ウェブで政治を動かす! (朝日新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • (2012/11/21)
    ブログ、twitter、Facebook、食べログ、JogNoteを利用している私には刺激的な本であった
    ブログでは読書感想を通じて、twitterとFacebookではつぶやきという形で、
    ごく一部の方にしか見られていないということを半ば理解しつつ、政治に係る発言を繰り返している。
    これは単なる自己満足ではないか、一部の友人には迷惑をかけているのではないか、
    そんな思いを日ごろもっていたが、津田さんのこの本が、その迷い、悩みを払拭してくれた。

    以下の目次のタイトルでもわかるように、ソーシャルメディアを通じて、
    我々も政治に参加できるようになっているのだ。
    そもそも政治家とはメディアそのものだというのだ。
    難しい議論をして政局を乗り切るのが政治家なのではなく、様々な国民の意見の間にいて、
    それをまとめていく、メディアとしての機能こそが政治家の本質だというのだ。
    だとすれば、twitterによる呟きも馬鹿にはできない。
    現に私もフォローしている多くの政治家の例が出ていたが、彼らはこうしたつぶやきに謙虚に耳を傾けている。
    蓮舫氏、世耕氏、山本氏、、、6章以降はこうした例が多く、興味深く読めた。
    (実は最初の方の章は少し退屈であった)

    それでなくても昨今の政党乱立で、議会制民主主義は崩壊しているのではないかという疑問を持っていた。
    消費税、原発、TPP、教育、日銀等、多くの争点に対し完全一致した意見を持つ政党など存在しない。
    そんな中でどういう投票行動をとればいいのか、絶望的な思いでいた。
    いっそ争点ごとに国民投票をして決めればいいのではないか、とも思っていた。
    ただ同時に、発達したインターネットメディアを国の意思決定に使えないかとも思っていた。

    そのヒントをこの本で得たような気がする。
    ソーシャルメディアに一石を投じること。
    これは決して無駄ではない。
    意味がある。
    まだこれがどう結実するのかはわからないが、少なくとも自分の行動を正当化こそすれ、
    否定する必要はないということで、意を強くすることが出来た。

    そう思えば思うほど、インターネット選挙活動の解禁が実現できなかったことは残念だ。
    憲法違反の定数とインターネット選挙解禁をこの3年間で実現できなかったのは、
    今の国会の怠慢だとつくづく思う。

    それでも活動を停めることはできない。
    よーし、続けるぞ!

    第1章 政治的無関心は何を引き起こすのか
    第2章 ウェブでつくる新時代のデモ
    第3章 ソーシャルメディア+マスメディア=?
    第4章 ネット世論を考える
    第5章 ネット選挙にみる次世代の民主主義
    第6章 政治家のソーシャルメディア利用術
    第7章 問われるソーシャルメディアリテラシー
    第8章 きみが政治を動かす
    終章 ガバメント2.0が実現する社会へ

  • 津田大介著「ウェブで政治を動かす!」2時間半かけて読了。読みやすい文体で難解な話題はひとつもなかった。とくに第7章が面白い。かつて炎上し削除された政治家のツイッターが多数紹介されていて、これは笑えた。同時に、自分自身も本書におけるラウドマイノリティーの立場として情報発信していくことに背筋が伸びる思いがした。確かに、携帯電話とネットの普及において、日本はツイッター先進国だ。本書はインターネットによる政治改革の先駆けを見事に予言している。自分のようなツイッターでも、バタフライ効果のように政治を動かす可能性が厳然と存在する。そんな予感を感じさせる一書だった。

    以下、特に気に入った箇所の紹介と簡単な感想を。

    引用――
    【「マスメディアでは構造的に絶対できないこと」もネットを使えば、成し遂げることができる。マクロとミクロ、リアルタイムとオンデマンド。マスメディアとソーシャルメディアが双方得意な分野で補完し合うことで、新しい形のジャーナリズムの姿が見えてくる。】

    両者は対立するものではなく、共存していくものだ。マスメディアの役割を考えるとウェブがどれだけ普及しても新聞は無くならないだろう。その点は以下の引用に詳しい。

    引用――
    【過度な無謬主義は一方で、ソーシャルメディアの果たすべき機能を制限することになり得る。現実的には、ここの部分にこそ、ジュリアン・アサンジが指摘した「マスメディアの検証機能」を生かすべきだ】

    情報の正確さを過度に追求する無謬主義は日本の国民性というか、神経質な物づくりで世界一のお国柄といえようか。ウェブとマスコミは決して背反分立するものではないのだ。

    引用―
    【現行の公職選挙法では、非効率かつ、むやみやたらに経費のかかる昔の慣行がまかりとおっている】
    しかし生まれながらのネット世代が成人する、2030年にはデジタルデバイドが解消されることにも言及されている。

    結論として以下の引用を結びにもってきたい。
    以下、最終章抜粋――
    インターネットやソーシャルメディアが政治や選挙制度に与える影響は(少なくともポテンシャルという点においては)非常に大きい。

    インターネットが政治にもたらした最大のもの――それは「政治を日常化する」ことによる可能性だ。

    本書のテーマはただ一つ。それは、「情報技術を利用して政治を日常化し、政策ベースの政治を実現する」ということだ。

    政治を自らの手で「動かす」という当事者意識が、今われわれに求められている。

  • 一昔前では有権者が政治へ影響を与える機会といえば投票くらいしかなかった。
    それが、ソーシャルメディアの近年の発達により、直接的に行政・政治家へ影響を与える環境が整っている。
    だからそれを存分に利用し、みんなの自らの手で政治を動かしましょうね!
    かいつまんで言うと、こういう内容。

    twitter、Facebookなどのソーシャルメディアを利用する政治家側の意識・意図を具体例を交えて述べているところは、どのようにアプローチすれば効果的かを考えるのに有用ではないかと思う。

    また、「デモの大きな目的は行政府に市民の不満を気づかせること。すべてのメンバーが高い知見・意識を持つ必要はない。気楽に楽しんで参加するもの。」という考え方は自分の中では新しく、そして同感できるものであった。

  • ふむ

  • 国会、審議会がいかにクローズドであるか、テレビや新聞の情報が偏ったものか・・・そう思うとますます見る気がしなくなります。

    今後はますます自ら情報を収集し、自分からも発信することが重要になって行くのだなと思います。

  • http://numatta.tsukuba.ch/e232602.html
    選挙に行かない恐ろしい影響

    提案型Open SNS .つくば異業種日替わりブログより
    本日は自身の考え(権利)を行使する大切な日です


    ①.投票に“行かない”ことのデメリットを知る

    :「投票しなくてもいんじゃね?」とつぶやく若者たちへの手紙(竹田圭吾氏)

    :「選挙に行かない」という選択があなたにもたらす恐ろしい影響



    ②.参議院選挙2013 論点は何だ?(yahoo抜粋)

    ■主要テーマ、各党の考えは?  ■候補者情報はここでチェック

    ■「アベノミクス」は是か非か    ■なぜ憲法96条改正が議論に

    ■今後の働き方はどう変わる?  ■約5人に1人の大卒が……

    ■あなたと同意見の政党を診断  ■ビッグデータで選挙結果予測


    ③.一貫して政治家がどの様な事を言ってきたか視覚的に

    候補者のこれまでの政策観が現れた発言を収集し
    政策のトピックやカテゴリごとに一覧できます

    http://img01.tsukuba.ch/usr/p/h/o/photography/plts.jpg
    (津田 大介氏が2年の準備にて作ったサイト)


    津田氏著 / ウェブで政治を動かす!

    「どうせ何も変わらない」という閉塞感を抱えた人向け
    政治以外でも、自身が動かなければ何も変わらない..


    投票時間は午前7時~午後8時迄です
    幾分涼しい時間を見つけて、投票へ参りましょう..

  • 問題意識:「政治や政策に無関心でいては、自分の好きなものがいつか誰かの勝手な都合で変容させられてしまう」
    Cf. 「レコード輸入権制度」

    「違法ダウンロード刑罰化」

    岸本周平

    良くも悪くも日本人は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という傾向が強い。n. 496

    原発デモ
    http://www.youtube.com/watch?v=w26klgPfBio
    Cf. 「情報拡散ルート研究会」

    デモ先進国、ドイツ・ベルリン
    環境政治学者マクシミリアン・クーン「10万人、20万人という大規模なデモが起こると、およそ10ヶ月後に出生率が上がる」

    國分功一郎、スタジオジブリ発行の小冊子「熱風」の2012年2月号「デモ」特集号にて「・・・デモにおいては、普段、市民とか国民とか呼ばれている人たちが、単なる群衆として現れる。統制しようとすればもはや暴力に訴えかけるしかないような大量の人間の集合である。そうやって人間が集まるだけで、そこで掲げられているテーマとは別のメッセージが発せられることになる。それは何かと言えば、『今は体制に従っているけど、いつどうなるか分からないからな。お前ら調子に乗るなよ』というメッセージである」n. 595
    <メタメッセージの存在>

    「動員の革命」
    2009年から2011年にかけて、モルドバ、イラン、チュニジア、エジプト、リビアなどで相次いで起こった一連の民主化運動。
    イランでの革命=「サイバーデモ」の方法論の萌芽。

    【日本ではなぜ暴動が起こらないか】n. 698
    「社会的不満を暴力に変換することに正当性はあるのか」という点に対しては、一考の余地がある。

    ツイッター議員の代表格・藤末健三「インターネットで現代の奇兵隊になれる」持論。
    会見を開示させた。Cf. 記者クラブ解禁問題
    フローの情報がストックされ、政治が動く―この一件は、日本におけるサイバーデモの始まりの事例だ。
    Eg. 「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の一部改正案に対する議論。

    河野太郎衆議院議員「声を上げますか、それとも泣き寝入りですか」ブログ

    東浩紀「無意識民主主義」可視化へ

    サイマル放送

    従来まで新聞は「社会の木鐸」として機能してきた。
    したがってその記事には正確さはもちろん、公平性の担保のような報道倫理も求められる。そこで新聞各社は、記者の書いた記事をチェックするデスクを置き、さらに校閲部を置き...

    2012年1月23日、朝日新聞の記者が実名でツイッターを始め、話題になった。Cf. 「朝日新聞デジタル」では、「ソーシャルアカウントの紹介」をしている。

    【落とされた情報にこそ、真実がある】n. 1100
    「マスメディアでは構造的に絶対にできないこと」もネットを使えば、成し遂げることができる。マクロとミクロ、リアルタイムとオンデマンド。マスメディアとソーシャルメディアが双方得意な分野で補完し合うことで、新しい形のジャーナリズムの姿が見えてくる。<メモ>食うか食われるかの二項対立ではなく共存の正しいスタイルの設計が求められる。

    【日本人の無謬主義の危うさ】n. 1195
    ポイントになるのは、長文を読んで理解するのが面倒なユーザー「今北産業」:今来たばかりの自分に、これまでの流れを3行で分かりやすく要約して説明してくださいという意味のネットスラング。

    池上彰は2012年3/4に行われた朝日新聞社とテレビ朝日による共同フォーラム「震災報道を考える」において、原発事故直後のマスメディアの報道が適切でなかったことに触れ、「日本のメディアは無謬性にこだわり過ぎていた。メディアでも、わからないことは『わからない』と言ったほうが良かったのでは。日本のメディアに求められているのは『この情報は8割方正しいが、2割は間違っている可能性があります』と読者や視聴者に伝える方法論ではないか」

    エストニアではネットを通じて投票まで行える。
    ※電子投票とネット選挙は異なる!
    +「広範囲・低コスト・リアルタイム」
    ↔「ドブ板選挙」

    米大統領選、オバマとロムニーの公開討論会で活躍した「ファクトチェック」と呼ばれるメディア系のアカウント。
    FactCheck.org

    ラウドマイノリティ(雄弁な少数派)

    Yahoo! みんなの政治

    世耕弘成の「デジタルどぶ板選挙」
    ツイッターを「ミニ世論調査」として活用

    メディアとしての政治家 Cf. 橋本岳前衆議院議員
    カギは「編集力」と「集約力」
    Cf. 松岡正剛「編集工学」

    丸山眞男「である」と「する」『日本の思想』

    「You Choose」:英国において行政府が公開するデータと情報技術を組み合わせることで、市民が具体的に行政に対して「対案」を示すことができるユニークなウェブサイト
    もともとはロンドンのレッドブリッジ特別区が作ったもの

    佐賀県武雄市の挑戦
    2006年に36歳の若さで、最年少の市長となった樋渡啓祐

    シミュレーションゲームを行政に生かす
    マイケル・ビーン、フォリオ社

    change.org:ある社会問題について納得のいかないユーザーが個別に「キャンペーン」を作成(署名活動の対象、何を変えてほしいか、なぜその運動が大切かの短い説明を書き込む)し、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアでそれを「拡散」することで、問題解決につなげることを目的としたサービス。

    【あとがき】
    本書のテーマ:「情報技術を利用して政治を日常化し、政策ベースの政治を実現する」

  • ソーシャルメディア革命に興味があり、購入。ソーシャルメディアの影響力は、日本ではまだ大きくないが、世界的な流れをみてもこれから大きくなるのは明らか。いかに既存のマスメディアと有機的に連携していくかが、日本の政治を変えていくポイントになると思った。できれば親の世代(マスメディアonly)に浸透してほしい。本書を勧めたいが、横文字が多くて難しいかも・・・

  • 選挙前から読んでてやっと読み終えた。
    ウェブは使わざるを得なくなるでしょうね。禁止する理由がもう…
    いつまでも未知なものを恐れないチャレンジャーでいたい。

  • 「『一般意志2.0』(東浩紀)を実現・サポートするためのサブテクスト」と著者自身が評する本書。
    なるほど、『一般意志2.0』では政治とウェブのコラボが「ニコニコ動画」という陳腐な例示しかなかったが、ITジャーナリストの例示はイギリスの「You Choose」やアメリカの「Save Award」など、実に多彩。
    とはいえ、『一般意志2.0』を読み思い描いた未来(民主主義2.0)に対し、本書に書かれる現実はなかなか厳しいものがある。
    「フェイスブックやツイッターで私たちが世界を動かせる時代」は、もう少し先かな。

    より深く理解するために、「一般意志2.0~ルソー、フロイト、グーグル~」(東浩紀 著)を併せ読むことをお奨めします。

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著者プロフィール

1973年、東京都生まれ。ジャーナリスト、メディア・アクティビスト、「ポリタス」編集長/「ポリタスTV」キャスター。著書に『情報戦争を生き抜く』『ウェブで政治を動かす! 』(ともに朝日新聞出版)など。

「2023年 『宗教右派とフェミニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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