ねじまき少女(上) [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • SFものを読みたいと思いさまざまなタイトルを受賞していた本書を読んでみた。まず聞き慣れない造語が多く、設定が複雑な部分が取っ付きづらいと感じた。用語解説のウェブサイトがあったので先にそれを見てから読むと少し分かりやすくなった。
    遺伝子操作や伝染病の部分がSFチックで読んでいてワクワクしたが、言葉以上のサプライズはなかったのが少しガッカリした。
    上下巻読み面白くないことはないが、タイトル総なめしたSF小説というハードルを上げていたので星3つの根拠となった。

  • 石油の枯渇し、遺伝子改変した食品が世界に流通し、(おそらく)そこから発生した疫病が蔓延し人々が多く死んだ、という設定の世界が舞台。

    脱酸素が昨今の重要キーワードだが、代替エネルギーの技術革新ないまま化石燃料使い続けるとこうなるよ、という一つの可能性の提示になっているかと思う。ただ、現実の世界でもエネルギー分野はすでに大きな問題とみなされ、それを回避する方向での研究が進められており、このようなディストピアな未来は避けられるのではないかと期待できるが、本作のもう一つの大きなテーマである遺伝子改良が原因によるディストピア、こちらの方が将来的に現実に起こる可能性あるんじゃないか、と思わされる。遺伝子操作の技術はクリスパーなど革新的な技術が出てきて、まさに今が黎明期、これから伸びんとする領域である。倫理的にヒトの受精卵には使わないという暗黙の了解があるが、中国ではすでにデザイナーベイビーの研究が進んでいるという話もある。いわんや、植物の遺伝子改良の数は劇的に増えると予想できる。遺伝子改良植物によって得られる恩恵は確かに大きいが、高度成長期の公害問題のように、発展時には何かしらの問題が付随して起こりがちで、それがもし遺伝子分野において発生した場合、致命的になりうるのではないか。そんな想像もさせてもらえる作品。
    上巻なのでまだまだ謎も多いですが、下巻を読む気にさせてくれるストーリーとなっています。


    しかし、この本は読んでいても世界の詳細な説明は全くなく、事前にしっかりとあらすじを背表紙とかで確認しておくことをお勧めします。じゃないと読んでいてイメージが全く湧きません。

    あらすじをそのまま以下に引用すると
    「石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。遺伝子組替動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。彼とねじまき少女エミコとの出会いは、世界の運命を大きく変えていった。主要SF賞を総なめにした鮮烈作」

    この説明をまず読んでなんとなくイメージしてから読み始めないと全く世界観についていけなくてなかなか苦痛です。エネルギーを取り出す工場ってゼンマイを作っている工場なんだけど、本文中では特に説明なくゼンマイがエネルギーを変換する重要なパーツであるという前提で話が進むし、他にもカロリーマン、ジュールを生み出す(なんとなくエネルギーを生み出すことの意味かな、と推測できる)など、独特の用語が説明なく飛び出すので、自分が持てるありったけの想像力と知識を使って物語の中に飛び込んでみましょう。

  • 読了。未来のタイ王国を舞台にしたディストピアSF。SFなんだけど、石油が枯渇して電気もほとんど使えないという設定で、出てくる技術がゼンマイベースだったりと、基本的にいろんなことが退行しててあまりわくわくしないタイプの話だった。唯一、タイトルロールにもなっている「ねじまき少女」のエミコは実は…というのが後半で明らかになってくるとだいぶテンションが上がってくるものの、その能力を生かして大活躍するわけでもなく、ひどい目にあって終わる。話としては完成度は高くて、世界観の作り込みも納得感があるので、この手の話が好みの向きもあると思うが、私には合わなかった。あと原著の書きようなのか翻訳のせいなのか、割と文章が読みにくかった。

  • 読み始めてすぐ「ディストピアものはちょっと…」と、寝かせていたのだが、読み始めると何故かしょぼくれたお爺さんのホク・センが魅力的で(良いところはこれといってない人物です)なんとなく最後まで読めてしまった。下巻に期待。

  • 「ねじまき少女(上)」(パオロ・バチガルピ)電子書籍版を読んだ。今この段階ではまったく盛り上がらない。以前住んでいたタイへの懐かしさだけで読んでいる。あんなに食べた「ンゴ」の味を思い出せないのが悲しい。嗚呼、「ソムタム」食べたい。嗚呼、「クイッティアオ」食べたい。という感じかな。

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