値段から世界が見える! 日本よりこんなに安い国、高い国 (朝日新書) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • 日本の価値観とはちょっと違う、世界20カ国の様々なモノ・コトの「お値段」を紹介。「そんなものがなぜ高いの?」「これがそんなに安いとは!」という素朴な興味を入り口に、「各国が共通で抱える悩み」や「世界の見えざる姿」を浮き彫りにする。

    〜感想〜
    ヨーロッパの主要国やアメリカ、韓国・中国など物価や税率、社会保障やGDP、平均年収などのレポート。それぞれのお国柄に沿った人々の暮らし方やメリットとデメリットを知ることができた。本自体が約10年前に刊行されたものなので現代はもっと変化していると思うが、社会保障制度やセーフティネットを充実させるための税収とシステムと分配が必要でそれぞれをカバーするためのGDPや出生率。国力をどんどんあげて好循環を回し続けることがもっと母国が発展できると改めて認識した。また海外諸国では休暇のために仕事をすること(ドイツ)や、一生に一度の豪華な結婚式(インド)、外食費が高いからこそ安くて豊富な食材を使った自炊(スペイン)、月々のファッションにかける費用(ポーランド)、隣国への買い出し(ベルギー)、一流大学に入るための幼少期からの熱心な教育(韓国)などといった歴史的背景からの暮らし方やそれぞれのアイデンティティがどれもよく見えた。ただたくさん稼いで優雅に暮らしをするというだけがいい人生とは限らないと感じた。自身の幸福度は年収や出自に左右されず、生きたいように生きていけることが満たされるように思えた。

  • テーマ:物価

  • 他国との比較すると事で、自国・日本について考えるきっかけももらいました。非常に面白かったです。

  • 世界20カ国で暮らす日本人が、各国におけるモノやサービスの物価、暮らしぶりをレポート。
    ただ、レポートが並んでいるだけで、分析や考察があるわけではないので「ふーん」という感じ。

    これを読んでみると、人びとの幸福度を決めるのは必ずしも生活水準の高低や格差の大小ばかりではないのだな、と改めて気付かされます。
    要は、現状にどこまで満足できるのか、「足るを知る」ことができているのか。
    日本人のストイックな生真面目さや「恥」の文化が、現状に無邪気に満足するのを邪魔してしまうのかな、と。

    個別のトピックでは、ポーランドが美への投資を惜しまない見栄社会であることが意外だったのと、スイスの職業教育(高校生の3人に2人は進学を希望せず、学校での教育と現場での職業訓練を同時並行に進める)システムがなかなかよいなと思ったのが印象に残ります。

  • 世界各地の物価から、それぞれの国柄、経済状況などをレポート。まあ、悪くない。

  •  物の値段について外国を5つのグループに分けて紹介している。一般的に物の値段は需給バランスによって決まり、供給状況が国によって違うのは想像に難くない。しかし本書で浮き彫りにされているのは、むしろ需要の違いだ。

     人々が何に金をはたくかということは、文化的な違いが大きい。本書のグループ分けは主にそちらの観点から行われ、似たような傾向を持つ国がまとめられている。社会保障を充実させるために高額の税金を払っている国、とにかく見栄を張るために出費を惜しまない国、極端な貧富の差を乗り切る知恵、などだ。

     知っていることもあれば全然知らなかったこともあり、何かの役に立つというわけではないが興味深く読むことができた。

  • 「各国のモノやサービスの値段を比較すれば、それぞれの『真の姿』が見えてこないだろうか?」という考えから、「世界20か国に住む日本人ライターにそれぞれが暮らす国の物価について執筆してもらった」本。
    価格は需要と供給の関係で決まるので、モノの価格は、それぞれの国民が何を欲し、何が不足しているのかを示すシグナルである。したがい、各国の価格を調べれば「真の姿」は見えないまでも、各国の事情は分かるはず。この発想は面白く、読みやくストレスを感じない読み物になっている。

    印象に残ったのは、
    ・オーストラリアのフードコートなどで一番安いランチは日本食。これは日本人の生産性向上の努力に関連している。
    ・「女の子はきれいじゃないと価値がない」という類のことばをたくさん耳にする韓国では、赤ちゃんのころから「この子は生まれつき二重まぶただ。整形費がかからないね」と枕元でささやかれる。
    ・ケニアでは多く買うほど単価が高くなる値段設定。これは「まとめ買い」ができるというのは、経済力の大きさを表すから。

    20か国の中にはたまたまインドネシアは含まれていない。自分なりの印象を紹介すると。

    ・2012年、13年にインドネシアの最低賃金は6割上がり、所得が3000ドルを超える中間所得層も激増している。一方、インフレ率は、昨年燃料の補助金削減で8%を記録したが、2012年は4%。国民の購買力は確実に上がっている。
    ・これにより、国民が欲しいモノも広がりを見せている。例えば、マンダムの男性化粧品、ユニ・チャームの製品が爆発的に売れるようになってきた。
    ・一方、最低賃金の上昇は会社勤めの人々をカバーするだけであり、この恩恵を受けていない層も多い。また、この層は高等教育を受けられず、なおもインドネシアは貧富の差が縮まらない構造を有する。
    ・インドネシアでは昨年自動車が123万台売れた。服の色によって、その日の車を選ぶという人がいる一方で、1日2ドル以下で生活している人々は5割。米国型の貧富のピラミッドがインドネシアにも存在する。
    ・以上のような社会を反映して、インドネシアでは同じ物でも、安く買う手段が発達している。例えば、野菜はマーケットで買うのと、行商人から買うのとでは値段が大きく違う。また、ばら売りを利用している人も多く、洗剤なら一袋5円で買える。
    娯楽に目を向けると、映画館では、ゴージャスな設備で、話題の映画を日本より早く見ることができる。入場料はたった450円。しかし、最低賃金が2万5千円の人々には、この入場料は決して安くはない。
    先週の日曜日の午後、米国で記録的な大ヒットとなった「ゴジラ」を見に行ったが、映画館は(予想通り)ガラガラ。多くの人は、海賊版のDVDを家庭で楽しむ。DVDの海賊版は1枚50円が相場。これなら、映画館から足が遠のくのもうなづける。DVDの海賊版は映画館で隠し撮りされているのが売られているので、映画館の雰囲気も同時に楽しめる。

  • 世界各国に住むライターが、ビックマックセット等の世界共通で売られているものの物価を元に、経済状況や生活レベルの違いをレポートしている。

    その国に行かずして、どんな暮らしをしているのか、旅行ガイドでは分からない実態について垣間見ることができる。

  • 世界各国で生活をしている方からのレポートから、その国の実情を詳しく知ることができた。特に、実際に生活されているからからのものなので、より詳細に、知ることができた。
    自分は、ニュース等でその国の表面上のイメージしか知らなかったり、この本によって、イメージとして持っていたものが間違っていたり、裏があることを知ったりと大変参考になった。
    いろんな国のいろんな事情を知ることによって、もっともっと深堀りして知りたくなった。
    この本で良いきっかけをいただいた。

  • 場所が変われば生活が変わる。日々の生活を支える様々なモノの値段からその国の実情が見えてくる。お金で計ることができる価値も国によって大きく変わることの発見。

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著者プロフィール

オーストラリア在住。世界81か国のライター集団「海外書き人クラブ」代表。

「2020年 『世界ノ怖イ話 背筋も凍る、悪夢の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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