巻き込む力 すべての人の尊厳が守られる世界に向けて [Kindle]

著者 :
制作 : 渡辺真理 
  • 小学館
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  •  東大出の美人弁護士にして、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の日本代表である著者の自伝的エッセイ。といっても、本人の談話をライターがまとめたものであり、そのことは本にも明記されている。

     全4章のうち、少女時代のことが語られる第1章は退屈。いまなお絶縁状態だという母親との確執など、ドラマティックな要素も少しはあるものの、基本的には普通の子ども時代だし。

     が、第2章で司法ボランティアとしてアフリカ・エリトリアに渡るあたりから、俄然面白くなる。
     とくに、「9・11」テロ後に東京で起きたアフガニスタン難民一斉収容事件で、難民たちを守るための弁護団に加わって当局と闘う経緯の描写は、広げれば優に一冊の本になり得るほど感動的だ。

     最後の第4章では、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表になるまでのいきさつと、その後の活動が綴られる。
     「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が、ボランティアに近い一般のNGOとは違うスケールの大きな団体であることを初めて知った。寄付などで集めた巨額の予算を動かし、世界各国の人権問題を解決しようとするプロ集団なのだ。

     著者もいうとおり、日本における「人権活動家」のイメージはけっしてよくない。「目が据わった偏狭な左翼」とか、「犯罪加害者の人権ばかりを過度に守ろうとする困った人たち」といった印象があるせいだろう。
     本書は本物の人権活動家たちの奮闘を伝えることで、そうしたマイナスイメージを覆す好著だ。

     ただ、タイトルはよくない。内容に合っていないし、本書と著者の魅力がまるで伝わらないと思う。

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著者プロフィール

1975年生まれ。国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表。東京大学法学部卒業。アメリカ・ニューヨーク大学ロースクール修士課程修了(国際法)。ヒューマン・ライツ・ウォッチのニューヨーク本部のフェローを経て、08年東京ディレクター(日本代表)となる。著書に『巻き込む力』『"ようこそ"と言える日本へ』などがある。

「2018年 『子どもの人権をまもるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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