著者の吉岡秀人氏は、医師として単身でミャンマーにて医療活動を行い、今では国際医療団体「ジャパンミート」というNPOの代表をつとめ、さまざまな医療支援をされている方です。
経歴だけみると頭もよく、行動力もあり、一般の人とは違う特別な存在のような気がしてしまいます。
ですが本人いわく、小さいころは体も弱く、あきっぽくて勉強もできない子供だったそうです。ですが失敗しながらも自分に正直に“一歩”を踏み出し続け今があると語っています。
そんな著者が、どうしても最初の一歩が踏み出せない、なかなか行動できない人に向けて情熱を込めたコトバを伝えてくれているのが本書です。
行間も広く構成もしっかり考えられており大変読みやすく、50の言葉も胸に響く言葉ばかりです。
この中で私の心に残った言葉がいくつかありました。
まず、
「STEP 09」 DREAM[夢]
「夢があるから頑張る」じゃなくて、「頑張る人に、夢が与えられる」
の章です。
たしかに「夢」があってそれに向かって突き進んでいる人はどんな苦労もできますし、輝いて見えます。
私もそうですが、自分が何に向いていて、何ができるのか。
好きなことはそれなりにあるが、のめり込むほどではない。
「夢」がある人を本当にうらやましく思ってしまいます。
ですが「夢」は自分の心の中にちゃんとあると著者は語っています。
それは小さな声で些細だから見逃してすぐに消えてしまうらしい。
そうしないために心の声を聞いたらなんでもいいからすぐに行動を始めること、「これかな?」と思ったらその方向に向かって、とりあえず行動を起こしてみる。
行動しないことには何も始まりません。やってみて自分に合わないダメだなと思ったらやめればいいだけだと教えてくれています。
次に
「STEP 37」 MISSION [使命]
ミッションは、もともとあるのではない。
やり続けるからミッションが発生する
の章です。
人生のかたちは「木」に似ているといいます。
木の真ん中つまり幹がミッションで、そこからいろんな派生物つまり枝葉が出ているイメージです。
ミッションへのアプローチ法は真ん中の幹から手に入れ、そこから枝葉へ広げるのではなく、逆からが正解だそうです。
風に吹かれてよく揺れ、傷つきやすい小さな葉っぱの部分から始め、そこから枝に行き幹へたどり着くのです。
自分のミッションが何だか分からない場合は、今あるできる事を全力でやり切ること、それをやることによってまた「新しい何か」が見えてくるのでしょう。
そしてさらに「新しい何か」を発展的に取り組んでいく、それを繰り返すことにより、最初はボヤッとしか見えなかった自分のミッションがダンダンとはっきりし、自分のものとなっていくのではないのでしょうか。
最後は
「STEP 42」 WILL [意志]
悩んでいる時間が一番もったいない。悩む時間を極力減らし、すぐに行動に移す
の章です。
「悩んでいるというのは、行動していない証拠です。行動していれば悩む暇などありません」という話を以前聞いたことがあります。
たしかに、自分に当てはめて考えると、行動せずに悩んでばかりいる時期がありました。
ですが、とりあえずの目標を見つけそれをやっている時は、悩みなど忘れてしまっていたように思います。
それからは、心のバロメーターとして自分が悩んでいるなと感じた時は、何も行動していない時なので、何でもいいちょっとずつでも行動するように心がけています。
本書の中に「一歩を踏み出した“先輩のコトバ”」として、各界の著名人の残した言葉が添えられており、それも成功した人ならではの重みのある言葉ばかりです。
私が一番気に入ったのが、「壁は自分自身だ」という岡本太郎氏の言葉です。
人はできない理由をあれこれ探して、自分を納得させていますが、そのできない事の最大の障壁となっているのは、外的要因ではなく本当は自分自身だと言っているのではないでしょうか。
うーん、まさに真髄だと思いました。
「周りが反対するからできない」
→周りの気持ちを変えるべく、熱い気持ちで説得したか?
「お金も、時間もないからできない」
→お金を貯める努力、お金をかけずにできることを探したか?
時間はよほどのことがない限りつくれるはずです。
など考えてみるとキリがないのですが、自分の気持ち次第で変えられるものがほとんどではないでしょうか。壁というのは自分自身です。
最初読んだ時はあまり気にも留めなかった言葉が、後日もう一度読んだ時には、心に響く言葉に変わっている。そんな本ではないでしょうか。
手元に置いて何度でも読み返したい本です。読むたびに後ろからポンと背中を押して勇気を与えてくれるそんな良書だと思います。ぜひおすすめします。