新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 去年は中井英夫没後 20 年ということで、小樽文学館が中井英夫展を開催していた。2014 年は物語が開始する昭和 29 年から 60 年目に当たると同時に塔晶夫の「虚無への供物」出版から 50 年でもある。それもあって光文社のミステリ文学資料館が中井英夫展を開催と、最近中井英夫関連のイベントが多くファンとしては嬉しい限り。

    そこで電子書籍化された「虚無への供物」を読んでみたのだが、電子書籍らしさが全く見られない。新装版と書かれているが、講談社文庫の旧版との紙の本における違いは使用するフォントが変わり、文字の大きさが大きくなっているもの。その分ページ数が増えてしまった結果か、上下巻に分割されてしまっている。
    電子書籍では文字の大きさはこちらで自由に選べるし、何より物理的な厚さの制約を受けないのだから、上下巻に分割する意味はまったくないはず。にもかかわらず、ご丁寧に紙の本に合わせて分割している。おかげで上巻を読み終えた時点で色々と操作して下巻を開かなくてはならない。2 章から 3 章へのつなぎは現実と非現実が反転するみごとな構成になっているのに台無しだ。

    ちなみに、電子書籍版は出口裕弘氏による解説、中井英夫自身による年譜、本多正一氏による新装版へのあとがきが収録されていない。それらを期待する向きには注意。
    というか上記のものが未収録なら新装版である意味は上下巻分割と表紙画像だけだ。編集者は何を考えているのだろうか。

  • 幾重にも重る薔薇の花びらのように、語り重ねられる推理合戦。重層的に明らかになる真相、解釈、事件に次ぐ事件。すべての花びらがはがされたとき、そこに現れるものは。
    人の死の重さを脇に置き、謎解きを楽しむ「推理小説」というジャンルへの、痛烈な批判ともとれる。本書そのものが、「推理小説」という「虚無」に捧げた供物なのかもしれない。
    巻末に、これまで各社から刊行された本書の「あとがき」がまとめて掲載されている。版を重ねるたびに改稿し、ようやく著者が納得のいく本が出来上がったようだ。その経緯がよくわかり、興味深い。
    表紙の写真は森山大道作品。圧倒的な存在感はさすが。上下巻を合わせて一輪となる装幀、デザインは鈴木成一。薔薇の遺影のようでかっこいい。

  • 三大奇書と呼ばえる物を読んでみたくて、手にとってみました。
    1960年代の作品だけあって、残り2作の「ドグラ・マグラ」「黒死館殺人事件」よりは大分読みやすかったです。

    国内外の探偵小説に通じた、自称探偵達が
    「実はこうだったんだよ!(そうじゃなかった)」
    「おお…なんてことだ!(小説内小説でした)」
    的などんでん返しがてんこ盛りで、普通に楽しむことが出来ました。

    しかし橙二郎おじさんかわいそうです
    まさに虚無への供物

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著者プロフィール

1922~93年。『虚無への供物』『悪魔の骨牌』などの小説で独特の幻想世界を繰り広げた。04年には有栖川有栖、恩田陸、菊地秀行、北村薫、嶽本野ばら各氏ら17人によるオマージュ集『凶鳥の黒影』も刊行。その影響はいまだ衰えることはない。

「2015年 『不思議の国のアリス ミステリー館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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