男の作法(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 今の自分に必要な情報がそこまで無かった。

  • もう30年も前に亡くなった著者が解く「男」の作法。今じゃ、そんな時代じゃないとも思うし、昔はそんなこだわりのある大人は面倒くさいなと思ってたけど、そんなこだわりが美しい見える年頃になってきたのかな。こだわり持って日々過ごしたい!

  • こりゃかっこいい。いくつか池波先生の名言を挙げる。

    「戦争に出て行って戦死するかもしれない、あるいな生き残って帰ってくるかもしれない。その率は五分五分なんだ。すべてが五分五分なんだ。」

    「人間というのは自分のことが分からないんだよ、あんまり。そのかわり他人のことはわかるんですよ、第三者の眼から見ているから。」

    「『人間は死ぬ…』という、この簡明な事実を出来るだけ若い頃から意識する。もうそのことに尽きるといってもいい。何かにつけてそのことを、ふっと思うだけで違ってくるんだよ。」

  • 古き良き日本の男の美学をkindleで読了。感じたところは二つ。
    ひとつは、著者が指摘するところ男の常識や美学を、わりとワタシは持っているじゃないか、と感じたこと。いや、マジメな話(笑) 少なくとも池波正太郎に認めてもらえる程度は持っていると思う。
    もうひとつは、やはりこういう語りができる人間というのは、魅力的だということ。何事に対しても、自分なりの考えを持ってスタンスが決まっていて、それでいてこだわりとは違う軸を持っている。こういう人の話が面白くないはずがない。これはワタシの周囲でもそのままあてはまる。軸がしっかりしていれば、そこには古さとか新しさという物差しはあまり意味をなさない。
    自分はこんな語りができる人間になっているか。本書を常に携え(kindleだからそれも可能)、時々それをチェックするために読み返してみよう。

  • 著者自身も序文で断っている通り、ここに書かれていることはあくまでも著者自身が生きてきた時代の「作法」であって、中には現代(と言っても80年代前半)では成立しないことも多々含まれる、と。それは確かにその通りで、読むと今の時代に適用させるにはあまりにも無理がある言説もちらほら。とは言え「古臭い」の一言で切捨ててしまうには余りにもったいなく、現代社会でも十分通用する(むしろより一層リアルな)普遍性のある「作法」が多くあり、時代に関係無く生き残る「普遍的な価値」とは何かを考える上では逆に非常に興味深い。「男のお洒落は自分の気を引き締めるためのもの」「よその土地の食べ物を無闇にディスるな」「うまい店は店構えで分かる」「他人の時間を無駄にするな」などはまったくもってその通り、と深く頷くことしきり。

  • 豊富な人生経験をもつ著者が時代を超えた「男の常識」を語る。この作品は池波氏の「語りおろし」でつくられる。池波氏の「若き友人・佐藤隆介氏」の様々な質問に答えたものが、きわめて具体的に男の生き方を教える一冊になった。

  • "昔の話だけど、タメになることもあった。
    「死」を意識すると目の色が変わる、身のまわり全てが磨き砂、なるほどな。"

  • 「自分も世の中に出来る限り、報いなければならない」それが男を磨くことになる。

  • 20200917 基準となる考え方。誰かを信じて追いかける。かっこいいが少しずれているような。そこもまた良い。

  • 池波正太郎 著「男の作法」、2009.6発行(1981年刊行)。男は度胸、女は愛嬌、聞かれなくなって久しいですねw。①ちゃんとした鮨屋は、通ぶる客(知ったかぶり)を軽蔑する ②身だしなみ(おしゃれ)は、男の場合、自分のためにやる。自分の気持ちを引き締めるため ③わさびは醤油に溶かさずに、刺身の上に乗せる ④電話のかけかた、店頭での本の見かた、劇場などで人間(この本では、女)がわかる ⑤一つのことをやりながら、つねに他のことにも気を配る、そういう訓練が今の人にはなくなった ⑥あらゆる人間の躰の病気の根源は血の循環 ⑦男をみがくにも、みがきどきというものがある。

  • 冒頭にもあるが、著者の人生における様々なトピックに対する考えが述べられている本である。ご自身も述べているように時代背景も違っているので、必ずしも現代において当てはまるものばかりでは、人によって違うと捉える箇所もあるかもしれないが、一人の男の考えということで参考になる部分も多いにある。1時間ほどで読めるのでたまには違った本を読もうという方におすすめ

  •  セールに出ていたから買ってみたものの。古い時代の話ではあるし著者が好き放題言っているだけであって、なるほどという部分もあるかわりに的外れなものの多い。この手の本はそういうものなので、いいとか悪いとかいう範疇のものではなかろう。著者の語り口というかそれを楽しめればいいのだろうし。

  •  粋な振る舞い、というのは、粋な人に教えてもらうしかありません。

     例えば寿司屋で「しゃり」だの「がり」だのと言う人がいますが、こういう符丁は店の者が使うものであり、客が粋がって使うのは粋の対極、野暮の極みだったりします。当人は大将の使う符丁を一緒になって使い、なじみヅラしてるんでしょうが、これは閉店になった後のスナックのカウンターに入り込み、嬉々としてコップを洗ったりして常連面する変ななじみ客とその精神は一緒です。

     本書を読んでいくとわかるのですが、実は著者は別に「粋」を語っているわけではありません。むしろ、その場に合わせた常識的な振る舞いについて語っているだけです。
     だけど、そこに著者の生き方や美学が反映されています。寿司屋でもう一つ言うと、著者はやたらトロを食う奴に眉をしかめてます。「金があるからとバクバク食うもんじゃない、他の客が食えなくなるから一つ二つ食ったらおしまいにするべきだ」と店や他の客のことを考えて振る舞えと説くわけですが、そういうところに本当の美学が宿っているように思います。
     男の美学、そして人間的な余裕、そういうものがダンディズムの重要な構成要素なんでしょうね。僕に足りないものばっかりです…

     ただ、読み進めると「アレ?」と思うような記述に出合ったりもします。

     74頁以下では「浮気」という項目で、浮気について語っていたりします。うん、ここはさすがに作法もクソもないですよね(笑)

     天ぷらの項では、「天ぷらは揚げたてが美味いのだから、親の敵に会ったようにかぶりつけ」とあり、店の親父だって一番美味しい時を狙って出してんだから…と料理人に敬意を払う話に納得します。「腹を空かせて行くのが料理屋に対する礼儀なんだよ」というのは、仰るとおりです。続いて、料亭でも出されたものはすぐ食べろ、そういうタイミングで向こうは出してんだ、という話に。
     ここまではわかるのですが、雲行きが怪しくなるのは、その料亭の名前が「吉兆」だということ。

    《どうしても腹がすかせないで、おつき合いで行って食べられそうもないという場合は、むしろ手を付けないほうがいいんだよ。
     仲居に、
    「あと、何が出るの?」
     と、聞いてもいいんだな。で、仲居が何と何ですと教えてくれるから、
    「それならぼくは、あとのそれを食べるから、いまちょっとおなかいっぱいだからこれは結構です」
     と言って、手をつけずに最後きれいなまま下げてもらう。そうしたら、せっかくのものが無駄にならないでしょう。だれが食べたっていいわけだから。》(83頁)

     い、池波先生…実はそれで「船場吉兆」という料亭がつぶれるくらいの大問題になったんです…


     ま、そういうのもありますが(笑)、飯の食い方、酒の飲み方、着るものに人生諸事全般について粋とは何かを教えてくれる人が身近に居ない方は、是非本書をひもといて下さい。池波正太郎大先生が粋な口調で教えてくれます。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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