- Amazon.co.jp ・電子書籍 (440ページ)
感想・レビュー・書評
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心に深い傷を負った人々、心を病んだ人々の苦悩の物語。
頑ななまでに心を閉ざし他人を一切信用しない、人差し指を噛んで悲しみや絶望に耐え続ける主人公の少女、美緒。乳児(弟の穣)を窒息死させてしまった無邪気で我が儘な美緒の弟,充。精神が破綻しアル中で入退院を繰り返すばかりの母親、由佳理。美緒や充、由佳理を献身的に支える由佳理の従姉で瑠璃と幼馴染みの薫。娘(瑠璃)を誘拐され失った辛い過去を持つ元検事の丈太郎。物語は、美緒と丈太郎の交流を軸に展開する。瑠璃と穣、それぞれの死の真相を巡るミステリーでもある。
かなり重たい展開だが、読み出したら最後まで一気に読めてしまう。罪が法的に罰せられない、スッキリしないオチではあったが、美緒を支え続けた薫と丈太郎の温かさ、そして美緒の心の強さが物語の救いになっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
母と弟の3人で暮らす小学6年生の杉原美緒。母はアルコールに依存し、親類に引き取られた美緒は心を閉ざしていく。そんな折、元検事の永瀬丈太郎という初老の男と出会う。美緒は永瀬の人柄に心を開いていくが、彼はひとり娘を誘拐されており、大きな心の傷を抱えていた。数年後、美緒は事件を調べ始め、余りにも哀しい真実を知る――。家族とは何か。赦しとは何か。今最も注目を受ける気鋭が贈る、感涙のミステリ巨編!
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kindleにダウンロードしたまま、ずっと読んでなかったのは『感涙のミステリー巨編」などという煽り文句が鼻についたせいなんだが、さっさと読めば良かった。 面白かった。でも重苦しかった。
充について、穣の件は母親による言い聞かせだろうと思ったし、川の件も美緒の罪悪感が語られなかったことから助かったのだろうと思ってはいた。ただ、最後になってシレッと出てきて『赦す』と言う彼自身の気持ちについて触れられてないことを些か不満に思った。
丈太郎と初惠の赦しは、引用されているマタイ伝の言葉に尽きるのではなかろうか。 -
読み手を惹きつけるような
話の展開方法で、読み応えがあった。
赦しとは何か。
かなしい気持ちはあるけど、もやもやは少ない。
みんな前を向いている。 -
評価が難しい。
物語の主軸が主役の女の子美緒の家庭の話なのか、
瑠璃の家庭の話なのか、最後までよくわからなかった。 -
弟と共に預けられた親類宅で出会った元検事は誘拐事件で娘を失っていた。やがて心を通わせ成長した少女は一人真相探究の旅に出る。果たして社会正義の実現は必ずや被害者の救済となるのか。そんなことを自問自答しながら読む。罪とは何だね。彼が残した言葉が重く響く。
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めちゃめちゃ悲惨な子供たちを作り出して、彼らが救われていく様を描いたらさ、そりゃ感動する話になるよ。それにさ、弟が死んだと思わせておいて、ずっとそこに触れずに読者を沈鬱な気持ちで読み進めさせておいて、最後にどんでん返しジャジャーン、ってのは、トリックでもテクニックでもないよ。ずるいだけ。ドン引きだよ。と、理性はこう捉えたけども、感情は結構揺さぶられて一気に読んでしまったし、そこがこの作家の実力なんだと思う。悔しいけど面白くはあった。ただ、画家と検事が対峙したシーンですべてを話して絵を見せた、って後に画家が述懐するけども、このあたりは読み返しても時系列がおかしいと思うし、気になった。あと同シーンでの人物の呼称が姓から名に変わるのはどういう表現なんだろう?Kindle unlimitedで読んだ。
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少し展開が不自然な所を感じたが我慢して読了するとそれも納得できた。これって映像化されてるんかいなぁ?やりようによっては良え作品になるよな。