ユービック [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • これまた凄い想像力…( * ॑꒳ ॑* ).☆.。.:*・°
    面白くて、後半一気読み!!
    これが1969年の作品て…

    『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』とはまた違うタイプのSF作品。

    「みなさん、在庫一掃セールの時期となりました。当社では、無音、電動のユービック全車を、こんなに大幅に値引です。」

    出だしの一文です。
    UBIKとは何?
    表紙のスプレー缶じゃないの?え?車?

    意味深な広告が話の途中に何度も入ります。
    注意深く読んでください。

    1992年。
    超能力者(エスパー)が普通に存在している時代。

    覗き屋(ティープ)、念力移動屋(パラキネテイスト)、予知屋(プレコグ)、死体蘇生屋(リサレクター)、物体賦活屋(アニメーター)。

    なにやらアニメのような世界観に…

    月面のプロジェクトで、ランシター合作社の雇う不活性者 (イナーシヤル)11人は月面へと出発する。

    内容紹介がなかったので、どこまで言って良いのか微妙なのですが…。
    文庫本の裏表紙の紹介は見ない方が良いです(^▽^;)

    私はフォロワーさんに警告を受けていましたし、電子書籍だったのでネタバレ回避できました。

    読了後、裏表紙を拝見しましたが、バッチリネタバレ(-∀-`; )
    知らないで読めて良かった。

    映画『TENET』を一部彷彿とさせる作品ですが、全くの別モノ。

    もしも映画化とかなったら…映像化できるのかなぁ…
    クリストファー・ノーランならできるかなぁ…
    あの世界観を壊さず表現できるのだろうか。

    半生者の事とかエスパー達の能力の事とか時間の事とかとにかく言いたい事沢山あるのですが…控えます。(、._. )、ううっ

    読んだ人と思いっきりネタバレトークしたくなる作品です!!

    ディック、天才ですね(ღ*ˇ ˇ*)。o♡

    おすすめです!!



  • 短編、長編含め、数ある作品の中でもフィリップ・K・ディックの、最高傑作のうちの一つと名高い本書。

    まあ、1969年発表の古典的 SFで、浅尾氏の翻訳も相当古臭い感じがしてなんとも独特の感覚を覚えるが、その懐古趣味的なおもむきがもはや一種の味ですよこの辺りの古典では。

    しかも、物語上、その古臭い未来の情景がどんどん過去に戻っていくという描写、これ映像化されたらけっこ面白いと思うけれどなぁ。無理かなぁ。

  • 面白い!!!何ていうか、「面白い!」という貧弱なボキャブラリーでしか本書を説明できないことが残念である…。超能力?電脳世界?的なバトルものかと思ったらなんとまぁ!ハードボイルドな香りのするミステリへ変貌を遂げ…そうこうしているうちにどんどん捻じれていく世界…!そして結末は…「???」ってなりましたが。。。境界が溶け始めたのか、それとももう彼もそうなのか…?うーーーーん面白いよディック!電気羊も好きだったけど軽くそれを上回りました。次は何を読もうか。表紙もカッコいいよね。好き(*´з`)

  • クリストファーノーランで例えるなら
    作中の設定はTENETのようで
    結末はインセプションのよう

    ディックの人気作1位が納得できる
    単純に面白いの一言

  • 1969年、発表。
    作中、1992年設定。読心術や未来予知の超能力者を芸能プロダクションのように統括して貸し出すビジネスがある(超能力を無力化する反超能力者も流通する)。また死者を完全に死ぬ前に冷凍して《半生》状態に置き、会話する技術もある。主人公ジョー・チップは「超能力に対し企業を防衛する」ランシター社に勤務する《超能力力場》測定技師。ランシター社に予知能力者をつかって採用面接などで入り込む隙を発見し産業スパイを働くホリス社に対抗する大仕事が舞い込んで、チームで現場の月に行くが罠だったらしく、同行の経営者ランシターは爆弾で殺され

    設定は発表の’69年とあまりに近い、普通は遠未来となる死後生存技術確立後の社会。ランシターの死で為すすべもなくなり地球に戻るが(ディックの読者にはおなじみの)《現実崩壊》が進行していき、あたりは米国が第二次世界大戦参戦直前の1939年となる‥主人公の笑えるぐらいの経済的困窮がディックの執筆当時の反映みたいだし、結末の数ページにだけ現れる《救い》=ユービックは、彼が再婚と自作高評価を予見(期待)していたことを示すかもしれない。

    ランシターの妻、エラも《半生》状態。冒頭部分でランシターが「埋葬は野蛮だ」と言う。遺体を冷凍保存するのは戦場では無理、という反戦の表明と見ることもできる。’69年発表当時はベトナム戦争たけなわで、自信満々のアメリカは当初報道を自由にしていたが「どうやら勝てない」のが判明しつつあった。作品の想定’92年は奇しくも“兵役を(留学により)忌避した、ベトナム反戦運動に加担した”クリントンの当選し年、北朝鮮の金正日が瀬戸際外交をくりひろげ、たまりかねた金日成が修復に乗り出し(不思議にも翌94年急死」)、た年。

    不思議な少女パットの「過去の選択をなかったことにする超能力」は何を意味するのだろうか?1960年のケネディVSニクソンの大統領選で投票に「ルーサー・キング」と書いたとされるPDKにとって、そのニクソンが’68年の大統領選で当選するとは過去が蘇ったような悪夢的出来事でなかったか?“JFKが暗殺されなかったら”という小説は私の知るだけでも3冊ある。私はJFKがいてもベトナム戦争を止められたとは思えないが、ランシターの《死》はJFK暗殺の暗喩かもしれない

    ランシターの肖像の硬貨が現れるのが最初の方の異変だったが、JFKも没後すぐ(’65)半ドル硬貨となっている。アポロ計画を発表したJFKにとって月は憧れの地だったから、ランシターはそこへ行って死んだのかもしれない(ビッグプロジェクトではあっても同行する必要があったか?)。月にも行ってない出版の’69年から二十数年で月面民間人恒久設備や死者との対話ができるとは思えないが、全面戦争にならないのみで戦乱の絶えない世界情勢に、’68から「二期の大統領3人」ぐらい先には「死者の声に耳傾ける」政治を期待したのではないか

    1939年は、第二次世界大戦勃発とはいえ、主要国間では本格的戦闘の行われない奇妙な時期。「米国は参戦するだろうか」、翌年の大統領選にFDルーズベルトは前例のない三選をかけて「あなたがたの子供を戦場に送らない」と公約する。作品中でうっかり「ロシアと連合するよ」と言ってしまうと目を剥くので、つぎには話題を振られても「政治のことは話したくない」と突っぱねる。権力者は恣意的に民意を操作し、一昔前のこと、一世代も未来のことは途方もなく別世界に見えるという示唆だろうか。

  • 傑作!

    高校時代に同じくSF好きの同級生が「ヴァリス」に挑戦しており感想を聞いてみたところ、「さっぱりわからん」と言っていた。やっぱり、薬物中毒の妄想オヤジかと思ってずっと敬遠していたのでした。

    でも・・・なんでしょう、この面白さは!オカルト的でもあり、ミステリー的でもあり。

    69年の作品なので冒頭なんとなくレトロ感あふれていますが、”ランシターは言った。「死んだ家内に相談してみよう」”で、もう捕まれてしまいました。死に行く者との会話ができるサービスを売りにする企業、超能力者集団によるセキュリティー・サービス、過去に干渉することによりい現在を変えてしまう超能力者、など科学的背景などまったくない妄想の産物なのですが、「現代」を形作るものを別のガジェットで実装している感覚にちかいのでしょうか。

    今の状態って生きているといえるのか?できごとの偶然性には何か意味があるのか?など、不安な世界に生きるということは、まさにディック的な妄想世界にほぼ等しいのではと思えてくるのです。ショック。

  • 初めてちゃんと読んだフィリップ・K・ディックの小説。レビューの評価が高いので期待して読み始めたのですが、正直言ってよくわからないまま読了しました。
    もう一度読めば「ああ、そういうことか!」となるかもしれないですが…(再読はしないと思う)

  • 脱力。住み慣れた自宅が別空間になった気分。中盤以降凄かった。ミステリアスな展開と謎解きも面白かったけど、少しずつ生気が抜けていくモノローグは半端なかった。特にジョーが階段を上るくだり。強烈。合間に挟まれるユービックの広告の謎がドラマに混ざってくるところも凄い。これが「ディック感覚」というやつか。タバコが砕けたり、腐ったコーヒーだったりのあの一連の細々とした描写も強烈。それが身に迫ってくる感覚とか読んでるだけで息苦しさがあった。こんなに生々しく苦しい幻想描写は他にあっただろうかとか言いたくなる
    コインをいちいち入れないとドアも開けられないガジェットとかは星新一を思い出す。それが単なる背景にすぎないってのがディックの面白いところという感じ。

  • 設定は分かりやすく、テンポよく話も進んでいく為読みやすかった。
    読みやすいとは言ったものの、内容を理解することとは別の話。
    正直オチも含めて理解出来ていないところが多々ある。
    ただ、楽しめた。何がどう楽しかったかの説明はできないが、、
    時間に余裕ができたら再読してみようかな、、

  • めちゃくちゃ面白い

    始めは超能力バトルと思いきや、ホラーになり、世界の時代が疑わしくなる。

    現実を疑って前に進む主人公の強さ。
    最後には現実がどこへいったんだ?
    グレンランシターもいつの間にか死んでいた。

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著者プロフィール

Philip K. Dick

「2009年 『髑髏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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