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感想・レビュー・書評
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これは分かりやすく良い解説書だと思う。
クォーク本は結構読んでるけどすぐ忘れちゃうからメモ。
・クォークは up/down, charm/strange, top/bottom 3世代6学年
各学年 RGB3クラス
・RGB3クラスは強い力に関係し、世代内の交代は弱い力で
・質量の99%はグルーオンを媒介とする強い力による E=mc2に
よって説明できる。
・強い力は距離に比例して強くなるのでクォークを取り出す事は
不可能。
・南部陽一郎は 超伝導マイスナー効果を考察するなかで
「自発的対称性の破れ」というアイディアに到達
・自発的対称性の破れによって南部ーゴールドストーン粒子
(破れる際に現れる波の最小のエネルギー)が現れる
・マイスナー効果は自発的対称性の破れによって光子にあたかも
質量がそなわる(減速する)現象によって引き起こされる
・自発的対称性の破れによって質量が備わるのではという概念に
到達
・ヒッグス場、ヒッグス荷は電子やクォークに質量のあることの
説明として導入されている。
・ヒッグス場の仮定でかつヒッグス粒子の無いモデルもありうる
・南部ーゴールドストーン粒子と異なる、ヒッグス場の
ポテンシャルを上り下りするような運動を与えるヒッグス粒子
というものを仮定する事ができる
・ヒッグス粒子を観測できればヒッグス場のある事の傍証になる
・CERNはヒッグス粒子と考えられる126GeVの質量を持つ粒子
を観測したと2012年7月4日に発表した
・ヒッグス場は電子など全体の1%の質量を説明するために導入
・ヒッグス場は電子/クォークの質量を説明するために導入されて
いるので「水飴」のような比喩は誤り。質量と抵抗は異なる
・重力子に相当する素粒子はまだ発見されていない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
例えを使用してわかりやすく解説しつつ、けれどわかりやすさ故に正確性を犠牲にすることはしない、というコンセプトで書かれた本。
しかし、やっぱり正確性を犠牲にしていない分、素人の自分にはやや難しかった。
陽子がプラスである、というのは化学で確かに習ったが、言われてみれば、それで陽子同士が反発してとんでいかないのはおかしい。
そこに働いている力が陽子同士をくっつける力。強い力の一種である核力であるとのこと。
これが大変不思議な力で、離れると殆ど作用しない、接近した場合に非常に強力な力、という……たしかに我々の身の回りにある電磁気力と異なる力なんだなあ、と感じた。
そして、弱い力が強い力が及ぶ範囲で発現しないから、強い力に対して弱い力、というのも、なるほどなあ、と興味深かった。
中性子を陽子に変えるという、特殊性の例えがクラスと学年の例えでわかりやすく説明されている。
後半にいくにつれて、正直内容の3割も理解できなかった(わかった気にもなれなかった)のだが、強い力と弱い力が日常で働いている力と異なることは納得できて楽しく読めた。 -
弱い力、原子核のベータ崩壊の原因となるものだ。強い力、陽子や中性子内のクォークをつなぎ留めている力。素粒子の標準模型について説明されている。読んでわかったような気がするが、でも人には説明できないので、実際には分かってはいないのだな(汗)。
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強い力と弱い力がどの様に理論・実験の両面から解析されていったかわかりやすく書かれている。素粒子の標準模型を「学校の学年」で例示し、強い力はクラスを替える、弱い力は学年を入れ替えるとの説明には目からウロコ!
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(レビューは「重力とは何か」参照)
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「強い力」も「弱い力」もれっきとした専門用語。「物質の最小の構成要素は」、「素粒子」。現時点では18個に分類され、最後の一つがヒッグス粒子。文系の人にこそ読んで欲しい最先端の物理学入門。
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私たちは、宇宙の5%しか知らない。
一年前に、PCT出願に関して、ある仕組みを作りました。十分に考えた上での仕組み作りだったので、うまく行くと信じてました。
しかし最近、その仕組みに不具合が見つかりました。考えてみれば当たり前のことでしたが、当時は全く気付きませんでした。もっと周りの方に意見を聞いた上で行うべきだったと思います。
自分にとって、今の仕事は、知らないことだらけの宇宙そのものです。 -
南部の仕事は一〇年先を見通している。そこで、南部の仕事を理解すれば他の研究者より一〇年先んじることができると思いがんばって勉強したのだが、やっと理解したと思ったら、すでに一〇年経っていた。
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2016/09/25 -- 再読
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2013/09/05 -- 再読
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2013/03/21 -- 初読
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現時点で最も正確にヒッグス粒子を説明した解説書ではないかと思う。
ヒッグス粒子に至るまでの素粒子物理の解説が大部分を占め、ヒッグス粒子そのものについては1章を割り当てているだけである。しかし、その素粒子物理の発展の中で予言されていたという経緯、あるいは矛盾を解消するために必要に迫られて仮定したという経緯がを経なければヒッグス粒子に辿りつけないのである。したがってヒッグス粒子のみを扱うのではなく、素粒子物理そのものを解き明かしていくという筆者の態度は、ヒッグス粒子の正しい理解を読者に与えるための正しい態度であると思う。同時にこれまでのヒッグス粒子の解説がなぜ分かりにくかったのかということの理由も明らかになった。これはヒッグス粒子のみを扱っていたからである。たしかにヒッグス粒子の発見は重要なことではあるが、そもそもは物質の根源を明らかにするという探求の一部であるということを失念してしまっては正しい理解にはつながらない。