ずる 嘘とごまかしの行動経済学 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 人はどういうときに「ずる」をどのくらいするのか。仮説を立て実験を行い定量分析により「ずる」の要因を分類します。「ずる」を定量的な金額に置き換えると「少数の人の巨額な不正 < 多数の人の少額な不正」となり、イレギュラーを恐れず使えることを証明しています。もちろん、誰もがそうだと普遍的に言える訳ではなく、実験下の社会基盤では統計的に言うとこうじゃんということだと思うのですが、でもやはり面白いですね。自己正当化のレベル感、利他的な動きや忖度と、コンプライアンス全盛の現在、この仮説は要注目です。(2012年)

  • 面白かった

    正直な人たちから家を守るために鍵というものはあるのだ、というエピソードが心に残っている

    微罪が積み重なって大きな不正につながるというのが理解できたし、襟を正そうという気持ちになった

  • 企業や組織での不正や犯罪を聞くと、この本を思い出す。自分を善人だと思っている人こそ読んで損はない。

  • 『予想どおりに不合理』のダン・アリエリーが不正について解説する本。従来の経済学では、人は費用と便益を天秤にかけて不正を行うとする。だが行動経済学の観点では、人が天秤にかけるのは名誉と実益である。そして認知的柔軟性によって正当化に成功した時、人は不正を行うのだ。

    例によって興味深い実験が多くて面白いのだが、今となっては素直に読むのが難しい。というのも、本書で紹介されている研究の一つにデータの捏造があったからだ。この件についてはブログに書いたので、そちらを読んでほしい。

    https://honeshabri.hatenablog.com/entry/The_Honest_Truth_About_Dishonesty

    データの捏造が判明しているのは俺の知る限り1件だけだが、紹介されている研究で再現性が無いものは複数存在する。これをもって全ての内容がうそであるとは言わないが、個々の事例は「そういう話もある」程度に思っておいた方がいいだろう。

  • 面白かったが、真偽が正しいかどうかわからないのがちょっと不安・・・
    https://honeshabri.hatenablog.com/entry/The_Honest_Truth_About_Dishonesty

  • 筆者の唱える「つじつま合わせ仮説」に関する本。
    人間はどのような時にごまかしをするのか。ごまかしをできる状況を意図的に作るとどの程度の人がどのくらいの割合でごまかしをするのか。そのごまかしはどのようにすればなくなるのか。
    そういった疑問について数多くの実験を行い、検証した結果を紹介してくれる。

    とても具体的でおそらく誰しも心当たりがあるので興味深く読めると思います。ただ翻訳本なので文章は少し読みにくいかもしれません。

  • ずるを科学し、実験してしまうこの教授は、どれだけ想像力があるのだろうと思う。そして、どんな人もそれなりにずるをしてしまうという結論に、人間臭さを感じる。

  • 人は言い訳ができるときに不正を行う。バレない、疲れている、みんなやっている。
    どうやったらこれをコントロールできるか、までは書いていない。
    アメリカのポピュラーサイエンス本的な冗長さが強い。

  • 「学力の経済学」という本で引用されている本(成績が悪い学生の祖母が試験前に亡くなることが多い、というエピソード)。
    人はどんな高学歴であれ不正をする。その背景には正直者でありたいといった気持ちや、利他的に行動したがる、という背景がある。
    不正を減らす誘因、促す誘因はを実験を通じて説明しておりとても面白かった。製薬会社と利益相反のエピソードもあり、医療者も読むといいと思う(利益相反の開示が問題解決にはならない、という内容が載っている)

    追記: 筆者の論文における研究データの捏造が明らかになったので、本書についても評価は据置。

  • ほとんどの人は、ちょっとした不正をしながら生きている。本書は、その「ちょっとした不正」というのはどの程度で、その不正がどの程度の割合で行われるかを丹念に調べ上げている。自分を含む人間の軽い闇が見えて、なかなか楽しい(と思った時点で、いやらしい人間だろう)。マネージメントや業務プロセスに携わる人にお勧め。

  • 人が不正をするときとはどういうときなのかを徹底的に分析している。個人的には、サービス提供者がお馴染みさんになると、客の幸せを考えるよりも、自分の懐を暖めるための不正に手を染めていくことが実験的に確認されているというのがもっともショックだった内容だった。せっせと店に通い詰めて常連さんになって大事にされることを夢見てきたのに、逆に店側はそれに甘えて、手抜きしても許してくれる客と思われてしまうということらしい。つい最近もそういう経験をして、常連やめようかという話を妻としていたところなので、特に衝撃を受けてしまった。

  • 大学での課題レポートの提出から偽ブランド品の購入までの、社会にはあらゆる不正が存在する。本書は不正の発生条件を社会科学的な見地から考察している。得られた知見の内、半数以上は直観に即しているものであったが、「人は道徳的である自分のイメージと不正を行っている現実の自分との辻褄合わせのために、正当化を試みること」といった根拠の部分であったり、また、知見の中でも「誓約の履行が不正を防ぎうること」、「利他的な行いの場合我々は不正を行いやすいこと」、「文化的な振る舞いが不正に大きく関与する」ことなどは、予想に反した結果で大変興味深かった。

  •  不正をする人を見て酷いやつだと思うだろう。その時、自分は違うし多くの"善良"な人も違うと思ってやしないだろうか。しかし本書は一時の憤りではなく冷静に人間を見つめる。そこにこそ理性がある。
     あの金融危機はなぜ起きたのか。私達は具体的な金銭から遠ざかると不正を行いがちになるらしい。そして誰しも自己を正当化できるギリギリのところで不正を行う。
     真に不正に対処するには、まずは不正を何もかも個人責任に帰結する癖から脱するべきだ。そして人を赦しそのことによって冷静に見つめる理性を取り戻し、よりよく共に生きる方策を考えて行かねばならないだろう。

  • 人がいとも簡単に些細なずるをしてしまうということを沢山の簡単な実験から実証してくれる.
    利益相反や自分を欺き正当化する部分は、自分を振り返っても当てはまるように感じた.
    数の少ない大きな不正を防ぐことも大切だが、数の多い問題としてピックアップされにくいようなより小さな不正をいかに減らしていくかも大事なのである.

  • 「予想通りに不合理」の作者が、人間の不合理の中でも特に「不正」いわゆる「ずる」に焦点を当てて書いた一冊。人は何故してしまうのか?そのずるはどんなものだろうか?そしてどうしたら防げるだろうか?

    まず、世の中の不正はの規模は、少数の極悪人が起こす量より、大多数の一般人が起こす量の方が多いのではないかという当たりからダンイズム炸裂。そうなんだ、多くの問題はそっちなんだよねきっと。

    多くの人は、その心のなかに、誰よりも儲けたいと思う経済的・市場規範的な考え方がある一方、誰かに認められたい、正しい人でありたいという道徳的・社会規範的な考え方を同居させている訳で、そのせめぎ合いからずるが発生して、その過程で多くの「つじつま合わせ」を人間はしていくという説明は説得力が合った。このため、想像力が強い人ほどずるをしやすい傾向にある、ってのは面白い着想だなぁと思ったりした。

    自分の帰属集団がずるをすると、自分もしやすくなるが、その一方自分が帰属しない集団(若しくは相反する集団)がずるをすると、むしろずるをしなくなる、というのも面白い。なるほどだから中韓の連中は盗む騙すを息を吐くようにするが、日本人はそれを見てまともなのはそのせいか、とか思ったり。

    ずるは間接的になればしやすくなるのは前の本にも書かれていたとおり。今回はゴルフで紹介。分かりやすい。

    偽ブランド品を身につけるとずるをしやすくなり、相対的に本物(と、本人が思っているだけでも!)を身に着けていると、ずるをしにくい、というのも自分をどの集団においているかと同じなのかもしれない。

    結局人間って、相対的に物事を考える生き物なんだよな多くの部分で。

    相変わらずこの著者は、仮説を立てて、それに対して実験をしっかりやって、更に追加で実験をやって…と、やってから結論づけているところが本当に好感が持てる。多くの自称行動学者とか社会学者とかの本って、仮説がなんの根拠もなくいきなり事実になって、そこから世の中の問題とか語り出しちゃうから概ね頓珍漢なのが多いけど、この点は本当に好感が持てる。

    あと、「じゃあその問題、防ぐにはどうしたらいいかな?」という観点を必ず忘れないのもいい。語るだけ語っての投げっぱなしとかではなく、問題解決を目的とした検討というスタンスは、正しい学問のあり方だよなぁとか思ったりする。

  • 行動経済学の本。あほな実験が面白いのでついつい読んでしまいます。

    科学としての経済学や経営学となると、人間の心理がテーマになります。となると実験になるわけです。

    自己申告の場合、どのくらい水増しするのか?

    意外な結果に人間が愛らしくなります。ユーモア賞を進呈したい。

    タイトルがなんだな〜。これじゃ買わないよね。

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