル版ガンガンコミックス) [Kindle]

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  • スクウェア・エニックス
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  • 最終巻。
    お父様との闘いを終え、エドに起きた変化から、伏線がきちんと回収されていたと僕は思います。

    エドとアルは、子どものわがままで、死んだ母親を生き返らせようとしていました。
    しかも、子どものお小遣いで買ってこられる材料を代価にしています。
    自分勝手な子どものやり方です。
    エドは人体錬成の代償として、自分で立ち上がるための足を持っていかれました。
    当時のエドの心境は、「立って歩け 前へ進め あんたには立派な足がついてるじゃないか」というセリフに代表されてます。

    しかし、最終巻のプロポーズの言葉には正反対の印象を受けました。
    「等価交換だ。俺の人生半分やるから、お前の人生半分くれ」
    錬金術の理を方便に使っていますが、最愛の人と共に生きる幸福を得るには自分自身も出すもの差し出さなきゃならない、という一応彼なりの脱皮を果たしています。ぶっきらぼうな物言いですけどね。

    そもそも、お父様の計画を頓挫させるには、エルリック兄弟だけでは無理でした。すべてが一丸とならなければなりません。
    エルリックチームはごった煮。尖った人ばかりで、付き合いにくそうな人が集っています。でも、それぞれが折り合いを付け力を合わせて前へ前へと進みました。

    マスタングは、親友を殺された悲しみから復讐鬼へと変貌しました。しかし、個人的な執着を乗り越え、希望へと前進することを選びました。スカーも然りでした。
    グリードが真に求めていたものは「仲間」。
    仲間というのは自分自身の欲望を満たすことを目指した独りよがりとは間反対です。
    仲間って言うのは嬉しいときも苦しいときも共に分かち合うもんですから。

    全は一。一は全。
    という、錬金術の真理をエルリック兄弟はイズミカーティスから教わりました。
    そのときは頭で理解していたこの世の理を、きっと彼らは経験から肉付けしていってものにしたのでしょう。世界はそれぞれが力を出し合って成り立っていて、自分たちはその一員であるという自覚を持ったのでしょう。

    結局、ひとりの天才が大秘宝を手にするという独善ではなくて、共に力を合わせて生きていくという共助に着地しました。
    エドとアルは、自分以外の他者のため…という視点を手にして新たな展望を胸に抱いてこの物語は終わっています。

    長い旅路の果てに、エドは自分自身の足を取り戻すことはなかったけれど、彼には喜びや悲しみを分かち合える大切な家族や多くの仲間がいます。
    それが、エドにとっての自立の在り方だったのかもしれません。

    荒川先生の次回作銀の匙が、人間は自分たち以外の命によって生かされていることを生き物の命に向き合う中で学び成長していくというあらすじであるところからも裏付けられそうです。

  • ガンガンで唯一完読した漫画
    ストリー性や世界観も申し分ないが、何となく好きになれなかった
    最後が少し呆気なかったのもあるが、全体的に洋な雰囲気に馴染めなかったのかもしれない
    ただ、ふつうに楽しい

  • 長い長い闘いもようやく終結。失った命、得た仲間。理不尽なことや、悔やみきれない出来事もあった。「錬金術が無くてもみんながいるさ」仲間を信じる気持ち。確実な成長。「文化の死は民族の死だ。おまえの手で民族を死から救え」闘いは闘いとして、許せない憎しみ負の感情も産んだが、そうじゃない物も産み出した。錬金術が万能ではないということに気がついたエドとアル。等価交換を否定する新しい法則。己の体で得た傷みを抱え、己の頭で考え、歩み出す彼らに幸あれ。

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著者プロフィール

荒川 弘は1973年5月8日生まれ、北海道出身の漫画家。
代表作『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)、『獣神演武』(スクウェア・エニックス)、『百姓貴族』(新書館)。
1999年にエニックス21世紀マンガ大賞を受賞してデビュー。衛藤ヒロユキのアシスタントを経て独立。
大ヒット作『鋼の錬金術師』で、2004年第49回小学館漫画賞少年向け部門を受賞。
2011年19号より『銀の匙 Silver Spoon』で初の週刊連載開始。同作で2013年第58回小学館漫画賞少年向け部門を受賞。

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