ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ ガガガ文庫 ブラック・ラグーン [Kindle]
- 小学館 (2008年7月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (305ページ)
感想・レビュー・書評
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ピカレスク・ロマンなんて優雅なものではなくて、徹底したろくでなしの世界が描かれる。本編『ブラック・ラグーン』は、アニメの3話目辺りまでしか見ておらず、コミックスは未読。それなのに読んでしまった。ああ。白状しよう。生きていられるならば、なんてゾクゾクする世界なのだろう。但し、生きて命があればの話だが。
主人公の元商社マン、岡島くんは、既に裏街道を歩き出してしばらく経っている時期の外伝だそうな。ラグーン商会が引き受けた護衛の任務は、なかなかにきな臭かったらしく、すんなり行かない。チャイナの大組織と、ロシアの裏組織の手打ちを崩そうとする陰謀に、ラグーン商会の凄腕スナイパーとヤク中の悲しきガンスリンガーの対決。色っぽいがここに書けないヤバさの場面と青白い画面の薄暗さ。銃と血と、駆け引きが、私達を真夏の街へ掴みだす。
こんなところでは、普段の私では10分も無事ではいられまい。争わず、誰も出来れば傷つけないで、静かに生きていたいのだから。でも…それだけだろうか。私の中に、戦いと、策謀と、淫蕩な血への渇望は、ないだろうか。…殺したくはない。でも、窮地を切り抜ける知略は嫌いではない。色っぽい方は…さぁ?どうだろう。
本編の主人公、岡島くんが、『薄情な常識』があっさり自分を切り捨てたことへの怒りから裏稼業に転じたように。想像の世界でくらいは、声にしなかった怒りや理不尽さを解放するのも、悪くないのかもしれない。但し、誰も傷つけない想像の世界でだけに限るけれど。
(甘いって?いえいえ。現実にこんなドンパチやったらあなた、私のクローンが何人いても足りないし)
入口としては、この外伝、とても面白かった。ロアナプラの街は、目を閉じた闇の、先の先に広がっている。そう。まだ来たばかりの、あなたや私の中にも。面白かったから、コミックスの方も読んでみようっと。
これはPBWの方で影響されそうだなあ。エライものを教わっちゃった。参ったぜ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙でおわかりいただけるとおり、漫画『BLACK LAGOON』のノベライズ版。★3にしているが小数点までつけられるなら3.5にしたいところ。
BLACK LAGOONといえば派手な銃撃戦とスラング混じりの映画的な会話劇が魅力だが、それが完璧に再現されている。もちろんオリジナルストーリーでだ。新規で登場するキャラも"らしい"メンツが揃っている。
BLACK LAGOON好きの人になら"ニンジャ"以外はお勧めできる。 -
マンガのノベライズは「会話文だらけで地の文も拙い箇条書きの本」というイメージが強かったが、これは小説としてかなり出来上がっていたと思う。
ただ、マンガを読む上では苦にならなかった銃等の説明が小説では難しく感じた。会話文だらけも嫌だが、寡黙なオリキャラが回想しまくっているのも中々疲れる。
相変わらずラグーン商会はお偉い方に(運悪く)振り回されている。ダッチはよくストレスで倒れないな。ラグーン商会よく潰れないな。と思った。 -
好きなモノ×好きなモノ=大好物
そんな感じ。
虚淵さんの文章はとても心地よいです。 -
サイドストーリーとして上質で、その掘り下げ方に感服するが、感想がただ一人のゲストの為に全部ぶっ飛んだ。だから、この一言を持って感想とする。「ニンジャすごい」と。