東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「応用物理を専攻した・・・原発事故の状況を把握する上で役立った」とあり期待上昇!

    だが「放射能」と「放射線」の区別がついていない記述がありました。
    科学に詳しいですね・・・
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/486674431.html

  • 市民運動家が責任ある立場になって、その判断が問われたときに、どのように正当化するのかが分かる良書。

  • つくづく菅総理が理系の人でよかった。瞬時に事の重大さがわからない人が国家の最高責任者だったらどうなっていただろう。311の対応はずいぶん批判もされたが、個々の批判に対する事情説明も書いてあるし、そもそもあのような未曽有の危機について誰が総理でもよりよい対応ができたかは極めて疑問。「悪夢のような」と喧伝していた人の在任中だったら本当に悪夢だったと思う。それにしても311の反省から菅氏ははっきりと原発ゼロをうたっているのに、あれから10年たった今もなお立憲民主党はそのポリシーを貫けずにもたもたしているのが情けない。

  • 2020/12/17菅直人
    福島原発事故 総理大臣として
    最悪のシナリオ メルトダウン
    半径250キロの避難 5千万人日本沈没
    覚悟
    時間が解決はない
    撤退の選択肢はあり得ない
    もはや戦争
    原発の本当のコストは?

    ダメ総理の烙印を押されてしまった
    理系総理として一定の基礎知識はあるが、第三者の対処は看護師

  • 3月中旬、映画「FUKUSHIMA50」を鑑賞。
    東日本大震災が発生し福島第一原発が危機にあった当時に抱いた「日本が終わるかもしれない」という切迫感が蘇り、冒頭から自然と涙してしまった。

    と、同時に作中に出てくる総理大臣のヒステリックぶりが引っかかった。ありとあらゆる場面で総理がわめき散らし、現場を混乱させ、収束に必要な手立てがことごとく遅れてしまうのだ。

    吉田所長らは実名で描かれているにも関わらず、総理大臣の役名はあくまで総理大臣で、菅直人とはなっていない。しかし「あぁ、あのときの菅総理だね」と思う人が大半だろう。

    「現場の東電スタッフ=正義、総理=悪」という単純な図式はエンターテインメントとしては分かりやすいが、原作がノンフィクション(「死の淵を見た男」)でありながら果たして何が真実で、どこからが脚色されてしまっているのかがよく分からない。

    実は学生時代にあるご縁があって菅直人氏に直接お会いしたことがあるが、国会議員特有の特権意識などをまるで感じない極めて穏やかで理路整然とした人というイメージを持っていたため、どうしても映画に出てくる“総理”の姿とは繋がらなかった。
    (※ちなみに菅直人氏の支持者でも、当時の民主党の支持者でもありません)

    当時の様子を元総理の目線から回想したこの書籍を、数年前に購入後、恥ずかしながら手に取らずに眠らせてあったため久々に引っ張りだしてみた。
    備忘録としてここに記したい。

    以下、ネタバレのためご注意下さい。


    ▼菅直人氏は東工大出身で応用物理を専攻。原子力については専門分野ではないながら基本的な知識については学んでいる
    ▼事故対応に「官邸の介入」「総理の介入」があったという批判には当たらない
    →原災法では緊急時に総理が事業者(東電)に指示することができるとしている
    →本来、事故対応を主導するはずの現地災害対策本部が停電などで機能せず、官邸からトップダウンでやるしかなかった
    ▼現地にヘリコプターで視察に向かったのは情報がなかなか上がってこず、被災の規模を確認するため。また情報伝達の詰まりをハッキリさせるため。吉田所長と会い、信頼に足る人物だと認識できたことが収穫だった
    ▼ベント(圧力を下げるための排気)が遅れたのは総理の“邪魔”によるものではない
    →手動に切り替えるための作業に時間がかかったため。爆発を防ぐためにベントは早く行うべきとの考えだった
    ▼「海水注入」を止めるよう指示し遅らせたとして国会で批判されたが、そんな指示は出していない
    →海水注入までの間に行うべき対策の指示を出しただけ。それが歪められて伝わった可能性。実際にはストップすることもなく、吉田所長は海水注入を自分の判断で始めていたことも後にわかっている
    ▼東電に乗り込んで「撤退はありえない」と伝えた
    →撤退すれば東日本が壊滅することが、シミュレーションでわかっていた
    ▼大事故につながらなかったのは幸運でしかない
    →2号機格納容器の大爆発が防げたのは、原因不明の穴が開いたから。このときに圧力が急低下したため
    ▼その後、菅内閣は再生可能エネルギー特措法を成立させ、退陣へ
    →現職の総理大臣として初めて「脱原発」を打ち出す
    →事故を踏まえ、太陽、風力、バイオマスなどへのエネルギー政策の転換を目指す


    理系出身だけあり、論理的でとても分かりやすかった。

    当時、未曾有の大混乱の中で大声で指示を出してしまったということは本人も認めている。

    しかし、この本があくまで元総理側の主張であることを考慮しても、世間に蔓延している「総理が感情的に介入したことで事態が思うように進まなかった」とするイメージは行き過ぎているのではないかと思う。

    どうやら震災当時の野党(自民党)が国会で追及したときの内容がそのまま定着してしまったようだ。
    実際に事故調査委員会の報告書にも、「総理の介入とベントの遅れに因果関係はない」と記されているとのこと。今一度、確認してみたい。

    映画「FUKUSHIMA50」のエンドロールに「制作協力 復興庁」と流れてきたように、まあそういうことなのだろう。
    それでも当時の生々しい様子をあれだけ再現させたことは素晴らしいと思う。

  •  東日本大震災が発生して福島第一原子力発電所が爆発するという前代未聞の厄災が日本を襲った時に、総理大臣という立場にあった著者の回顧録。

     前半では地震と事故が発生してから数日間の官邸の様子が描かれる。原発事故への対応は技術的な問題が中心で、政治家ができることは多くはない。現場が必要としている物資などが速やかに調達できるようサポートするくらいだ。しかしそれでも日本の中枢である官邸では極めて緊迫したやりとりが続いていた模様で、不謹慎かもしれないが並のドラマよりずっと面白かった。

     状況が落ち着いてくる後半は政治的な話が多くなる上に、世論に叩かれた出来事の言い訳めいた部分もあり、あまり面白いものではなかった。

     菅直人氏は市民運動から政治家になった人であるため、正直言ってその行動は素人っぽいと感じられた。しかしもし自民党が政権にある時に今回のような原発事故が起きたら、私たちは事故が起きたことすら知らされなかったのではあるまいか。それに比べたらこういう人が総理で良かったと思う。

     彼が理系出身で放射能や原子力に関する知識が多少あったことは、プラスに働いている面もあるがマイナスになった面もあったように感じられる。なまじ知っているがゆえに、また周囲にいる政治家のほとんどがそうではなかったがゆえに、任せておけず口出ししすぎたのだろう。

     ふと思ったのは、田中角栄や中曽根康弘のようにいかにも大物政治家っぽい人が首相だったら、どんな風に対応しただろうかということ。考えても仕方がないけれど。

  • 当時、政府がどう動いていたのか分かる資料。
    今を生きる日本人として知っておくべきことかと。

  • 前半は「なるほど・・・」と思いながら読ませていただきましたが、やはり後半は‘言い訳’ではないかと思います。

    「なるほど」と思った点は、原発はその構造として1~4号機が並んですぐそばに建てられている(福島第一の場合)ため、事故が発生して高濃度の放射能漏れが発生した場合、隣の建屋に近づけず2次的な事故が連鎖的に発生し大きな事故に発展して大変なことになる。
    なので一機づつ離れた方がいい(現実的には管理上、非効率?)。

    セカンドオピニオンを有効に活用する

    などが参考になりました。

    しかし、菅総理は様々な会議を乱立させ、怒声を発し、事務次官会議を復活させず、政治不信を増大させた(報道によれば)訳なのですが、著書からはそんな状態を感じない、スッキリした内容に纏まっていて何だか不思議な感じがしました。

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著者プロフィール

菅 直人(かん・なおと):1946年山口県生まれ。東京工業大学理学部卒業。民主党代表、政調会長、幹事長を歴任。2009年鳩山内閣の副総理、2010年に内閣総理大臣となる。現在衆議院議員、弁理士。著書『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬舎新書)、『大臣』(岩波新書)、『原発事故 10年目の真実』(幻冬舎)、『民主党政権 未完の日本改革』(ちくま新書)など。

「2024年 『市民政治50年 菅直人回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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