原発難民 放射能雲の下で何が起きたのか (PHP新書) [Kindle]

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  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • 娘への差別恐れ、「いわき」ナンバーを「北九州」に。

    先日、ネットで目にしたニュースだ。東京電力の福島第一原発の
    事故の影響で、避難生活を余儀なくされている方々への差別や
    偏見は、事故発生直後から続いている。

    避難先で「放射能がうつる」と言われたり、「東京電力からお金い
    っぱいもらっているんでしょう」と言われたり、「ホテルに住めて
    いい」と言われたり。

    誰が好きこのんで住めるはずだった故郷を後にして、不便な
    ホテル住まいなどするものか。

    本書は脱電発や卒原発を語っているのではない。放射能という
    目に見えないものに追い立てられるように逃げて来た人々の
    避難生活と、戻りたいけれど戻れない故郷への思いを記録
    している。

    そして、事故が起きた時、何故、避難するべき人たちに避難指示が
    出ず、避難しなくてもよかった人たちに避難指示が出たのかの疑問
    を追及している。

    政府が発表した同心円での線引きがいかに無意味だったか。実際に
    著者は線量計を手に現地を歩き回って確かめている。

    秀逸なのは四国電力に勤め、原発のリスクと原子力災害について
    の著作がある松野元氏への取材だ。

    SPEEDIのデータ公表が遅れたことについては福島原発事故を
    扱った他の作品でも触れられているが、松野氏に言わせると
    手動での計算が出来たし、あれほどもたつかずに避難勧告が
    出来たとのとだ。

    原発事故自体もそうだけれど、政府の場あたり的な対応も含め、
    あの事故以降に起ったことは人災であったのだよな。

    故郷を出ざるを得なかった人たちに心を寄せ、「何故だ」との思いで
    冷静に書かれたルポルタージュだ。

    ただ、個人的には「フクシマ」との表記の仕方が好きになれない。
    多いよね、「ヒロシマ」「ナガサキ」と同じようにカタカナ表記に
    なっていることが。

    実際「フクシマ」と表記されることに対して、福島の人たちはどう
    感じているのだろうか。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1963年京都市生まれ。86年京都大学経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。5年間の新聞記者生活を経て、91年から2001年まで『アエラ』編集部記者。同誌では音楽・映画などポピュラー文化のほか医療、オウム真理教、アメリカ大統領選挙などを取材。03年にフリーランスになり書籍を中心に執筆活動を続けている。3・11後は岩手県、青森県、福島県の津波被災地で取材したほか、福島県に通い続けて原発災害の実態を記録している。『原発難民』(PHP新書)、『福島原発事故 未完の収支報告書 フクシマ2046』(ビジネス社)など著書多数。

「2016年 『福島第一原発 メルトダウンまでの50年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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