- Amazon.co.jp ・電子書籍 (498ページ)
感想・レビュー・書評
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平野啓一郎氏( @hiranok )著。
文句なしに面白い。
分人(詳しくは「私とは何か」)っていう考え方を元にして書かれている小説で、特に人間関係に関してすごく楽に、前向きになれる本。
とにかく是非読んでみてほしい1冊。 -
ひとりの人間の中に沢山の分人がいるという考え方をもってすれば、過去どれぐらい多くのことで救われ悩まなくてもいいことがあったか。早くこの考え方に出会いたかった。
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自殺から生き返った男の葛藤を描いていて重いテーマだと思いましたが、死生観、そして死というものがもたらす残されたものたちへの影響について考えさせられました。生から死のベクトルでものを見がちですが、死から生というものを見るということもある意味大事なのかなと。「私とは何か」を先に読んでいた事もあって分人という考え方が更に身にしみました。
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「自殺」を分人の概念をつかって考え直す小説。結婚式でつがれ続けるお酒を例に、幸せの絶頂のはずでも苦しいときはある、ということを示されたのが印象的だったかな。復生者の設定なども新しくて面白い。
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読書の後は余韻が残るものだが、これは限りない空白を残された感じだった。
読み進めていくうちにきちんと空白を満たしてもらっていたと思ったのに、最後には埋めようのない空白が。
変に匂わせる余韻よりも、ずっと清々しい空白だ。
わたしにとって小説の醍醐味は共感、言語化の快感だったが、この小説にはとても具体的な救いを提示してもらった。
自分の中にはっきりと分人を意識すると(しかもそれは一人の時にも出来る)今まで気付いてすらいなかった窮屈から解放される。
人生のこれからに光を見た気さえする。
始めから終わりまで、考えてもどうにもならない先の不安や答えの出ないことのてんこ盛りなのに、始めは暗く絶望的なのに対して、だんだんと希望が見えてくるのが不思議だった。
景色や空気の丁寧な描写がとても素晴らしくて、映画でも見ているようにしっかりと頭のなかに映し出された。