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感想・レビュー・書評
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難聴を患った「わたし」の前に現れた速記者Y。やがて二人は現実と記憶の時間を共にし始める。 ほとんどの音が存在を許されない世界で著者らしい静謐なタッチで物語が紡がれて行く。 読み終わり夢を見てたようなそれでいて全てが合点がいくような。 Yとは何だったのだろう。
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なんという手フェチ小説。
主人公が何の準備もせずに受けて傷ついているところと、乗るバスを間違えて心細くなって仕事中の友人?に助けを求めるところがもどかしかった。
弱っているなら仕方ない仕方ない。 -
淡く,清らかな愛の物語.まったく想像していなかった結末に,最初は驚いたけど,この儚い物語にお似合いの結末かもしれない.僕には,この辺の機微は,ちょっと難しかったような.なんにせよ心洗われる素敵な一冊でした.
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夫が家を出て行った次の日から突発性難聴を患うことになる「わたし」の物語です。
難聴が治ったと思った次の日、わたしはある雑誌の座談会に招かれます。その座談会は、いかに難聴を克服したかということをテーマに、患者さんの話を聞くというものでした。
わたしはそこでYという速記者と出会います。
わたしはすらすらと一文字も漏らさず速記するYの指に魅了されます。
やがてわたしとYは再会し、個人的にわたしが喋ったことをYが速記していくという関係を持つことになります。しかし、Yが記載する特別な柔らかい速記用の用紙が無くなる時、わたしとYの関係は……。
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部屋の中をジャスミンの花で満たそうとする侯爵の話とか、魅力的なエピソードがかなりあります。
ただ耳を患っているだけなのに、これだけ日常の世界を違ったものに見せる力量はさすがだと思います。夢の中の世界を切り取ったような不思議な感触のする作品です。
後の「博士の愛した数式」に繋がるものがあるように思います。
村上春樹などが好きな人にはかなり楽しめそうな気がします。