小説・震災後 (小学館文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • もちろん、登場人物や小さい出来事はフィクションなので、これは小説だけど、東日本大震災からその後の混乱については事実に基づいて描かれているので、その時期に東京に暮らしていた私としては、単純に物語として消化しきれない物だった。

    もちろん、原発の問題は丁寧に考える必要があると思う。ただ私はみんながみんな真面目になる必要はないと思うのだ。
    作者とは考えを異にしてしまうが、無辜の民というのはこの震災を超えても、現実に直面させられながらも大人にはなれなかったと私は考える。庇護がなくなれば自動的に大人になれるというわけではないし、年齢を重ねたからといってここで言う大人にはなれないんじゃないだろうか。辛いけど。

    そういった無辜の民が大人になれないままに現実に突き当たるから、精神をやられたり、丁寧に考えることができずイージーな答えに飛びつく。それであればいっその事、無駄に真剣になることなどないと思う。
    まぁ、自分の子供や家族のために真剣になれるところが可愛げでもあるとは思うけど、その想いこそが不幸を生むのではないだろうか。地獄への道は善意で舗装されているのだ。

    大丈夫、我々が真剣にならなくても人類は前進する間違いない。

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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