「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史―(新潮新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 夏目漱石の留学時代についての記述を大変興味深く拝見しました。
    著者もイギリス留学を経験されているということで異国の地での孤独と心理状態について詳しく書かれています。
    言葉が伝わらないことで相手から幼児のように思われているのでは?と思い悩んだり私も同様の経験があり今になって明治の文豪に深く共感しています。

    高校時代の国語の担任が、話してくれたエピソードを思い出しました。

    ”鴎外はドイツに赴いたら「現地の人の話していることが面白いようにわかる!これは愉快だ!」と大喜び、おまけに日本に追いかけてくるくらいの恋人まで作ったのに対して、漱石は英語が通じず対照的に暗い日々を送ったんだよ”

    今、その詳細を知ることができて思いもひとしおです。言葉を知らないと人を知らずとありますが、その事例に富んだ好著だと思いました。

  • 仕事に疲れた時に「へーそうなんだ!」と、コーヒー飲みながら読むのに最適。現実社会のことは忘れて、言葉が生まれた時のことを想像しながら本の世界を楽しめる本。…いみわからないか。知識欲を満たしてくれる本、ということです。

  • 言葉って難しいね。ウサギ小屋がフランスの集合住宅だったことに驚き。日米開戦も誤訳から?

  • うさぎ小屋は、フランス語→英語→日本語という多重翻訳からくるもので、12歳というのは文脈からは悪意は見られないとある。

    日本語でも苦労しているのにましてや英語なぞ、という人間にとっては国民の命を背負って翻訳するという行為の重さは分からないが、そこまでの英語を学ぶのにはどのような環境が必要なのだろうかに思いを馳せた。

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著者プロフィール

大阪学院大学外国語学部教授、中京大学国際教養学部客員教授。
1950年、三重県松阪市で生まれる。名古屋の東海高校を卒業して、1969年、一橋大学法学部入学。1974年に卒業、外務省に入省。1977年、ケンブリッジ大学よりLL.M(法学修士号に相当)取得。国連日本政府代表部の一等書記官や天皇陛下の侍従を経て、2009年から2012年まで駐チュニジア大使を務める。 在任中に「アラブの春」の先駆けとなったチュニジア革命に遭遇。その後、駐ラトビア大使を務め、2015年 12月に外務省を退官。2016年より現職。
著書に、「「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった」(新潮新書)、「外交官の「うな重方式」英語勉強法」(文春新書)などがある。

「2018年 『「アラブの春」とは一体何であったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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